妊娠の正しい知識-妊娠期間と出産予定日

妊娠では1ヶ月を28日と数えるため、「妊娠40週0日」が出産予定日になります。出産予定日を算出するには、妊娠する前の最後の生理が始まった日が目安になります。妊娠が判明して受ける診察で、最後の生理が始まった日を「妊娠0週1日目」として計算し、出産予定日を出すでしょう。ただし、人によっては生理不順などで、その計算がずれてしまうこともあります。
いずれにしても、出産予定日が確定するのは妊娠8週以降に、赤ちゃんの頭からお尻までの大きさ(頭臀長)を測定できてからになるでしょう。遅くとも妊娠12週までには出産予定日が確定されます。
妊娠したら受ける妊婦健診とは
妊娠したら妊婦健診を受けます。これはママや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するもの。順調かどうか、異常がないかを調べるだけでなく、不安や困りごとを医師や助産師に相談する良い機会にもなるでしょう。
妊娠は病気ではないため、健診に保険はききません。しかし、役場に「妊娠届」を出すことで、公費による助成を受けられます。
妊婦健診は、妊娠23週までは月1回、妊娠24週~35週までは2週間に1回、妊娠36週からは週1回と、しだいに頻度が増えます。
妊婦健診で行う主な検査項目を挙げていきます。
●必ず行う検査
・健康状態の把握:週数に応じた問診や診察
・検査・計測:子宮底長・腹囲・血圧・浮腫・尿検査・体重など
・保健指導
●必要に応じて行う検査
・血液検査(貧血、血液型、血糖・ウイルス感染症など)
・超音波検査
・子宮頸がん検査
・膣分泌物の培養検査
・内診
いずれの検査も、ママの健康状態や赤ちゃんの発育状態を知るために行われます。
妊娠期のママの体の変化
妊娠初期(妊娠1~4ヶ月)・中期(妊娠5~7ヶ月)・後期(妊娠8~10ヶ月)におけるママの体の変化を説明します。
妊娠初期
妊娠初期には、妊娠によるホルモンバランスの変化で「つわり」が現れます。主に吐き気や嘔吐、体調不良やだるさなどの不快症状があります。これは、赤ちゃんを子宮の中で育てていく体の準備。妊娠5週~7週頃から始まり、妊娠16週頃まで続くことがありますが、まったくつわりがないママもいるので、個人差は大きいでしょう。
妊娠中期
妊娠14週~16週には、赤ちゃんに栄養を送る胎盤やへその緒が完成し、つわりの症状も軽くなってくるでしょう。乳房が張りママらしい体つきに変わり、妊娠20週頃には見た目からも妊娠中だとはっきりわかるでしょう。
子宮は妊娠7ヶ月にはおへその上あたりまで大きくなります。
妊娠後期
妊娠後期になると子宮はさらに大きくなり、胃が圧迫されてムカムカしたり、頻尿や便秘が起こりやすいです。お腹や胸、太ももに妊娠線が出ることもあるでしょう。ママの体には皮下脂肪がついて、さらに丸くなります。
赤ちゃんを育てるために必要な酸素や栄養を運ぶために、妊娠9ヶ月ごろには全身の血液量が妊娠前の1.4倍に。そのことで心臓への負担も大きくなり、動悸や息切れが起こりやすくなります。
また、子宮が収縮し、お腹が張りやすくなります。これはお産の準備とも言えるでしょう。
お腹の赤ちゃんの成長・大きさ

ここからは妊娠初期から妊娠後期までの、お腹の赤ちゃんの大きさや成長についてみていきましょう。
妊娠初期
妊娠2ヶ月の赤ちゃんは、約3~12mm、体重は約1~4gですが、妊娠4ヶ月には約16mm、体重は約100gに成長します。
妊娠が成立すると中枢神経系や心臓や肺の形成が始まり、心臓の音も確認できるようになります。妊娠10週以降には手足の動きも確認でき、肝臓で血を作り始め、妊娠12週以降には内臓の形がほぼ完成し、妊娠15週には胎盤もできあがります。また赤ちゃんの呼び方は、妊娠8週目以降には胎芽から胎児となります。
妊娠中期
妊娠5ヶ月には胴体が発達しヒトらしい体に近づき、自分で呼吸の練習を始めます。触覚が完成し、聴覚も発達してママの声にも反応するかもしれません。
妊娠6ヶ月に入ると聴力が完成し、体も筋肉や骨格が発達して手足の動きがより大きくなっていきます。さらに妊娠7ヶ月には、身長は30cmを超えて体重は900g近くになります。目を開いたり閉じたりできますよ。
妊娠後期
妊娠8ヶ月になると体の中の臓器がほぼ完成し、赤ちゃんの体重は急激に増えていきます。妊娠9ヶ月には、肺の機能が完成し、皮下脂肪も増えて体もふっくらとし、子宮の中も狭くなることで自由に動けるスペースが減っていきます。
そして妊娠10ヶ月にはすべての器官ができ上がり、いつお産になってもいいように少しずつ骨盤の下の方へ移動していきます。
《まとめ》
妊娠期間は色々な体の変化が起こります。ママと赤ちゃんの変化を楽しみながら過ごせると良いですね。つわりなどのマイナートラブルに対処しながら、バランスの取れた食事や規則正しい生活・運動をし、体重をコントロールしましょう。妊娠中に起こりやすい妊娠高血圧症候群などの合併症を防ぐ努力が必要になるでしょう。
妊娠中は赤ちゃんの成長やママの体の変化を確認するために、妊婦健診を必ず受けてくださいね。なかには、自身の妊娠の経過に不安に思うママもいるでしょうが、過度に心配しないでください。わからないことは医師や助産師にしっかりと相談しながら、落ち着いて妊娠生活を送りましょう。
※写真提供:PIXTA
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
>詳しく見る