【会陰切開とは】出産までに正しく知っておこう

そもそも「会陰とはどこ?」「会陰切開なんて痛そうだし怖い!」と感じるママが多いでしょう。まずは会陰切開の目的や処置について、理解しましょう。
「会陰切開」とは膣の出口を広げる処置
まず「会陰」とは、腟と肛門の間の皮膚のことをいいます。分娩時に会陰の伸びが悪くて赤ちゃんが出にくい、また急いで赤ちゃんを出してあげないと危険であると判断された場合に、会陰を切って膣の出口を広げる処置をします。これを「会陰切開」といいます。
初産では会陰切開をうけるママの割合が高い
会陰切開の実施率は病院や医師により異なりますが、初産婦さんの半数以上は会陰切開を経験していると言われています。初めての出産では、会陰の伸びが悪いためです。
会陰切開しないとどうなるか?
会陰切開に対して怖さや不安を抱き、「できれば切らないでほしい」と望むママが多いでしょう。しかし赤ちゃんが出てくる時、膣が十分に広がらなければ、自然と会陰裂傷をおこす可能性も。
会陰裂傷は、皮膚の浅い部分の傷にとどまることもあれば、筋層に及ぶ深い傷になることもあります。そのため切開という処置をするケースが多いのです。
【会陰マッサージ】必要?効果はある?
会陰の伸びをよくするために行うのが、「会陰マッサージ」です。果たして本当に効果があるのか、気になりますよね。次は会陰マッサージの効果と、正しいやり方について解説します。
会陰マッサージで期待する効果とは
「会陰マッサージ」によって会陰部の伸びをよくすると、分娩時の裂傷やその後の痛みを軽減する効果が期待できると考えられています。しかしここで注意したいのは、会陰マッサージをしたからといって、絶対に会陰切開や会陰裂傷を防げるわけではないということ。
会陰の伸び方には個人差があります。会陰マッサージをしなくても伸びが良い人、会陰マッサージをしても裂傷する人がいることを覚えておいてください。
必ず効果があるものではありませんが、会陰マッサージを通じて、自分の体をよく知るきっかけになったり、より具体的に出産のイメージができるでしょう。
会陰マッサージのやり方(オイルを使った方法)
会陰マッサージのやり方はさまざまありますが、一般的な方法を説明します。週に2~3回を目安に行いましょう。
《会陰マッサージのやり方》
1. 手を石鹸で丁寧に洗ってからオイルを指につける
2. 膣に親指を3㎝程度入れて腟の中から肛門方向に、ゆっくりと圧をかける
3. 時計の3時から9時の方向へ、膣を広げるようにゆっくりと圧をかける

1回あたりの会陰マッサージは、5~10分程度で終わらせてください。終わってからオイルをふき取っても大丈夫です。まだ慣れないうちは、会陰の下(会陰と肛門の間)をUの字にマッサージすることから始めてみてください。慣れてきたら少しずつ指を入れて、圧をかけていきましょう。
会陰マッサージのタイミング
会陰マッサージのタイミングは、入浴中やお風呂上がりがおすすめ。体が温まると皮膚がやわらかく伸びやすくなるので、痛みを感じにくいためです。体を洗った後だと衛生的にも良いですね。
イスなどに片足をかけて行うと体が安定し、マッサージしやすいでしょう。お風呂場は滑りやすいので、転倒には十分注意が必要です。
【会陰マッサージ】いつからOK?注意するポイント
自己流や間違った方法での会陰マッサージは、効果が得られず、危険をまねく可能性も。正しいやり方を理解しましょう。
自己判断はNG!会陰マッサージを始める時期
会陰マッサージを始めるのは、だいたい妊娠34週(妊娠9ヶ月の3週目)ころからが良いとされています。病院によっては、正期産に入った37週(妊娠10ヶ月の2週目)からと指導することもあります。
ただし妊娠の経過や体調は人それぞれです。自己判断で始めずに、必ず医師や助産師に相談してからにしましょう。
会陰マッサージに使えるオイル
会陰マッサージに使うオイルは、植物性で無添加を選びましょう。スウィートアーモンドオイル、オリーブオイル、ホホバオイルなどは身近で手に入りやすくおすすめ。オイルによっては身体に合わない場合もあるので、使う前に一度パッチテストをしましょう。
妊娠中の身体はとてもデリケートです。爪が長いと膣の中を傷つけ細菌が入ることがあるので、必ず爪は短く切り、事前の手洗いは必須です。
会陰マッサージは無理せず自分のペースで
体調が悪い、医師から安静の指示がある、お腹が張っている時は、無理に会陰マッサージを行わず休みましょう。早い時期から会陰マッサージを始めたからといって、効果が出やすいわけではありません。実際に、妊娠最終月のマッサージが会陰裂傷の減少に有効、というデータもあります。体調を見ながら、無理せず自分のペースで会陰マッサージを進めていきましょう。
《まとめ》
会陰マッサージによって、絶対に会陰切開や会陰裂傷を防げるわけではないですが、会陰部の伸びを良くすることにはつながります。ただし身体の状態は人それぞれ。始める時期とマッサージのやり方は、医師や助産師に確認したうえで、正しく行うようにしてください。
※写真提供:PIXTA
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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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