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2020.11.24

【助産師が教える】会陰マッサージの効果とは?いつから?正しいやり方を知ろう

初めて出産するママのうち、およそ半数が経験する「会陰切開」。出産を前に不安に思う妊婦さんも多いことでしょう。まず「会陰切開」とは何で、その対策となる「会陰マッサージ」はどのような方法なのでしょうか?ここでは会陰マッサージの効果や、始めるタイミングなど詳しく説明します。間違ったマッサージをしないように、正しいやり方を学んでいきましょう。

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「会陰切開」とは?出産までに正しく知っておこう

会陰切開

 

そもそも「会陰とはどこ?」「会陰切開なんて痛そうだし怖い!」と感じるママが多いでしょう。まずは会陰切開の目的や処置について、理解しましょう。

 

「会陰切開」とは膣の出口を広げる処置

「会陰」とは、腟と肛門の間の皮膚をいいます。

・分娩時に会陰の伸びが悪くて赤ちゃんが出にくい

・急いで赤ちゃんを出してあげないと危険である

このように判断された場合に、会陰を切って膣の出口を広げる処置をしますこれを「会陰切開」といいます。

 

初産では半数以上が会陰切開する

会陰切開の実施率は病院や医師により異なりますが、初産婦さんの半数以上は会陰切開を経験していると言われています。初めての出産では、会陰の伸びが悪いためです。

 

会陰切開しないとどうなるか?

会陰切開に対して怖さや不安を抱き、「できれば切らないでほしい」と望むママが多いでしょう。しかし赤ちゃんが出てくる時、膣が十分に広がらなければ、自然と会陰裂傷をおこす可能性もあります

会陰裂傷は、皮膚の浅い部分の傷にとどまることもあれば、筋層に及ぶ深い傷になることもあります。そのため、会陰切開という処置をするケースが多いのです。    

 

 

【会陰マッサージ】必要?効果はある?

会陰の伸びをよくするために行うのが、「会陰マッサージ」です。果たして本当に効果があるのか、気になりますよね。次は会陰マッサージの効果と、デメリットについて解説します。

 

会陰マッサージの効果

「会陰マッサージ」によって会陰部の伸びをよくすると、分娩時の裂傷やその後の痛みを軽減する効果が期待できると考えられています。しかしここで注意したいのは、会陰マッサージをしたからといって、絶対に会陰切開や会陰裂傷を防げるわけではないということ。

会陰の伸び方には個人差があります。会陰マッサージをしなくても伸びが良い人、会陰マッサージをしても裂傷する人がいることを覚えておいてください。

 

このように必ず効果があるものではないですが、会陰マッサージを通じて、自分の体をよく知るきっかけにはなります。より具体的に出産のイメージができるでしょう。

 

会陰マッサージにデメリットはある?

会陰マッサージの効果には、個人差があります。 会陰マッサージによって、会陰切開や会陰裂傷を完全に避けられるわけではないことを、理解する必要があります。 

他にも、会陰マッサージの影響で、下記のような症状が出る可能性があります。 

 

・マッサージによる不快感や痛み 

膣の入り口や膣内を傷つける可能性 

感染リスクが高まる可能性 

 

最初は慣れるまで、会陰マッサージをした後に痛みや不快感があるかもしれません。しかし続けていくうちに、徐々に症状は消えていくでしょう。 

 

妊娠中の膣内はとてもデリケート。伸びた爪で触れたり、不必要に力を入れたりすると、膣の入り口や膣内を傷つけてしまう可能性があります。また妊娠中は抵抗力が落ちており、感染症になった時に使用できる薬も限られます。手や性器にある菌が、感染症の原因となることもあります。 

このようなデメリットも十分理解した上で、正しい方法で会陰マッサージを行うことが大切です。 

 

 

【会陰マッサージのやり方】オイルを使った方法

会陰マッサージのやり方には様々ありますが、一般的な方法を説明します。週に2~3回を目安に行いましょう。

 

《会陰マッサージのやり方》

1. 手を石鹸で丁寧に洗ってから、オイルを指につける

2. 膣に親指を3㎝程度入れて、腟の中から肛門方向にゆっくりと圧をかける

3. 時計の3時から9時の方向へ、膣を広げるようにゆっくりと圧をかける

会陰マッサージのやり方

1回あたりの会陰マッサージは、5~10分程度で終わらせてください。終わってからはオイルをふき取っても大丈夫です。まだ慣れないうちは、会陰の下(会陰と肛門の間)をUの字にマッサージすることから始めてみてください。慣れてきたら少しずつ指を入れて、圧をかけていきましょう。

 

会陰マッサージは入浴の時に

会陰マッサージのタイミングは、入浴中やお風呂上がりがおすすめ。体が温まると皮膚がやわらかく伸びやすくなるので、痛みを感じにくいです。体を洗った後にすると、衛生的にもより良いですね。

イスに片足をかけて行うと体が安定し、マッサージしやすいでしょう。お風呂場は滑りやすいので、転倒には十分注意が必要です。

 

オイル塗布でさらに保湿しよう

会陰マッサージした後には、会陰にオイル湿布をするのも効果的です。 

オイル湿布の作り方は簡単。清潔なコットンをフタのある容器に入れて、コットンの両面がしっかり湿るくらいオイルを注げば、完成です。生理用ナプキンやパンティライナーに、コットンを広げて、そのまま下着を履いて一晩過ごします。 

いきなり会陰マッサージをするのに抵抗がある人は、オイル湿布から始めてみるのもおすすめです。会陰マッサージを始めるときの痛みや、不快感を抑えられるかもしれません。 

 

 

【会陰マッサージ】始める時期&注意点

自己流や間違った方法での会陰マッサージは、効果が得られず、危険をまねく可能性も。正しいやり方を理解しましょう。

 

自己判断はNG!会陰マッサージはいつからOK?

会陰マッサージを始めるのは、だいたい妊娠34週妊娠9ヶ月の3週目)ころからが良いとされています。病院によっては、正期産に入った37週妊娠10ヶ月の2週目)からと指導することもあります。

ただし妊娠の経過や体調は人それぞれです。自己判断で始めずに、必ず医師や助産師に相談してからにしましょう

 

会陰マッサージに使えるオイル

会陰マッサージに使うオイルは、植物性で無添加のものを選びましょう。スウィートアーモンドオイル、オリーブオイル、ホホバオイルなどは身近で手に入りやすくおすすめ。オイルによっては身体に合わない場合もあるので、使う前に一度パッチテストをしましょう。

妊娠中の身体はとてもデリケートです。爪が長いと膣の中を傷つけ細菌が入ることがあるので、必ず爪は短く切り、事前の手洗いは必須です。

 

関連ページ 

【助産師監修】会陰マッサージ用オイルの選び方や使う時の注意点

 

会陰マッサージは無理せず自分のペースで

・体調が悪い

・医師から安静の指示がある

・お腹が張っている

このような時は、無理に会陰マッサージを行わずに休みましょう。早い時期から会陰マッサージを始めたからといって、効果が出やすいわけではありません。実際に「妊娠最終月のマッサージが会陰裂傷の減少に有効」、というデータもあります。体調を見ながら、無理せず自分のペースで会陰マッサージを進めていきましょう。

 

 

会陰マッサージに関するよくある質問

会陰マッサージにまつわる、ママからのよくある質問に答えます。

 

Q. 会陰を切る or 裂ける、どちらがいいの?

会陰は医療器具で切っても自然に裂けても、傷ができることには変わりはありません。 ただし、会陰マッサージをしていると皮膚が柔らかく伸びやすいため、自然に裂けたとしても傷が深くなりにくく、できた傷は治りやすいと言われています

Q. 会陰をマッサージで早産になる?

正しい方法で会陰マッサージを行えば、早産の危険はありません。とはいえ心配な人も多いので、妊娠36週以前の場合、お腹が張っている時は避けるのが無難です。会陰マッサージを始めるタイミングは、医師に相談してからにしましょう

Q. 毎日マッサージしてもいい?

会陰マッサージは、週3回程で十分です。 ある研究では、週に1.5~3.4回の会陰マッサージを行うと、縫合が必要な裂傷が減るという結果が出ています。そして週に3.5回以上のマッサージをしても、それ以上の大きな効果は見られていません。会陰マッサージは、負担なくできる回数で出産まで続けることが大切です。 

 

《まとめ》

 

会陰マッサージによって、絶対に会陰切開や会陰裂傷を防げるわけではないですが、会陰部の伸びを良くすることにはつながります。ただし身体の状態は人それぞれ。始める時期とマッサージのやり方は、医師や助産師に確認したうえで、正しく行うようにしてください。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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