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2021.03.18

会陰切開とは?どんな時にするの?痛みはいつまで?【産科医監修】

分娩の進行状況によって、ママと赤ちゃんの負担を少なくするために会陰切開をすることがあります。会陰切開とは何か?どのような状況で必要なのか?痛みはいつまであるのか?について説明します。また、なるべく会陰切開はしたくないと考えているママに、妊娠中、分娩中にできるケアも紹介します。

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会陰切開とは?

会陰切開とは

 

会陰切開とは、膣から肛門の間の皮膚(会陰)を医療用ハサミで3cmくらい切り広げる処置のことをいいます。初産婦は全て会陰切開をするという方針の病院もありますが、分娩の状況によって必要なときに医師が判断するのが一般的です。

分娩第2期といって子宮口が全開し、赤ちゃんの頭が産道を降りてくる過程でなかなか会陰の皮膚が伸びない場合に、会陰切開で通りやすく広げます。

また、分娩中赤ちゃんが苦しい状態になり、一刻も早く分娩を終えた方が良い時も医師の判断で会陰切開をします。

 

 

会陰切開はどんな時にする?痛みはいつまで?

会陰切開と聞くと、どれくらいの痛みか怖くてわからないことが多く不安になりますね。どんな時にどのようにするのか、痛みはいつまであるのか、その後の経過について説明します。

 

会陰切開が必要な状況

会陰切開が必要となる状況は主に以下の3つです。

 

・分娩の最終段階で会陰の皮膚が伸びず、このまま自然な経過でいくと会陰部に複雑で大きな傷ができそうな場合

 

・赤ちゃんの心拍の異常があり苦しい状態が続き、なるべく早く分娩を終わらせた方が良い場合

 

・何らかの原因で吸引・鉗子(かんし)分娩が必要となった場合

 

ママの体の負担をなるべく少なくするため

 

会陰の皮膚が伸びない状態で赤ちゃんの頭が通ることで、自然に皮膚が裂けてしまうことを会陰裂傷と言います。自然にできてしまった傷は、時に複雑に裂けたりして、傷がきれいに治らない場合もあります。(会陰切開の傷は医療用ハサミで切るため、傷はきれいに治ります。)

大きな会陰裂傷は肛門の筋肉まで達することもあり、分娩後の排便時に支障をきたす場合もあります。

 

また、分娩進行中に自然な陣痛では進まず、吸引分娩となった場合も大きな裂傷を防ぐため会陰切開をします。

あらかじめ会陰切開をすることで傷を最小限にして、産後のママの健康や生活に支障が出ないようにする目的があります。

 

赤ちゃんの負担を少なくし、元気に生まれてきてもらうため

 

分娩が長時間にわたったり、狭い産道を頑張って通ることで赤ちゃんは疲れたり苦しくなってしまうことがあります。(分娩モニターで赤ちゃんの心拍が下がるのがサインです。)

そんな時は赤ちゃんの健康状態が悪化してしまうのを防ぐ目的で会陰切開をします。

 

会陰切開の痛みとその後の痛みはいつまでか

会陰切開は医療用ハサミで会陰部を3cm程度切ります。膣から肛門方向にまっすぐ切る正中切開、正中から左右斜めの角度で切る正中側切開の2つの方法があります。

基本的には局所麻酔をしてから会陰切開しますが、状況によっては麻酔をしないで切ることもあります。陣痛の痛みの方が強くて、いつ切開したのかわからなかったという産婦さんもいます。

 

産後は会陰切開した部分を縫合しますが、その時も局所麻酔をしますので安心してください。縫合した後の痛みの程度は人それぞれですが、鎮痛剤を内服することで痛みは楽になる人がほとんどです。

 

関連ページ

【教えて助産師さん】会陰切開の傷、トイレでいきんで開いたりしない?

 

 

会陰切開したくない!妊娠中にできるケア

会陰切開が必要な時もあることはわかったけれど、なるべくならしたくない!と思うのが本音ですよね。会陰切開をなるべく回避するためには、会陰の柔軟性を高めることと、分娩時に上手にいきむのがポイントになります。

妊娠中にできるケア、分娩中に意識することについて説明します。

 

妊娠中のケア

 

体を冷やさない、会陰を温める

 

会陰の皮膚をしなやかに柔らかくするためには、血流を良くすることが大切です。手足が冷たい人はしっかり湯船に浸る、下着や洋服、腹帯などで体を保温することを心がけましょう。

また、骨盤周りの血流を促すための運動やストレッチを取り入れるとより効果的です。

陣痛が始まったら、袋に入れた蒸しタオルや小さな湯たんぽ、カイロなどを心地よい温度に調整して会陰部に当てておきましょう。気持ちよくて痛みも和らぎますよ。

 

会陰マッサージやパックで皮膚を柔らかくする

 

会陰切開をできるだけ回避するため、妊娠後期になったらオイルを使って会陰マッサージをしましょう。ある研究では、毎日するよりも1週間に1回の方が効果的という結果が出ていますので、頑張りすぎなくて大丈夫です。

やり方はかかりつけの病院の助産師に聞いてみましょう。会陰マッサージを自分ですることに抵抗がある場合は、オイルパックがお勧めです。

コットンにオイルを染み込ませて会陰部に当てておくことで、皮膚を柔らかくすることが出来ます。パックは体への負担が少ないので、妊娠中期から始めることが出来ます。

 

関連ページ

【助産師が教える】会陰マッサージの効果とは?いつから?正しいやり方を知ろう

 

陣痛の痛みを上手にのがして、上手にいきむ

 

陣痛の痛みでパニックになると助産師や医師の声が耳に届かなくなり、不必要な力が会陰にかかってしまいます。痛いながらもなるべく冷静に助産師と医師の言葉を聞いてくださいね。

助産師は会陰に傷がつかないように、ママのいきみと赤ちゃんが出てくる力をコントロールします。いついきんで、いつ痛みをのがしたら良いのか、どうすれば効果的か、助産師の声かけに耳を傾けてください。

 

妊娠中はマタニティクラスなどで分娩時の呼吸法を習うなど、分娩について学びましょう前もって知識を得て呼吸法を練習しておくことで、上手に陣痛の痛みをのがしていきむことができれば、より会陰切開を回避できるようになります。

 

関連ページ

動画【安産のための呼吸法】で陣痛・出産を乗り越える!助産師が解説

 

《まとめ》

 

会陰切開は膣から肛門の間の皮膚を医療用ハサミで切り広げて、赤ちゃんがスムーズに産まれるのを助けるため行います。基本的には局所麻酔をしてから会陰切開をします。産後に縫合した後も、鎮痛剤を服用することで痛みは楽になるでしょう。

産後のママと赤ちゃんの体になるべく負担がかからないよう会陰切開を選択するので、必要以上に怖がらないでくださいね。なるべく会陰切開をしなくても良いように、妊娠中や分娩中にできるセルフケアをしていきましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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