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2023.08.07
【医師監修】妊娠中期に「ティッシュにつく程度の出血」原因と対処法!病院へ行くべき?
妊娠中期に入ると、ママは少し安心できる時期。しかし、ほんの少しの出血が起こる場合があります。「赤ちゃんは無事だろうか」「妊娠継続できるだろうか」と不安になることでしょう。ここでは妊娠中期、ティッシュにつく程度の出血が見られた時どうすべきか、理解を深めていきましょう。考えられる出血の原因と対処法、病院へ行ったほうがいいか、医師が詳しく解説します。
目次
妊娠中期に「ティッシュにつく程度の出血」は大丈夫?
基本的に、正常妊娠で出血をすることはありません。
出血しているということは、危険度は異なるものの、何かしらの異常が起こっていると考えてください。大丈夫な出血というのはありません。出血があった場合は、妊婦健診の日を待たずにかかりつけ医を受診しましょう。
ここでは、危険度に応じた妊娠中期の出血について紹介していきます。
危険度が高い出血(お腹の張り・痛み)
出血の他に注意したいのが、お腹の張りと痛みです。出血があり、お腹の張りが強く、痛みが出ている場合はすぐに受診をしましょう。出血の色が鮮血であればあるほど、危険度は高いと覚えておきましょう。
危険度が低い出血(少量)
出血の他に症状がなく、茶色で量が少ない場合は、危険度が低いと考えてよいでしょう。痛みがなく、少量ですぐ出血が止まるようであれば大体は問題ないでしょう。慌てる必要はありませんが、もし次回の健診までの期間が長ければ、一度かかりつけ医に受診しましょう。
妊娠中期に「ティッシュにつく程度の出血」の原因
妊娠中期のティッシュにつく程度の出血には、どのような原因が考えられるでしょうか。
原因1. びらん・ポリープ
妊娠中の出血の原因として一番多いのは、子宮口のびらんやポリープです。基本的に妊娠合併症ではなく、妊娠継続への影響はほとんどないため、比較的安心できる出血の原因と言えるでしょう。
妊娠中の子宮口付近は、普段より血流が豊富なため出血しやすい状況になっています。痛みはないですが、下着との摩擦や衝撃など、何らかの刺激によって出血します。
原因2. 前置胎盤・低置胎盤
前置胎盤・低置胎盤とは、子宮口付近に胎盤がある病態のことです。
胎盤が子宮口をどのくらい覆っているかによって危険度は異なりますが、基本的には帝王切開が必要になります。出血があれば、すぐにかかりつけ医に連絡しましょう。
前置胎盤・低置胎盤の出血は「警告出血」といい、出血量によっては緊急の帝王切開になることがあります。警告出血に痛みがあるケースは少なく、子宮収縮もまばらで気づかないこともあります。しかし、危険度は非常に高いことを覚えておきましょう。
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原因3. 切迫流産・切迫早産
切迫流産・切迫早産とは、流産・もしくは早産しかけている状態です。症状としては、子宮収縮、腹痛、出血が挙げられます。
「切迫流産」は妊娠21週6日までの流産しかけている状態を指し、症状によっては妊娠継続が厳しい場合もあります。
「切迫早産」は、妊娠22週から36週6日までの早産しかけている状態です。基本的には妊娠継続の方針となります。ただし妊娠継続が困難な場合(早産児を出産しそうな場合)には、週数に応じた対応がとれる総合周産期センターでの出産が必要になるため、緊急母体搬送となる可能性があります。
どちらにせよ妊娠継続のために、入院管理もしくは自宅安静にて薬剤投与をすることになります。
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妊娠中期に「ティッシュにつく程度の出血」があったらどうする?
出血があるということは、何かしら妊娠継続が困難となる要素や、子宮口付近に異常があります。必ずかかりつけ医に連絡しましょう。
特に鮮血・子宮収縮・腹痛がある場合は、たとえ少量であったとしても注意が必要。まずはソファーやベッドに横になって安静にし、かかりつけ医の指示をあおぐようにしましょう。放置して治療が遅れると、妊娠継続が難しくなる危険性があります。茶色の出血は危険度がやや低いですが、念のため医師に連絡して、指示をあおぐと安心でしょう。
いつもどおり胎動があったとしても、「これくらいの出血は大丈夫」と自己判断するのは危険です。どの程度の出血でも、必ずかかりつけ医に相談することをおすすめします。
妊娠中期の出血!病院でどう処置してもらう?
病院での処置内容や、診断のポイントを事前に知っておきましょう。
出血への処置内容
病院での処置内容を紹介します。
■びらん・ポリープ
びらんは出血が治まれば、妊娠継続に問題はありません。しかし、ポリープは出血が持続したり、感染を引き起こす可能性があります。切除するかどうか医師の指示を仰ぎましょう。
■前置胎盤・低置胎盤
もともと前置胎盤・低置胎盤と診断されている場合、注意が必要です。すぐに受診し、出血量や週数によっては緊急帝王切開となる可能性があります。いずれにしても妊娠継続をはかるため、入院治療を行うことがほとんどです。
■切迫流産・切迫早産
子宮の入り口の長さや出血の量、子宮収縮の状態より危険度は異なります。入院治療が必要なケースもありますが、自宅安静で問題ない場合もあるので、医師の指示に従いましょう。
出血時の診断ポイント
出血がある場合は、まずどこからの出血なのかを判断することが必要です。エコー検査で出血の部位をさぐり、原因を突き止めます。
子宮収縮がどこまであるのか、子宮頸管の長さはどのくらいか、内診により子宮口の開き具合や硬さなど総合的に判断して、どのような治療が必要かを決定していきます。
出血で受診するときに伝えること
「ティッシュにつく程度」の出血であろうと、医師への相談は必要です。以下のポイントを伝えられるとよいでしょう。
□出血の色や量
□子宮収縮の有無や頻度
□腹痛の有無
□出血が始まった時刻
□断続的かそうでないか
できるだけ正確に伝えられるよう、症状が出た時にスマホにメモするなど工夫しましょう。
《まとめ》
妊娠中期にティッシュにつく程度の出血でも、場合によっては危険度が高い可能性があります。出血の量と色、子宮収縮や腹痛などその他の症状の有無を覚えておき、かかりつけ医に早めに相談しましょう。いずれにしても自己判断で様子を見るのは危険ですので、注意してください。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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