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2021.10.29

妊娠22週の壁とは?妊娠22週の胎児とママの変化や過ごし方

妊娠22週は一般的に、安定期とよばれる時期ですね。妊娠初期に比べると胎児は大きくなり、妊婦さんの体調も安定しやすい時期と言えます。ただし実際には早産に至るケースもあり、この時期の過ごし方にも気をつけてほしいポイントがあります。ここでは「妊娠22週の壁」と、妊娠22週ごろの胎児の様子、妊婦さんの心身の変化、過ごし方について解説していきます。

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「妊娠22週の壁」とは

妊娠22週の壁

 

「妊娠22週の壁」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。この「妊娠22週の壁」について解説していきます。

 

医学的には「妊娠22週の壁」は存在しない

日本では妊娠21週6日までの出産は「流産」とされており、妊娠22週0日以降の出産は「早産」と区別されます。妊娠22週0日を過ぎると、もし早産になってしまった場合も、新生児医療により赤ちゃんが助かる可能性がでてきます。

実は、医学用語としては「妊娠22週の壁」という言葉は存在しません。妊娠22週を過ぎると新生児医療により、赤ちゃんが助かる可能性があるというインターネットの書き込みなどから、「妊娠22週の壁」という言葉が使われるようになったようです。

 

未熟児の生存率と後遺症

新生児医療は以前に比べたら格段に進歩し、出生体重500g未満の赤ちゃんでも、助けられるケースが出てきています。しかしそれでも、残念ながら赤ちゃんが助からなかったり、重篤な障害が残ったりする可能性があります。

 

赤ちゃんが生まれた時の妊娠週数別に見ると、NICU(新生児集中治療管理室)から亡くなって退院する割合はこのとおり。

・妊娠22~23週:45.1%

・妊娠24~25週:17.9%

・妊娠26~27週:9.1%

 

ママのお腹の中にいた週数が長くなるほど、NICUから亡くなって退院する割合は下がっています。

※周産期医療ネットワークデータベースに登録された2003-2007年出生の統計より

 

さらに同じ年における、出生体重別に見る、NICUから亡くなって退院する割合はこのとおり。

・出生体重500g以下:50.0%

・出生体重501g~750g:21.1%

・出生体重751g~1000g:8.4%

 

体重が重いほどNICUから亡くなって退院する割合は下がっています。これらのデータから、妊娠週数が進み、出生体重が重くなるほど、NICUを退院できる可能性が高くなることがわかります。

 

また1000g未満で生まれた赤ちゃんの、3歳児で障害があらわれた頻度は以下のとおり。

・脳性麻痺:10.9%

・両側・片側失明:1.9%

・補聴器使用:1.3%

 

一方で1000~1500gで生まれた場合には、

・脳性麻痺:6.4%

・両側・片側失明:0.2%

・補聴器使用が0.5%

となり、出生体重が重いほど障害が発生する確率は少なくなっています。

※「周産期医療ネットワークデータベース」2003~2005年の出生3歳生存評価例3081名のデータより

 

 

妊娠22週の胎児の大きさと成長

妊娠22週頃の胎児は身長約30cm、体重約500gで、子宮は大きめのメロンくらいの大きさと言われています。上下のまぶたが分離して顔立ちがはっきりしますが、皮下脂肪は少なく、顔はまだしわしわの状態です。頭髪や眉毛・まつげが生え、聴覚も発達する頃です。

また身体を胎脂という脂肪で覆われており、保湿や保温、出産時の潤滑油の役割を果たします。骨や筋肉がしっかりとしてくるため、大きな動きができるようになります。妊娠22週前後になると、超音波で性別を確認できるようになります。

 

 

妊娠22週ごろのママの心身の変化

妊娠22週を過ぎると、子宮と胎児は急激に大きくなり、それに伴い妊婦さんの身体にも大きな変化があらわれます。

 

胎動を感じる

妊娠22週頃になると胎児の骨や筋肉がしっかりと発達し、大きな動きができるようになるため、胎動を感じる人が増えてきます。胎動を感じることで今まで以上に妊娠している実感がわき、親子の絆を感じられるでしょう。

 

食欲が増す

妊娠22週になると多くの人は、つわりの症状がなくなり食欲が増大します。急激な体重増加は、膝や腰の痛み、妊娠高血圧症候群を招く可能性もあります。食べすぎて急に体重が増えないように注意しましょう。

急に増えた体重を減量するのは難しいので、毎日体重を測るのがおすすめです。毎日自分の体重を自覚して、急激な体重増加を防ぐようにしましょう。

 

乳房が発達する

エストロゲンとプロゲステロンの分泌が増大することにより、乳房が発達してきます。また、色素沈着により乳輪が黒ずんでくるのもこの時期です。

 

お腹が大きくなり重心が変化する

妊娠22週頃は、胎児の成長に伴い、お腹がどんどん大きくなる時期です。これにより体の重心が変化して、トラブルが起こりやすくなります。バランスを取りにくく転倒しやすい時期ですので、バランスの取りやすい靴を履くなどして、転倒を予防することが大切です。

また反り腰などになりやすく、腰や背骨に負担がかかる時期でもありますので、姿勢に気をつけましょう。元々腰痛があるような方は、早めから妊婦さん用のベルトで固定することをお勧めします。

 

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妊娠22週の過ごし方で意識したいこと

妊娠22週の栄養

 

前述したように、妊娠22週頃はつわりが落ち着く人が多く、体調も安定しやすい時期です。この時期は、母子ともに元気に出産を迎えるために、少しずつ準備を進めていくと良いでしょう。

 

胎児の身体をつくるための栄養摂取

胎児の成長と妊婦さんの健康のために、バランスの良い食事を心がけましょう。特にタンパク質は胎児の筋肉や皮膚を作るだけでなく、妊婦さんの体力維持のためにも重要な栄養素です。また貧血予防のために、鉄分・カルシウムも積極的に摂取していきましょう。

 

適度な運動を取り入れる

妊娠22週前後は、つわりが落ち着き、体重が急激に増えることが多い時期。お腹の張りがなければ、適度な運動を取り入れていきましょう。

出産・育児には、筋力も体力も必要になります。出産・育児をスムーズに進めていくためにも、この時期から体力づくりをしていくことがおすすめです。妊娠中は水泳やウォーキング、ヨガなどの比較的身体への負担が少ない運動を行いましょう

妊婦さんによってどの程度の運動まで可能かは異なります。かかりつけの産科医や助産師に確認してから始めてみてくださいね。

 

出産や育児について理解を深める

この時期には、自治体や病院で母親学級が開かれていることが多いです。出産間近になって不安を感じないためにも、母親学級に参加したり本を読んだりして、出産までの流れや育児について理解を深めておきましょう。

もし不安なことやわからないことがあれば、妊婦健診の時にかかりつけの産科医や助産師に聞き、不安を取り除いておくことをおすすめします。最近はインターネットで簡単に調べられますが、不確かな情報も多いため注意が必要です。(このコラムは産科医が監修している情報ですので安心してください)

 

切迫早産・早産に注意する

子宮は、妊娠初期から子宮収縮を繰り返ししていると言われています。週数が進むにつれてその収縮の強さは大きくなり、体感する人も増えてきます。子宮収縮の頻度が少なく、微弱なものであれば問題ありません。しかし頻繁に強い収縮を感じる場合には、早産になる可能性があり注意が必要です。

その場合には安静にすることを心がけ、不安を感じる場合には必ずかかりつけの産科医に相談してください。規則的なお腹の張り、性器出血や水っぽいおりものが出る場合には、すぐにかかりつけの産科医に連絡して受診しましょう。

 

 

《まとめ》

 

妊娠22週を過ぎると胎動を感じ、はじめて妊娠の実感が湧いてくる時期です。今回お話した内容を参考にして、母子ともに健康に出産を迎えられるように、妊娠中の生活を工夫してみてくださいね。お腹の張りや出血、出産についてなど、何か心配なことがある場合には、迷わずにかかりつけの産科医や助産師に相談しましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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