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2023.05.24

【医師監修】赤ちゃんのエコー(超音波写真)の見方&何がわかる?

妊婦健診で医師からもらう、赤ちゃんのエコー写真。どのように見るか、正しく知っていますか?「なんとなく赤ちゃんの形は見えるけど、どこを見たらいいの?」と疑問に思うママも多いでしょう。そこで今回は、エコー写真の見方について学んでいきましょう。妊娠期ごとにエコー写真からわかることを解説します。ぜひ自分のエコー写真と見比べてみてくださいね。

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赤ちゃんのエコー(超音波)写真でわかること

赤ちゃんのエコー写真

 

妊婦健診では必ず、お腹の赤ちゃんの様子をエコーで観察します。エコーによって赤ちゃんだけではなく、羊水量や臍帯・胎盤の位置や状態、子宮や他の臓器なども確認できます。

エコーには、2D・3D・4Dがあり、それぞれ特徴があります。

 

2Dエコー

妊婦健診でほとんどの妊婦さんがもらう白黒写真は、「2Dエコー」です。2Dエコーでは、赤ちゃんの身体の断面が映し出されるので、内臓や骨などもしっかり観察できます。

超音波の反射により、色が黒と白に分かれます。黒い部分は反射がないため液体、つまり羊水や血液です。白い反射のある部分は、骨や筋肉など赤ちゃん自身を指します。

 

3Dエコー

「3Dエコー」は、2Dに映し出される各断面をつなぎ合わせたもの。より立体的に赤ちゃんを見ることができます。赤ちゃんの顔のほか、臍の緒を持ったり、あくびをする行動も立体的に映し出されます。

 

4Dエコー

「4Dエコー」は、3Dをリアルタイムの動画で見たものです。妊娠14週から20週あたりは、赤ちゃん全身をエコーで見られる時期。この頃の3D・4Dエコーは貴重で、とてもおすすめです。

妊娠中期~後期では、赤ちゃんの立体的な顔を映し出されます。「ママに似ているね」「上の子にそっくりだね」などという会話も出るかもしれませんね。

 

 

エコー(超音波)写真の用語解説

エコー写真には、様々な用語が記載されています。それぞれの意味は、以下の表を参照してください。

 

用語

意味

GS:gestation sac

胎嚢

CRL:crown rump length

頭殿長(頭からおしりまでの長さ)

AC:abdominal circumference

体幹周囲長/腹部周囲長(赤ちゃんのお腹周りの大きさ)

AFI:amniotic fluid index

羊水指標/羊水インデックス(羊水の量を示す指標)

BPD:biparietal diameter

大横径(児頭の横の直径)

FL:femur length

赤ちゃんの大腿骨の長さ

EFW:estimated fetal weight

赤ちゃんの推定体重でBPD・AC・FLなどから算出される

EDD:estimated due date

出産予定日

SD

標準偏差で、赤ちゃんの大きさが標準と比べてどのくらいかというのを記す

標準ピッタリの場合は「0.0SD」

大きい場合は「+〇〇SD」

小さい場合は「―〇〇SD」となる

 

 

用語や数値を知ると、エコー写真を見る視点も変わり、おもしろくなりますね。

 

 

【妊娠期別】エコー(超音波)写真の見方

エコー写真の見方

 

妊娠初期・中期・後期それぞれにおいて、エコー写真から何がわかるか詳しく解説します。

 

【妊娠初期】のエコー写真

妊娠初期にはどのようなことが確認できるか、見ていきましょう。

 

胎嚢の確認

妊娠初期にまず行うことは、GS(胎嚢)の確認です。妊娠5週6週頃、子宮内に小さな黒い丸のようなものが確認できれば、まず子宮内妊娠で間違いありません。

妊娠検査薬で陽性反応が出たにも関わらず、この時期に胎嚢が確認できない場合は、排卵がずれているか子宮外妊娠が考えられます。

 

卵黄嚢・胎芽の確認

妊娠4週6週目あたりで、胎嚢の中に白いリングが確認できます。これが「卵黄嚢」で、赤ちゃんの栄養成分となります。さらに週数がすすむと、胎児になる前の「胎芽」がすぐ近くに確認できるようになります。

 

心拍・CRLの確認

心拍は妊娠6週頃から確認されます。一番流産しやすいといわれる妊娠初期に、心拍が確認できると、流産率はぐっと減ってきます。

妊娠8週頃からは、赤ちゃんの身体全体がピーナッツのように現れて、キューピー人形のように見えてきます。この時期しかない貴重な形です。CRLの確認もこの頃に行い、妊娠9週10週で平均20~30㎜、ちょうど小さめのイチゴ1個分くらいです。

 

【妊娠中期・後期】のエコー写真

妊娠中期・後期に確認できることを見ていきましょう。

 

胎盤完成

妊娠16週頃には胎盤が完成し、胎盤を通じてママから栄養をもらうようになります。胎盤の位置や大きさも、エコーで確認できます。もし胎盤が子宮口付近にある「前置胎盤」気味であっても、妊娠後期には上の方へずれてくることも考えられるので、毎回チェックが必要です。

 

推定体重

BPD・FL・ACなどの計測によって、赤ちゃんの推定体重を求めます。そしてその体重が発育曲線のどの辺りにあるのか、妊娠中期から後期の妊婦健診で確認します。

体重の増加率も必ずチェックしていきます。もしも成長が止まっていれば、子宮内胎児発育遅延が疑われ、早めの娩出が必要な場合もあります。

 

性別確認

男の子の場合で外陰部がしっかり観察できれば、妊娠16週頃には性別がわかります。

女の子のケースでわかるのは、早くても妊娠17週18週でしょう。体勢によっては外性器を隠していて、出産まで不明な場合もあります。

 

赤ちゃんの向き

赤ちゃんがどのような体勢で子宮内にいるのか、確認する必要があります。逆子や横向きだとしても、妊娠中期であれば戻る可能性が高いでしょう。もし後期になっても戻らない場合は、帝王切開になることがほとんどです。

 

羊水量

羊水量は妊娠7ヶ月8ヶ月でピークに達し、その後次第に減少していきます。

「羊水過多」や「羊水過少」など、何かしらの原因で羊水量が正常ではないケースもあります。その時は原因究明に努め、必要時には胎内での治療を行ったり、早めに娩出することもあります。

 

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エコー写真で赤ちゃんのダウン症はわかる?

ダウン症とは「21トリソミー」といって、21番目の染色体が1本多くなることでわかる、染色体異常の事です。我が国で最も多い染色体異常で、扁平な後頭部、広くのっぺりとした顔面、吊り上がった目尻と低い鼻等が特徴です。

 

ダウン症が疑われる所見

ダウン症が疑われる所見としては、NT(Nuchal Translucency)という首の後ろのむくみが挙げられます。CRLが45㎜を超える妊娠11週頃から、観察が可能となります。

その他、以下の状態が見られます。

 

・手足が異常に短い

・頭が大きい

・心疾患

・特徴的な顔貌

 

ここで注意なのは、エコーではダウン症が疑われる所見がわかるのみだということ。決して確定診断には至らないのです。エコーでダウン症が疑われたら、確定診断のためにNIPT(新型出生前診断)、もしくは羊水検査を受けることをおすすめします。

 

 

《まとめ》

 

妊婦健診のエコー検査では、妊娠週数によって様々なことがわかります。医師や技師は赤ちゃんの顔・性別以外にも、あらゆる異常の有無を観察しています。妊婦さんが思っている以上にとても大切な検査です。エコー写真に記載されている情報で、もし気になることがあれば主治医に確認してみてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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