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2020.11.24

羊水の量が多い?少ない?濁っている?【産科医が答える】羊水にまつわる疑問

ママのお腹の中で赤ちゃんを守る「羊水」。羊水が基準より多い、または少ないと言われたけれど、お腹の赤ちゃんにとってどんな影響があるの?

妊婦健診で羊水量を確認する必要性を解説します。

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羊水の量が多い「羊水過多症」とは

羊水過多

 

羊水は赤ちゃんが飲み込んだり、尿で出したり、羊膜から吸収されたりすることで、妊娠週数に合った量に調整されています。

何らかの理由で羊水の量が増えすぎる場合があり、それを羊水過多といいます。

 

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羊水過多の原因は赤ちゃんの異常とママの糖尿病

羊水過多とは妊娠週数にかかわらず、羊水量が800ml以上の状態を指します。お腹が張るなどママの自覚症状が伴うときは、羊水過多症といわれます。

羊水過多には大きく分けて2つの原因があります。

 

一つは赤ちゃん側の原因です。

中枢神経系異常(無脳症・水頭症・脊椎髄膜瘤など)が原因となり、尿がたくさん出る場合があります。横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、染色体異常などでも羊水量が増えます。

上部消化管通過障害(食道閉鎖症、十二指腸閉鎖症など)で羊水が飲み込めないことが原因の場合もあります。

 

もう一つはママ側の原因で、母体糖尿病(妊娠性糖尿病も含む)の場合です。血糖コントロールが不十分だと赤ちゃんも高血糖となり、尿がたくさん作られてしまいます。

 

 

お腹が張る・吐き気などの症状も

羊水が増え、子宮が大きくなることでお腹が張る、呼吸が苦しくなる、吐く、尿が漏れるなどの症状が出ることがあります。

お腹が張ることが多くなると羊水を包む羊膜が押され、子宮の入り口が開き、切迫早産の恐れも出てきます。

 

 

羊水過多の治療

切迫早産の兆候があれば、それが悪化しないよう治療をします。ママが糖尿病の場合は、血糖コントロールをしっかり行うことが大切です。

 

お腹が大きくなりすぎて呼吸が苦しいなど妊娠継続が困難な場合は、羊水除去という治療をすることもあります。

これはママのお腹に針をさして、羊水を排出する方法です。子宮に穴を開けるので、破水や感染、胎盤早期剥離の危険性もあります。

 

 

羊水の量が少ない「羊水過少症」とは

羊水量が極端に少ない状態のことを羊水過少といいます。

羊水が少ないことで、赤ちゃんの発育に影響が出てくることもありますので、赤ちゃんの健康状態を正しく評価することが大切です。

 

羊水過少の原因は先天的な異常や前期破水

一般的には、羊水量が100ml以下の場合を羊水過少としています。妊娠初期から妊娠中期にかけて発症するのは稀で、その原因のほとんどは赤ちゃんの先天異常によるものです。

予定日を過ぎると胎盤の機能が低下し、それに伴い赤ちゃんの健康状態が悪化して発症する場合もあります。

 

赤ちゃん側の原因としては大きく2つありますが、どれも先天的な異常によるものです。

一つは胎児腎尿路系の先天異常(ポッター症候群、尿路閉鎖など)で、赤ちゃんの尿が作られないもの。もう一つは子宮内胎児発育不全、先天性心疾患といった全身の血流が尿を作る腎臓に流れにくくなる病気です。

 

ママ側の原因は主に2つあります。

妊娠高血圧症候群、過期妊娠、原因不明の胎盤機能不全といった胎盤機能の低下がその一つです。胎盤の機能が低下し、赤ちゃんへの血流が弱くなる事で、赤ちゃんが羊水をうまく飲み込んだり、尿として出す事ができず、羊水が減少していきます。

もう一つの原因は早期の前期破水です。赤ちゃんを包んでいる膜が何らかの原因で穴があき、そこから徐々に羊水がなくなっていきます。

 

羊水過少による赤ちゃんへの影響

羊水が少ないことで子宮の中は狭くなり、赤ちゃんの動きが制限され手足が変形してしまうことがあります。

また、赤ちゃんの動きでさい帯(へその緒)が圧迫されて、赤ちゃんに酸素が届かず苦しい状態になります。羊水が少ない状態が続くことで、肺が正常に機能しないこともあります。

これらが原因で、ママは胎動が少ないと感じることもあります。

 

羊水過少の治療

赤ちゃんが元気で育っているか、エコーや心拍モニターでチェックしていくことが大切になります。

赤ちゃんの状態によって妊娠を継続するか、分娩するか、小児科医と連携を取りながらその時々で産科医は判断していきます。必要に応じて、人工の羊水を子宮内に注入することもあります。

 

 

羊水が濁っている「羊水混濁」とは

羊水混濁とは、赤ちゃんが子宮の中で排出したうんち(胎便)で無色透明だった羊水が濁ることです。

 

■羊水混濁の原因

 

赤ちゃんは普通、子宮の中でうんちをすることはありません。

分娩の時の陣痛によって一時的にさい帯が圧迫され、赤ちゃんが苦しくなり胎便を漏らすことが原因で、羊水混濁となります。

 

■羊水混濁の色は黄色や緑色

 

赤ちゃんの胎便の色は黒緑色です。それが羊水に少量流れると薄い黄色となり、うんちの量が多くなるにつれ、緑色になります。

 

■羊水混濁時の対応

 

羊水混濁は破水した時に初めてわかります。

混濁していると認められた場合には、赤ちゃんの健康状態を確認するため、ママのお腹にベルトを巻いて分娩監視装置をつけモニタリングします。

 

その時の赤ちゃんの元気度によって、分娩の方針が決まります。ママができることは、破水に気付いたらすぐにかかりつけ医に伝えることです。膣から温かい水が流れてきたかもと感じたら、時間は問わずかかりつけ医に連絡しましょう。

 

■胎便吸引症候群

 

分娩の時に赤ちゃんが羊水と一緒に胎便を吸い込み、それが赤ちゃんの肺に詰まってしまい、出生後の呼吸状態が悪化することを胎便吸引症候群といいます。

この状態になっていることがわかると、胎便を取り除く処置や、呼吸を助ける機械を装着するなどの治療をします。

 

 

《まとめ》

 

羊水の量は個人差があり、継続的に見ていくことが大切です。多い、少ない、と言われても必要以上に不安にならないでくださいね。

ママができるのは、医師の指示通りに妊婦健診をしっかり受けることです。また、破水したかも、胎動が少ないかもと思ったら迷わずかかりつけの産科医に連絡しましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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