逆子とはいつ頃わかる?原因とその種類とは
逆子と言われた場合、お腹の赤ちゃんはどのような体勢で子宮の中にいるのでしょうか。
逆子とは胎児の頭が下にないこと
逆子は医療用語で「骨盤位」と言い、胎児の頭が下にないことを表します。妊娠初期〜中期にかけて、胎児は子宮の羊水の中で自由に動いていますが、妊娠32週〜34週頃には頭を下にした「頭位」になるのが通常の過程です。
しかし何らかの理由で胎児の頭が下にならず、お尻や手・足が子宮の入り口側にあると逆子となり、出産の時に問題が生じます。
なぜ逆子になる?ほとんどが原因不明
なぜ逆子になってしまうのでしょうか?いくつか考えられる原因はありますが、実は大抵は原因不明なことが多いです。
■子宮の形が通常と違う場合
双角子宮と言われる、子宮がハートのような形をしている場合や、子宮筋腫によって子宮が変形していたり産道を邪魔している場合など。胎児が頭を下にすることができない時に、逆子のままで経過することがあります。
■胎盤の位置が子宮の低いところにある場合
胎盤の位置は、通常子宮の半分より上の方にあることが多いです。まれに子宮の入り口付近にあると、逆子になる可能性があります。
■羊水が通常より多い場合
羊水過多といって通常より羊水が多めの場合だと、妊娠後期でも赤ちゃんが自由に動けるスペースがあるため、逆子になりやすい場合もあります。
逆子(骨盤位)の種類
逆子といっても、様々な種類の赤ちゃんの体勢があります。
1. 単臀位(たんでんい)
胎児のお尻が下で、V字の形をしている逆子です。骨盤位の約8割がこの形になります。
2. 複臀位(ふくでんい)
胎児があぐらの状態です。足とお尻が一緒に産道を通ることになってしまうため、通り道が頭よりも大きく必要になってしまいます。
3. 足位
両足を揃えて立った状態(全足位)、片足で立った状態(不全足位)の2種類があります。足から出てしまうと、一番大きな頭が最後になるため出産の際に危険が伴います。足が出た後に身体より先に臍帯(さいたい)が出てしまう、臍脱という非常に危険な状態になる場合もあります。
4. 膝位(しつい)
膝立ちのような体勢で、両足膝立ちの場合と片膝だけの場合があります。
5. 横位
胎児が横向きの場合で、肩や手が先に出てきてしまいます。
エコーで逆子と診断されたら!頭位に戻すための対処法
お腹の赤ちゃんに逆子から頭位になってもらうため、どのような対処法があるのかみていきましょう。
逆子を治すための「逆子体操」
逆子体操は医学的根拠が立証されてはいませんが、助産師や医師の経験上、逆子体操で頭位に戻る赤ちゃんもいるのは確かです。何もしないよりは何かできることをしたい、というのが妊婦さんの正直な気持ちですよね。
逆子体操のやり方1. 膝胸位(しつきょうい)
・四つん這いになり、足は肩幅に開きます。
・お尻を上げたままで胸を床につけるようにおろします。
・両腕はうつ伏せ寝をするときのように、おでこと床の間に入れたり、頭の近くなど楽な場所におきます。
・枕かバスタオルを畳んだものに手や頭を置くと楽かもしれません。
・この状態で5分から10分くらい過ごしますが、辛い時は無理せずやめましょう。あまり頑張りすぎるとお腹が張ってきてしまい、余計に逆子が治りにくくなってしまいます。
・その後すぐに赤ちゃんの背中がある方と逆側を下にし、側臥位(横向きの体勢)になって安静に過ごします。
膝胸位がつらいときは、赤ちゃんの背中がある方と逆側を下にした側臥位で休むだけでもよいです。
関連ページ
✔【逆子体操1】助産師による動画「胸膝位(きょうしつい)体操」やり方
逆子体操のやり方2. 骨盤高位
・膝を立てた状態で仰向けに寝て、腕は楽な場所にリラックスしておきましょう
・お尻の下に10〜15cmくらいの高さのクッションやバスタオルを畳んだものを入れます。
・この状態で5〜10分深呼吸をしながら安静にします。
・慣れたら、片腕を挙手するように上に伸ばし、脇の下から足にかけてお腹の横の筋肉を伸ばします。
・赤ちゃんの過ごすスペースが広がるイメージをもちながら、もう片方の手で伸ばしているお腹の横の筋肉をさすります。
関連ページ
✔【逆子体操2】助産師による動画「ブリッジ体操」の正しいやり方
逆子を治すための外回転術・鍼灸治療
■外回転術
施術者が両手を使って、お腹の上から赤ちゃんを回転させる方法です。痛みを伴うこともあり、麻酔をして行うこともあります。
この施術は前期破水、胎児の心拍数の悪化、常位胎盤早期剥離など危険も伴いますので、緊急時にすぐ対応できる体制が整っている病院で受けることが大前提です。医師から十分な説明を受け、同意した場合のみ施術を受けましょう。
■鍼灸治療
逆子治療を得意とする鍼灸院で治療を受けることも可能でしょう。鍼灸治療は逆子だけでなく、つわりの軽減、切迫早産の予防など母体の体質改善にも有効な場合があります。
逆子が治らないと帝王切開になる?
分娩時まで赤ちゃんが逆子だと、出産方法はどうなるのでしょうか。
逆子の確率は妊娠36週~分娩時までに減少
赤ちゃんが逆子の確率は、妊娠中期までは30〜50%と高い割合です。しかし妊娠30週では15%、妊娠34週頃には10%、妊娠36週頃には7%と減っていき、分娩時は5〜3%となります。
逆子は経膣分娩よりも帝王切開が選択される
逆子で経膣分娩をする場合、以下のようなリスクが伴うので帝王切開が選択されます。
・臍脱と言われるへその緒が、胎児より先に子宮の外に出てきてしまう場合があり、胎盤から赤ちゃんへの血液供給が滞ることで低酸素状態になる
・微弱陣痛となり、分娩が長引くことで胎児機能不全、母体の多量出血の恐れがある
・逆子の体勢によっては頭が出にくくなり、胎児機能不全や分娩停止からの緊急帝王切開となってしまう
・羊水が急激に減少して胎児に強くストレスがかかり、胎児機能不全になる
現在は、上記のような逆子の経膣分娩によるリスクに比べ、帝王切開で胎児を娩出する方が安全であるという考えが主流となっています。
《まとめ》
逆子とは、子宮の中で胎児の頭が下にないことをいいます。妊娠後期になるにつれて逆子の割合は減っていきますが、逆子で経膣分娩となると母体と胎児に大きなリスクが伴うため、帝王切開を選択することになります。逆子を直す対処法は逆子体操、外回転術、鍼灸などがありますので自分に合った方法を試してみましょう。
※写真提供:PIXTA
関連ページ
✔妊娠28週の壁とは?【産科医】胎児とママの様子・逆子の対処法
✔【予定帝王切開】するのはどんな時?産科医が帝王切開を選ぶケースとは
1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
>詳しく見る