切迫流産とは何か?
「切迫流産」とは、一言で言うと「流産のリスクが通常より高い状態にある」ことです。
「流産」とは、妊娠したにもかかわらず、妊娠22週未満で赤ちゃんがママのお腹の外に出てきてしまう、あるいはお腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまうことです。ちなみに「妊娠22週0日から36週6日までの分娩」は、「早産」と定義されています。
妊娠22週未満の赤ちゃんは、ママのお腹の外では生きていくことができませんので、早産にはなりません。切迫流産の原因は不明なことが多いですが、安静加療により90〜95%は正常の妊娠に戻ると言われています。
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切迫流産の原因とは?「早期流産」の場合
医療機関で確認された妊娠のうち、15%前後が流産になります。「早期流産」と言って、妊娠12週未満の早い時期での流産が8割以上を占めます。
その原因のほとんどが、赤ちゃんの染色体異常によるものと言われています。ですから受精卵の段階で運命が決まっており、基本的に流産を予防することや止めることはできません。
ママの生活や運動などが原因で起こることは、ほとんどないと言われています。赤ちゃんの染色体異常は、受精の過程で起こる偶発的な事故のようなものです。とても悲しい出来事ではありますが、ママが自分を責めることはしないでくださいね。
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妊娠12週~の「後期流産」の原因
妊娠12週以降の後期流産になると、子宮内感染、絨毛膜下血腫、子宮頸管無力症、子宮奇形など母体側の原因によるものが増えてきます。切迫流産の段階で、それぞれの疾患に対する治療が行われることになります。
切迫流産の主な症状
切迫流産の主な症状は、下腹部の張りと痛み、性器出血です。
切迫流産の症状1. 下腹部の張り・痛みについて
切迫流産の症状のひとつ、下腹部の張りと痛みについてです。
まだ子宮が小さいので、子宮が張る(硬くなる)感じは分かりにくいかもしれませんが、生理痛のような痛みを伴います。正常な妊娠でも、軽い下腹部の張りや痛みは起こることがあります。
もしそのような症状を感じたら、暖かくして横になるなど安静にしてみましょう。安静にしても頻繁に張りを感じたり、痛みがどんどん強くなる場合には、かかりつけの病院に連絡してみましょう。
切迫流産の症状2. 出血について
切迫流産の症状には出血もあります。
おりものに茶褐色の血液が少量混じる程度でしたら、安静にしつつ様子をみても良いかもしれません。血液の色が鮮やかな赤になったり、量が生理の時のように増えていく場合には、かかりつけの病院に連絡してみましょう。
出血の原因としては、絨毛膜下血腫(胎盤の下に血のかたまりができる)が比較的多いようです。入院するなど、安静にしていると自然に吸収されていって治癒することが多いです。
またお腹の赤ちゃんはすでに亡くなっていても、下腹痛・性器出血などの症状がない場合もあります。自覚症状がないため、病院での診察で初めて確認されます。
切迫流産の治療は安静がいちばん
切迫流産の治療は、安静が一番です。妊娠したら無理な運動や身体に負担がかかることは避けましょう。
切迫流産による安静が必要となった場合には、どの程度の安静が必要か、医師に確認すると良いですね。子宮収縮抑制剤、止血剤、ホルモン剤、抗生物質(感染が原因と考えられる場合)などの薬物治療も行われることがありますが、薬剤で確実に治るという保証はありません。
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《まとめ》
早期流産の原因は、ほとんどが赤ちゃんの染色体異常によるもので、予防や治療で止めることはできません。またそれ以外の原因で切迫流産となった場合には、現在のところ安静が一番の治療となっています。妊娠初期はつわり症状などもあり、ママは心身ともに大変な時期ですが、無理な運動や身体への負担をさけ、ゆったりと過ごしましょう。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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