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2022.03.23

【女性労働協会監修】切迫流産で安静が必要と診断されたら仕事はどうする?休めないときの対処法

妊娠経過の途中で切迫流産と診断された場合、働く妊婦さんにとっては「仕事を続けられるかどうか」ということが一番心配ではないでしょうか。途中で仕事に穴をあけてしまったり、職場に迷惑をかけてしまうことへの自責の念や、休職中の収入面に関して不安を覚える妊婦さんもいるでしょう。今回は、切迫流産で仕事を休めないときの対処法や、休職期間中の手当について紹介します。

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切迫流産とは?仕事はできる?

 

「切迫流産」とは、妊娠22週未満で「まだ流産はしていないが、流産しかかっている状態」のことを指します。切迫流産では、まだ胎児が胎内で生存しています。胎児の心拍が止まっている、もしくは成長が止まっている「流産」とは大きく異なります。

妊娠22週未満での出産は、現在の治療では胎児を助けることが出来ないため流産となってしまいます。

 

そして主な症状は出血、下腹部痛です。正常に妊娠経過をたどっていたとしても、出血、下腹部痛などの症状があれば、切迫流産と診断されることがほとんどです。

切迫流産となっても、約70%が正常に出産しています。これは診断された後に、適切な治療を受けたからと言ってもいいでしょう。

 

切迫流産は安静が必要に

切迫流産の治療は、安静が基本となります。切迫流産の程度により安静度は異なってきますが、基本的にはかかりつけの産科医の指示に従うことになります。

 

一般的に「自宅安静」は、明らかな切迫流産の所見はないものの、子宮収縮の自覚症状や少量の出血など、妊婦さんに何らかの症状が現れた場合に指示されることが多いです。

医師が具体的な指示をだして、妊婦さんの自宅での生活を制限することは難しいもの。家にいる以上、ある程度の日常生活は送ることができます。

自宅安静というのは、「最低限の動作で生活を送る」こと。基本的には必要最低限の動作で、ソファー等に横になっているような状態です。

よほど重症な場合以外、このように自宅安静となることが多いです。そして必要であれば、自宅安静に加え、医師の判断で薬物療法が始まります。

 

もし何らかの症状があって切迫流産と診断された場合、働く妊婦さんにとって「仕事を続けられるか」はとても重要でしょう。切迫流産と診断されたら、基本的には職場での移動は不可ですので、出勤はできません。状況によっては在宅勤務、テレワークなどに変更できれば、自宅での仕事は続けられるかもしれません。

 

緊急性が高い場合は入院治療になることも

重度の切迫流産で入院治療となると、トイレや洗面は車いす、もしくはベッド上で行い、シャワーは不可になることが多いもの。場合によっては食事でも、看護師または助産師の介助が必要になってきます。とにかく重力をかけないように、常に寝たままの状態になることを覚悟しましょう。

 

どちらにしても切迫流産とは、「流産しかかっている状態」であることを認識しましょう。仕事に対する不安は大きいかもしれませんが、赤ちゃんを第一に考えましょう。しっかり安静を行うことで、切迫流産は改善傾向に向かいますので、仕事はそれからでも遅くはありません。

 

ちなみに妊娠初期の流産の原因は、胎児側の染色体異常であることがほとんど。流産自体が避けられない場合もあります。進行流産といって、安静にしても流産の進行を止められないこともありますので、その点は覚えておく必要があります。

 

 

切迫流産と診断されたときの安静・休職期間

切迫流産で安静と指示されると、症状により「自宅安静」か「入院安静」のどちらかになります。

 

自宅安静の場合は、明らかな流産の兆候はないものの、妊婦さんの自覚症状がある場合、それらが改善するまでおおよそ2~3週間の安静を必要とします。改善すればもちろん仕事復帰は可能でしょう。

入院安静の場合は、重症度が高いことが多いです。改善すれば退院できますが、基本的には仕事復帰は厳しいでしょう。中には、そのまま切迫早産となり、出産まで退院できない場合もあります。

 

安静解除も仕事復帰も、医師の指示に従う必要がありますので、決して個人で判断しないでください。特に医療や介護、保育に関わる仕事などの場合は、体力を使いますので注意が必要です。

 

切迫流産の場合は、家族のサポートがとても重要になってきます。家族によるサポートが得られる時はお願いし、そのほか社会的なサービスも含め、ぜひ利用してください。妊婦さんの代わりに、出来ることは手伝ってもらいましょう。

 

 

切迫流産でも仕事を休めないときの対処法

 

切迫流産となってしまったけれど、仕事を休みづらい、または休めないときはどのような対処をすればいいのでしょうか。ここではその対処法について紹介します。

 

妊娠の事実をすぐに上司に伝える

切迫流産とは、あと一歩で流産となってしまう状態のこと。特に妊娠12週未満の早い時期の流産が、8割以上とほとんどを占めており、妊娠初期は重要な時期です。

 

もし妊娠の事実を上司に伝えていない場合は、すぐに伝えて必要な措置を講じてもらいましょう。妊娠して仕事を続けるということは、周囲にも少なからず影響を与えます。周囲の協力や理解を得るためにも、すぐに妊娠の事実と切迫流産について、説明する必要があります。

 

かかりつけの産科医の診断内容を伝える

切迫流産と診断されても、その事実をなかなか上司に相談できない妊婦さんもいるのではないでしょうか。繁忙期であったり、代替のスタッフがいない、休むと迷惑がかかってなかなか上司に言えないなど、その事情は様々。ですが、赤ちゃんを守ることが最優先です。一刻も早く伝える必要があります。

かかりつけの産科医からの診断と現在の状況を、自分の口から上司に伝えましょう。はっきりと伝えることで、今後の信頼関係にも影響してきます。

 

母子健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)を活用する

自分の口からはっきりと、かかりつけの産科医の診断を伝えられない場合は、「母健連絡カード」を活用するのもよいでしょう。

母健連絡カードとは、働く妊婦さんのために作られた正式な証明書類。その診断と指導事項に基づいて、事業主は適切な措置を講じなければいけません。

 

内容は休業を含め、勤務時間の短縮、時間外労働の制限、通勤時間帯の変更など、働く妊婦さんの体調に応じてかかりつけの産科医が判断します。雇用形態に関係なく効力を持ちますので、働く妊婦さんの最大の味方といっても過言ではないでしょう。

 

 

切迫流産で休職したときにもらえる手当

切迫流産で休職が決まった時、もうひとつ不安に感じるのは収入面ではないでしょうか。こんな時は、「傷病休暇」と「傷病手当」を利用しましょう。

傷病休暇は、病気やケガのため仕事を休むときに使用できる休暇。傷病手当とは、休暇の際に事業主から給与を受け取れない場合に、健康保険からでる手当のことを指します。

 

傷病手当は、雇用形態に関わらず受け取ることが出来ます。ただし健康保険が夫の扶養となっている場合は、受け取ることが出来ませんので注意が必要です。

 

また傷病手当を受け取るには条件があります。

・健康保険をかけて1年以上であること

・切迫流産を含む病気やケガで仕事が出来ないこと

・連続して4日以上仕事が出来ないこと

・休暇中に給与の支払いがないこと

が挙げられます。

 

夫の扶養に入っている、もしくは休暇日数が4日未満の場合は、欠勤扱いか有給休暇扱いとなりますので、職場に確認しましょう。おおよその手当の額としては、過去1年の平均的な月給の3分の2です。加入している健康組合に問い合わせるとよいでしょう。

 

 

《まとめ》

 

働く妊婦さんが切迫流産となって安静の指示がでると、仕事や収入面について不安が出てくるのは仕方のないこと。しかし一番は大切なのは、母親として赤ちゃんをしっかりと守ることです。職場の理解と協力を得ながら、妊娠が無事に継続できるようにしっかりと安静にしましょう。収入面では傷病手当がありますので、知っておくと安心ですね。

 

※写真提供:PIXTA

           

1952年に名称を婦人少年協会として当時の労働省婦人少年局(現・厚生労働省雇用均等・児童家庭局)の外郭団体として発足。

1980年に財団法人となり、1999年、「女性労働協会」と名称を変更。

2012年には一般財団法人として、働く女性の地位向上及び女性労働者の福祉の増進を図ることを目的とし、さまざまな事業を展開している。

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