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2023.09.26
【医師監修】出産時に子宮口が開かない?開きにくい原因・妊娠中にできる対策
出産する時は子宮の入り口(子宮口)が10cmほど開き、そこから赤ちゃんが出てきます。子宮口は分娩の進行とともに開くものですが、どうしても開きにくい産婦さんもいます。この記事では、子宮口が開かない場合の原因と、出産時の医療処置を学んでいきましょう。子宮口が開きにくい人にみられる特徴や、開くために妊娠中からできる対策についても、産科医師が解説していきます。
目次
「子宮口が開かない」とは?どんな状態?
子宮口とは、子宮の入り口(赤ちゃんの出口)のこと。出産予定日が近づくと、妊婦さんの身体は出産の準備を始めます。
「前駆陣痛」という、本陣痛の前の不規則な陣痛が始まり、それが子宮口を柔らかくし、開きやすい状態にしていきます。そして「本陣痛」がくると、さらなるホルモンの影響で子宮頸管はもっと柔らかくなります。赤ちゃんが子宮口のほうへ下がるにつれて、次第に子宮口も押し広げられます。
子宮口はもともと塞がっていますが、出産時には10cmほど開いて赤ちゃんが出てきます。
出産予定日の前後になっても子宮口がまだ硬く、陣痛が起きたとしてもお産が進まないような状況を、「子宮口が開かないのでお産が進んでいない」と表現します。分娩中もなお子宮口が開かなければ、出産が長引くことがあります。
出産予定日を過ぎた妊娠42週以降は「過期産」と言って、胎盤機能が低下し、出産時や分娩後の胎児に影響を及ぼす可能性があります。
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子宮口が「開きにくい人」「開きやすい人」の特徴
子宮口は、開きにくい人と開きやすい人がいます。それぞれの特徴と違いには、以下のようなものが挙げられます。
子宮口が「開きにくい人」
初産婦さんや緊張している妊婦さんは、子宮口が開きにくい傾向があるようです。高齢出産や、子宮奇形、子宮頸管損傷後などのママも開きにくいと言われています。
子宮口が「開きやすい人」
出産経験のある経産婦さんは、子宮口が開きやすいと言われています。
また
・子宮頸管無力症で妊娠中手術を受けている
・切迫早産、流産の既往がある
場合は、子宮口が開きやすいです。
また、前回経験したお産が早かったママも子宮口が開きやすいことが多く、墜落産となる可能性があり注意が必要です。
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子宮口が開かない原因
子宮口がなかなか開かない原因を紹介していきます。
1. 軟産道強靭(なんさんどうきょうじん)
軟産道とは赤ちゃんが通る道の1つで、筋肉からなり、子宮口や子宮頸管、膣が含まれます。「軟産道強靭(なんさんどうきょうじん)」は、この軟産道が平均よりも固く伸びが悪い状態で、子宮口が開きにくいことを指します。
原因には様々なものがありますが、過去の手術や出産による傷、体質、加齢により、筋肉の柔軟性が悪いことが考えられます。高齢出産になればなるほど、軟産道強靭のリスクが高まると言われています。
2. 初産婦
初産婦さんは、経産婦さんに比べて子宮口が硬いことが多いです。
子宮口が全開大するまでの時間は一般的に、
・初産婦さん:10~12時間
・経産婦さん:4~6時間
と考えられています。
3. その他
その他に子宮頸管の損傷、子宮筋腫などの既往歴や、精神的なストレスも関係していると言われています。
子宮口の開き具合と出産までの流れ
子宮口の開き具合と、出産までの流れを時期別に見ていきましょう。
前駆陣痛
「前駆陣痛」とは一般的に、本格的な陣痛の前段階に起こる、不規則なお腹の張りと痛みを指します。本陣痛前の子宮収縮であり、痛みがあったとしても不規則。間隔もバラバラで、遠のいてなくなってしまうのが特徴です。
前駆陣痛はそのまま本陣痛につながることもありますが、本陣痛まで数日から数週間かかることもあります。前駆陣痛が始まれば、子宮頸管も柔らかくなってきていることが多いです。次第に間隔が短くなって入口も開いていきますので、本陣痛を待ちましょう。
本陣痛
「本陣痛」は、10分毎の規則的な痛みのある子宮収縮のこと。
本陣痛前には、おしるし(産徴)という出血がある人もいます。これは赤ちゃんを包んでいる卵膜が子宮壁から剥がれて、出血が粘液に混ざって出てくるもの。個人差がありますが、おしるしがあれば出産が近い証拠です。
分娩第一期
陣痛開始から子宮口が全部広がるまでの期間を、分娩第一期と言います。
子宮口が1~2cm開いている時期を「潜伏期」、3~4cm開くと「移行期」、5~9cm開くのが「活動期」です。活動期は急速に分娩がすすみ、破水も起こりやすくなります。
分娩第二期
子宮口が全開し、赤ちゃんが生まれるまでを分娩第二期と言います。赤ちゃんが下がってくるため、膣や会陰、肛門あたりの痛みが強くなります。
分娩第三期
赤ちゃんが生まれて、胎盤が出てくるまでを分娩第三期と言います。その後は広がった子宮が元の大きさに戻ろうと収縮するため、後陣痛が発生します。
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子宮口が開かないときはどうする?医療処置は?
子宮口が開かない場合は、以下のような処置を行います。
・内診で卵膜剥離を行う
・バルーン・ラミナリアを使って子宮口を広げる
・陣痛促進剤を使って人工的に子宮収縮を起こし、子宮口を広げる
それでも軟産道強靭や遷延分娩により、赤ちゃんやママが耐えられそうにない場合は、緊急帝王切開が必要になる場合もあります。
【体験談】子宮口がなかなか開かなかったママ
ここで子宮口がなかなか開かなかったママの、出産体験談を紹介します。
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- 陣痛が10分間隔になり、いよいよ入院と思って受診したものの、子宮口はまだ1cm。気が遠くなるようだった。そこから陣痛に耐えながら20時間近く経っても子宮口は開かず、かなりつらい時間を過ごした記憶。4cmに開いてからは、思ったよりもお産が急に進み、結局2時間たらずで生まれることに!最初はあんなに子宮口が開かなかったのに…急にお産が進んでびっくりした。
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- 初めてのお産で、陣痛がどのようなものかわからず、前駆陣痛で3回ほど入院した。最後の健診では子宮口が3cm開いてきていると言われ、順調かなと期待していた。しかし、しばらく前駆陣痛に悩まされたあげく、結局予定日を超えても出産に至らず、バルーンと促進剤を使用してやっと生まれた。
妊娠中にできる!子宮口を開きやすくする対策
安産を目指し、妊娠中からできるだけ子宮口を開かせるような対策をしておきたいですよね。ここからは、妊娠中からできる方法を紹介していきます。
体重管理
妊娠中の体重管理は、非常に重要です。肥満体型の人や、妊娠中に体重が増えすぎたママは陣痛が弱くなる可能性もあり、子宮口が開きにくくなります。適性体重に抑えるようにコントロールしましょう。
適度な運動
急激な体重増加を防ぎ、また体力をつけるために、適度な運動を行いましょう。激しい運動は禁物ですが、体調がよい日にウォーキングやマタニティスイミング、ヨガなどをするといいでしょう。
呼吸法を取り入れたイメージトレーニング
特に初産婦さんは陣痛の痛み、恐怖によって緊張しがちです。(経産婦さんでもしばしばありますが)緊張すると子宮口が開きにくくなることがあるので、出産時の呼吸法と合わせて、イメージトレーニングをしておきましょう。
《まとめ》
子宮口の開き方には個人差がありますが、できるだけスムーズなお産を目指したいもの。日頃からリラックスを心がけ、適度な運動、体重管理をしながら、イメージトレーニングをしてお産をむかえましょう。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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