「おしるし」から陣痛・破水・出産へ
出産が近いことを知らせてくれる「おしるし」が来たら、その後どのような経過をたどって出産となるのでしょうか。
おしるしとは一時的な出血
おしるしとは、どんなものでしょうか。
子宮は出産に向けて張りを起こし、赤ちゃんを出す準備を始めます。赤ちゃんを包んでいる「卵膜」と子宮の筋層の接着部分は、毛細血管で結ばれています。不規則な子宮の「張り」が起きることで「卵膜」と子宮の筋層にズレが生じて剥がれ、毛細血管から破綻することで出血が起きます。
この血液とおりものとが一緒に混じった、ドロッとした粘液のことをおしるしと言います。量は少量から生理のときくらい多い場合もあります。色はピンク、暗赤色、茶褐色などです。
さらさらと真っ赤な血液が流れ続けたり、大きな血の塊が出てくる時は、おしるしではなく気を付けるべき出血かもしれないので、すぐに病院に連絡しましょう。
おしるしは出産が近いサイン
おしるしは本格的な陣痛の前に出る人と、陣痛が強くなってから出る人がいます。おしるしは子宮収縮が原因で起きるもの。あとどのくらいで生まれるという時間的な目安はありませんが、赤ちゃんともうすぐ会えるサインのようなものだと理解してくださいね。入院に備えて荷物のチェックや、生まれるまでのシミュレーションを改めて復習しておくと良いでしょう。
陣痛の開始と破水
陣痛、破水についておさらいしておきましょう。
■陣痛とは周期的で10分以内の間隔で起きる子宮収縮のこと
母親学級などで出会う妊婦さんの中には、陣痛がわかるか心配と話す人も少なくありません。前駆陣痛といって、陣痛の予行練習のような痛みがあり、それと区別が難しいという妊婦さんもいます。陣痛の定義は、周期的に10分以内の間隔で子宮収縮が来て、徐々に強くなり出産まで続くこと。
例えば5〜7分間隔で痛みが来ていても、2〜3時間で止まってしまった場合は前駆陣痛になります。本格的な陣痛かどうかわからず不安な妊婦さんは、受診している病産院に相談してみましょう。
■破水とは赤ちゃんを包む卵膜が破れて羊水が流れること
破水とは何らかの原因で、赤ちゃんを包んでいる膜に穴が開いたり破けることで、羊水が外に流れ出ることです。子宮の入り口が全部開いて、赤ちゃんの頭がぐっと下がってくる時に破水するのが一般的なタイミングです。
陣痛が来る前に破水することを、前期破水と言います。破水することで細菌感染の恐れが出てきます。破水したかもと思ったら、入浴は避けて清潔なナプキンをあててすぐに病院に連絡しましょう。
おしるしが来てから陣痛までの時間
おしるしがきたら、いつ陣痛がくるのでしょうか。一般的にどれくらいの時間で陣痛開始するのか目安をお伝えします。
おしるしから陣痛開始までは当日〜3日後くらい
おしるしの後は何時間後に陣痛がくる、という明確な基準は残念ながらありません。おしるしが来たその日〜3日以内に陣痛が開始する人が多いようで、全体の約50%と言われています。
ただおしるしがあって1週間後に陣痛がくる人もいますし、全くおしるしがなく陣痛が開始する人もいるので気にしすぎないでくださいね。
もしおしるしがあったら、もうすぐ出産かもと焦ったり不安になったりせず、落ち着いて過ごしましょう。有効な陣痛のためには、まずはリラックスが大切です。それから、体が冷えているようであれば温めて、しっかり栄養と水分をとること。出産のために体力を温存しておきましょう。
出産入院のための準備
おしるしがきてから出産までの時間は人それぞれなので、おしるしが出たタイミングで入院準備の確認を改めてしておくと安心です。
以下のとおり、確認事項をまとめたので参考にしてくださいね。
□清潔なナプキンをあてる
□母子手帳や診察券はすぐ出せるようにしておく
□入院グッズに忘れ物がないか確認をする
□病院までの交通手段を確認する
□「おしるしがあったのでもしかすると陣痛が来るかも」と家族に伝えておく
□上の子がいる場合は、入院時の面倒をみてくれる人の確認をする
□遠出せず、なるべく家から近い範囲内で行動する
《まとめ》
おしるしが来てから陣痛、破水の順番で出産になる妊婦さんが多いですが、その順番で来なかったからと言って心配しなくて大丈夫です。おしるしの後1〜3日くらいで陣痛が開始する妊婦さんが半数のようですが、1週間後に来たという人もいたり個性があります。おしるしは出産が近いというサインであって、出産の始まりの合図ではありません。入院準備をしながら、焦らずゆったりと、いつも通りに生活して出産の時を待ちましょう。
※写真提供:PIXTA
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2人目出産の人、おしるしから陣痛までどれぐらいかかった?
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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