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2023.05.08
妊娠初期のお腹の張りはどんな感じ?【医師】違和感・痛みは大丈夫?
妊娠中、「お腹の張り」には気をつけたいもの。ですが「お腹の張りってどんな感じなのかわからない」、という妊婦さんの疑問もよく聞きます。お腹が大きくなる前の妊娠初期の段階では、まだ自覚しにくいことも多いです。この記事では、妊娠初期のお腹の張りはどのように感じるのか、また気をつけたいお腹の張りについても解説します。
目次
「お腹が張る」ってどんな感じ?妊娠初期・中期・後期での違い
「妊娠中にお腹が張る」という状態が、そもそもどんな感じかわからない人も多いでしょう。お腹の張りは妊娠期間を通して感じることがありますが、初期・中期・後期では張りの感じ方は少し変わってきます。
妊娠初期(〜妊娠15週まで)のお腹の張り
妊娠初期(〜妊娠15週まで)はまだお腹が大きくないため、お腹が張る感覚がわかりにくいでしょう。お腹が張っているというよりも、以下のように感じることが多いです。
・お腹がチクチクする
・引っ張られているような感じがする
・生理痛のような重だるい感じがある
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妊娠中期(妊娠16週〜27週まで)のお腹の張り
妊娠中期(妊娠16週〜27週)になると、お腹の赤ちゃんはどんどん大きくなります。赤ちゃんの成長に伴い、子宮もだんだん伸びて大きくなります。 この過程では、子宮が生理的にグッと収縮してから伸びることがあります。 このグッと収縮した感覚を「張り」と感じるようです。
伸びる過程での一時的な収縮はすぐにおさまり、張りが何度も繰り返し起こることはありません。
妊娠後期(妊娠28週〜)のお腹の張り
妊娠後期(妊娠28週〜)は、出産に向けてお腹の張りが増えてくる時期です。ただし、早産と言われる妊娠36週までにお腹の張りが増えると、出産に至る可能性があるので注意が必要です。
また妊娠後期に入ると、「前駆陣痛」と言われる、陣痛に至る前の不規則なお腹の張りと痛みが出てきます。前駆陣痛は不規則なお腹の張りのため、陣痛の違いがわかりにくいケースもあります。
もしお腹の張りが増えてきて、家で様子をみていてもいいか不明な場合は、かかりつけの産科医に連絡し相談してください。
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✔前駆陣痛とはどんな痛み?どれぐらい続く?本陣痛との違いとは【産科医】
妊娠初期に「お腹の張り」を感じるのはいつから?
妊娠初期にお腹が張る場合、それはいつ頃からなのでしょうか。
妊娠が発覚後すぐ感じることも
下腹部がチクチクするような感覚から、お腹が張っていると感じる人がいます。お腹がチクチクするのは、子宮が伸びたり引っ張られるのではなく、皮膚が伸びることでの違和感からくるもの。この違和感は妊娠4週前後で出る場合もいます。
妊娠初期は赤ちゃんが着床し、妊娠を維持するため、ホルモン分泌が大きく変化します。そのため妊娠が成立してすぐの妊娠4週前後で、変化や違和感を覚えることもあるでしょう。妊娠中期には胎盤が完成して体調も落ち着き、お腹の張りや違和感は少なくなることが多いです。
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妊娠初期に「お腹が張る」原因と対処法
妊娠初期からお腹がパンパンになることはあまりないですが、お腹が張る原因はいくつかあります。
・便秘やガスがたまる
・子宮の収縮
・皮膚が引っ張られる
生理的にお腹が張るような状況ですが、原因別の対処方法を解説します。
お腹の張りの原因1. 便秘やガスがたまる
妊婦さんの身体は妊娠維持のために、黄体ホルモンという女性ホルモンが多く分泌されます。このホルモンには、筋肉の動きを抑制する働きがあります。また黄体ホルモンは妊娠維持だけでなく、腸に作用してその動きを抑制することもあります。その結果便秘になり、ガスが排出されず溜まってしまい、お腹が張ります。
【便秘やガスがたまってお腹が張るときの対処法】
■食事での改善
便秘には、食物繊維を含む食材を食べるなど工夫したり、水分のこまめな摂取で徐々に改善していきます。海藻類やリンゴ、ドライフルーツなどがおすすめです。また、水分は冷たいものをたくさん摂るのではなく、常温もしくは温かい飲み物をこまめに摂取しましょう。
妊娠初期はつわりの人が多く、バランスのいい食事を摂るのが難しい場合もあるでしょう。その時はバランスは考えすぎずに、食べやすいものを食べてください。
■トイレの習慣をつける
ガスが溜まり、さらに便秘になると苦しいので、そうならないためにもトイレの習慣をつけることが何よりも大切です。トイレに行きたいタイミングで我慢したり、すぐに行けない状態を続けると、便秘がひどくなってしまいます。
仕事で忙しく時間がないなど事情があるかもしれませんが、まずは毎朝トイレに行く習慣をつけてください。
■軽い運動をする
妊娠初期は運動をしてはいけないと思う人もいますが、激しい運動でなければ問題ありません。軽いストレッチやウォーキングなど、適度な運動は便秘改善に有効です。
ただし食事や生活習慣に気をつけても、便秘が改善しないケースもあるでしょう。その場合は、妊娠中でも使える便秘薬を使用してみてください。便秘が続くとさらにお腹が張りやすくなり、悪循環となってしまいます。
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お腹の張りの原因2. 子宮の収縮
子宮は筋肉なので、重い荷物を持ったりよく動く時は、グッと力が入ることで収縮します。この子宮の収縮を張りと感じるのです。妊娠すると子宮が生理的に収縮し、陣痛に備える動きをすることがあります。これをブラクストン・ヒックス収縮と言います。
妊娠中は自然にお腹の張りを感じることがありますが、基本的にはすぐおさまり、頻度も多くありません。
【子宮の収縮でお腹が張るときの対処法】
■腹圧のかかる動作はしない
生理的な子宮収縮はどうしようもないのですが、できるだけお腹の張りを減らすために、腹圧のかかる動作はやめましょう。具体的には重い荷物を持ったり、トイレで便を出そうといきむことなどです。
また動きすぎて疲れると、お腹への刺激となり、子宮の収縮が増えやすくなります。仕事で重い荷物を持つ場合は、内容を調整してもらいましょう。さらに妊娠中は疲れやすいと自覚し、休憩しながら働くように心がけてください。
お腹の張りの原因3. 皮膚が引っ張られる
どんどんお腹が大きくなるため、皮膚が引っ張られて痛みを感じる場合があります。皮膚をやわらかく伸びやすくするために、できるだけ保湿するといいでしょう。
妊娠初期の気をつけたい「お腹の張り」
妊娠初期に気をつけるべきお腹の張りは、以下のようなものです。
【注意してほしいお腹の張り】
・お腹が全体的に硬くなる
・1時間に何度もお腹が硬くなる
・お腹の張りだけでなく痛みがある
・お腹が張っていて出血がある
これらの症状がある場合は、かかりつけの産科医に連絡してください。
症状があればまずは安静にする
妊娠初期にはまだ少ないかもしれませんが、恥骨の上あたりがグッと硬くなる感じがあれば、お腹が張っている可能性があります。横腹などの部分と比較して、恥骨上あたりだけが丸く硬くなっていたら、張りと考えられます。まずは横になり安静にしてください。
症状が続かなければ問題ありませんが、もし横になってもおさまらない、どんどん痛みが強くなる場合はかかりつけの産科医へ連絡しましょう。
出血があれば病院へ連絡を
妊娠初期は下腹部痛やチクチクとした違和感を覚えやすいですが、出血がなければ基本的に問題ありません。お腹の張りや痛みとともに出血がある時は、かかりつけ医へ連絡しましょう。また安静にしていても出血が増えるようであれば、速やかに診察を受けましょう。
《まとめ》
妊娠初期は赤ちゃんの様子がわかりにくく、不安になりやすい時期です。妊娠にともなう体の変化で、お腹の張りを感じることが多いですが、張りを感じたらまずは横になり安静にしましょう。安静にしても変わらない、出血がある場合は病院に連絡して、かかりつけの産科医の診察を受けてください。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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