PICK UP!
2021.07.16
妊婦さんは便秘になりやすい【産科医師が教える】妊娠中の便秘解消
女性として相談しにくい病気のトップに、便秘があげられます。普段便秘で悩むことがなくても、妊娠中に便秘で悩むケースが多くあります。便秘の相談をした経験がないため言いだしにくく、困ってしまう場合もあるでしょう。今回は妊娠と便秘について考えていきたいと思います。
妊婦さんの便秘症状とは
まず「便秘」の言葉のルールは曖昧です。週3回以下しか排便がないのは明らかな便秘です。でも4回以上あっても、いつもと違って回数が明らかに少ない、お腹がゴロゴロするわりには便が出ない、なども便秘と考えていいでしょう。
妊婦さんにおいては、非妊娠時とかなり違うと思ったならば、それはもう便秘なのです。
つわりがひどい時は便がでなくてもいいの?
確かに妊娠中つわりの時には、食事量が落ちています。とはいえ、便を出さなくてはいけません。実は食べたもののうち、便になるのは2%くらいです。98%は消化され、吸収されてしまいます。便の大部分は、剥がれた腸管上皮や腸内細菌の死骸、さらには消化液や胆汁などです。
すなわち、食べてなくても捨てなければいけないのです。つわりの時には固形物が食べにくくても、水分摂取をしっかりすることで、腸の動きを助けることも出来ます。
おすすめ情報
妊娠中期以降で便秘の妊婦さんは多い
妊娠中は、胎盤から分泌されるプロゲステロンの影響により腸の動きが弱まります。また腸管から水分やナトリウムが多く吸収され、便が硬くなります。さらには、大きくなった子宮が大腸を圧迫して通過を悪くすることも考えられます。
ですから、そもそも便秘になる傾向があるのです。実際には、約半数の妊婦さんが便秘に悩んでいます。自分だけかもと悩まずに、医師に相談してください。
妊婦さんの便秘対策
どうすれば、妊婦さんが便秘になりにくくなるのかをお伝えします。
妊婦さんが自分でできる便秘対策
先にも書きましたが、妊婦さんがまず水分が摂れていないと感じたならば、しっかり摂ってください。次には乳酸菌などを摂取することです。腸内細菌を整えることは、昔から知られていましたが、近年は特にプロバイオティクスとして注目が集まり、沢山の種類の食品が手に入るようになりました。自分が好きなものを選んでOKです。
食物繊維も大事です。しかしわかめや海藻類など消化されにくいものは、逆に便秘の原因になることもあります。それでも便秘ならばお薬を使いましょう。
妊婦さんは便秘薬を使っていいの?
便秘薬には様々なお薬があります。腸の動きを促進する薬もあります。浣腸などに代表される、腸の内容を多くして便意をもたらすのも、便秘薬の一種と言えます。
妊婦さんに使われる便秘薬は、酸化マグネシウムというお薬が主流です。このお薬は便に水分を含ませて柔らかくし、結果的に便の流れがよくなるという効果です。従来は粉薬でしたが、錠剤が主流になってきました。”カマ”、”カマグ”、一部メーカーの商品名のマグミットで呼ばれることもあります。
高齢者腎臓の機能低下がある方には向きませんが、妊婦さんには安全に使える薬だと思います。酸化マグネシウムだけで排便がない場合は、別のお薬を併用していくことになります。産科医師に相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
関連ページ
✔妊婦さんの困った便秘を解消する食べ物【管理栄養士おすすめ】
✔【アンケート調査】妊娠初期によくある「便秘」の悩み!妊婦さんはどう対処している?
平成5年東京慈恵会医科大学卒業。
医局は慶應義塾大学医学部婦人科学教室にて研鑽を積む。
平成14年慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得し、臨床に専念。
神奈川県の大和市立病院を経てワキタ産婦人科を継承
【主な資格】
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医
イベント・セミナー
妊娠・出産について学べるイベントやセミナーを紹介
-
オンライン(録画配信) 無料