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2022.04.01

妊娠初期は流産しやすい?【助産師監修】流産の原因と確率・気をつける行動

妊娠初期は、流産しやすいと言われています。なぜなら妊娠初期とは、胎児の神経系や臓器の大元が形成される、大切な期間だからです。今回は妊娠初期の流産の原因と症状について、助産師が説明します。そして健やかな妊娠経過を送るために、妊婦さんが気をつけた方が良い行動も合わせて紹介します。

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妊娠初期は流産しやすい?流産の確率と原因

妊娠初期の流産

 

「流産」とは、妊娠22週目よりも前に妊娠が継続できず、赤ちゃんが亡くなってしまうことです。

 

流産の確率

日本産婦人科学会の調査によると、妊娠した女性の約4割が流産を経験しているという報告があります。意外にも多くの女性が、流産を経験していることを示しています。

さらに報告によると、流産全体の80%が、妊娠初期である妊娠12週までに起きているそうです。なかでも、妊娠に気づく前に流産している確率が、最も高いと言われています。

 

流産の主な原因

妊娠12週までにおこる流産の原因のほとんどは、赤ちゃんの染色体異常と言われています。受精の時すでに、流産するかどうかは決まっている場合が多いのです。

妊婦さんは、自分の行動が原因で赤ちゃんが亡くなったのではないかと思うかもしれません。しかし妊娠初期の妊婦さんの行動が、流産に影響することはほとんどないでしょう

 

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【流産しやすい妊娠初期】生活で避けるべき行動

妊娠初期の流産の原因は、妊婦さん側にないことがほとんど。ですがリスクにつながる行動を知り、回避できることはやっておきたいですよね。

 

妊娠初期に避ける行動1. カフェイン摂取

カフェインの大量摂取は、流産のリスクを高めると言われています。WHOは2001年に「カフェインによる胎児への影響はまだ確定していないが、妊婦さんのコーヒー摂取量は1日3~4杯までにすべき」と示しています。

カフェインを摂取しても良いかどうかは、世界各国で指針が異なるもの。個人差が大きいとも言われているため、カフェイン摂取はなるべく控えた方がよいでしょう。

 

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【妊娠中のカフェイン制限】飲み物別の摂取量を助産師が正しく解説!

 

妊娠初期に避ける行動2. たばこ

たばこに含まれるニコチンは、血流を悪くすると言われています。血流の停滞により、胎児に十分な酸素が供給できず発育に問題が生じたり、子宮収縮が起こりやすくなります。こうして流産の可能性が高まります。

喫煙によるリスクは妊娠初期だけではなく、全期に渡って、安全な妊娠と健やかな胎児の成長を妨げる因子です。もし妊娠前から喫煙をしていれば、すぐに禁煙しましょう。もしやめられない場合、医師に相談して治療を開始することもあります。

 

そして一番避けたいのは、隠れてたばこを吸い続けること。喫煙による母子の合併症リスクを予測したフォローができないため、異常時の処置に遅れが生じるためです。もし禁煙が難しく、医師に相談しにくいと感じたら、助産師に声をかけてくださいね。一緒に考えサポートしていきます。

 

また妊婦さん自身がたばこを吸わなくても、副流煙のリスクがあります。副流煙は主流煙よりも、悪影響を受けると言われています。パートナーがたばこを吸う場合は、禁煙か分煙してもらうよう話し合ってくださいね。

産後も赤ちゃんの突然死症候群や、乳幼児のたばこの誤飲事故など、リスクは続きます。パパ自身も、健康で子どもの成長を楽しみたいでしょう。ぜひ禁煙、必要あれば治療をお勧めします。

 

妊娠初期に避ける行動3. アルコール摂取

妊婦さんがアルコールを摂取すると、胎盤を通じて、赤ちゃんもアルコール摂取することになります。このように聞くと、「妊娠が発覚する前にアルコールを飲んでしまった」と心配する人もいます。妊娠判明した時点で、禁酒を心がけましょう。

アルコールの摂取は、カフェインと同様、流産のリスクを急激に高めると言われています。どうしても飲みたくなる時は、無糖の炭酸水やノンアルコール飲料にするなど、工夫しましょう。

 

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妊娠初期に避ける行動4. 過度なストレス

仕事をもつ妊婦さんが増えています。疲労やストレスを溜め込むと、血圧の上昇へつながり、ホルモンバランスを乱すこともあります。

日常生活で全てのストレスを取り除くのは、難しいかもしれません。ゆったりとした気持ちで、できる限りストレスを回避しましょう。

 

妊娠初期は、ママの身体が妊娠に適応していきます。外見での変化はなくても、体調が変わりやすい時期。無理をしすぎないことが大切です。負荷がかかっているときは、立ち止まって休むことを心がけ、仕事を調整するなど工夫しましょう。自分に合った、ストレス発散方法を見つけるとよいですね。

 

妊娠初期に避ける行動5. コンドームなしでの性行為

妊娠経過に問題ない場合、性行為は禁止ではありません。「妊娠中なのだから、避妊せずに性行為してもいいのでは?」と考える人もいるでしょう。

しかし、コンドームなしでの性行為はやめましょう。

 

妊娠中は抵抗力が低下していて、感染症にかかりやすくなっています。コンドームなしの性行為は、性感染症以外にも炎症の原因にもなります。

また精子に含まれる成分が、子宮収縮を引き起こすと言われています。流産や早産につながることもあるため、妊娠中の性行為は必ずコンドームを使用しましょう。

 

 

流産しやすい妊娠初期に気をつけること

ここからは流産の予防だけではなく、健やかな経過のために、妊娠初期の生活で気をつけることを解説します。

 

薬(市販薬)は医師に確認

妊娠初期のなかでも、特に妊娠4週目~7週目は、胎児の体の重要な部分がつくられる器官形成期。奇形を起こすかどうかという意味では、最も過敏性が高い時期と言われています。

それ以降の時期でも、薬による影響がないとは言い切れません。治療が必要な妊婦さんは医師と相談して、服薬する内容や容量を決めましょう。

もし薬の服用が必要な場合や、妊娠前から継続的に服用している薬がある場合には、かかりつけの産科医に確認してから服用しましょう。

 

薬だけではなく、サプリメントにも気を付けなければなりません。サプリメントだからと安易に自己判断はせず、医師や薬剤師に相談してください。

  

妊娠初期の服薬

葉酸を摂取

「葉酸」は野菜や果物などに含まれる、ビタミンB群の栄養素です。妊娠前から初期にかけての葉酸の摂取は、二分脊椎症などの神経管閉鎖障害を減らすことができるとされています。また妊娠中に起こりやすい、貧血の予防にも効果があります。

 

妊娠初期はまだ、妊娠に気づきにくい時期でもあります。妊娠を考えている人であれば、妊娠前から日常的に葉酸の摂取を心がけることが大切です。

葉酸を多く含む食べ物は、焼海苔、納豆、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、枝豆、バナナ、豆乳などです。サプリメントで葉酸を補充することも可能ですが、できる限り食材から摂取できるとよいですね。

 

立ち仕事や重い荷物に注意

立ち仕事はお腹が張りやすく、切迫流早産につながる可能性があるので、できるだけ避けましょう。また、重い荷物を持ち上げる動作により腹圧がかかると、お腹の張りにつながります。重い物の持ち上げはやめましょう。

妊娠初期の子宮はまだそれほど大きくないため、お腹の張りを感じることは少ないですが、腹圧がかかる動作は避けることをおすすめします。

 

 

【流産しやすい妊娠初期~】控えたい食べ物&飲み物

妊娠初期に控えることが望ましい、食べ物・飲み物についてお話します。量を制限すべきものもあるので、それぞれ解説しましょう。

妊娠初期はつわりの症状が出る人もいます。多少食べられなくても、胎児の成長で問題は起きません。心配せずに、食べられるものを少量ずつ食べてくださいね。

 

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妊娠初期から食べない方がいい物

ここではまず、妊娠中は摂取しないほうがよいものを説明します。

妊娠中に特定の感染症にかかることで、妊婦さん自身の問題はそんなに重大ではなくても、胎盤を介して感染した胎児が、先天的な問題を抱えてしまう場合があります。TORCH症候群という言葉があります。

 

T:トキソプラズマ

O:Other(B型肝炎 パルボウィルス EBウィルス 水痘帯状疱疹ウィルス 梅毒など)

R:風疹

C:サイトメガロウィルス

H:単純ヘルペスウイルス

 

特に妊娠初期に初感染することで、重篤な先天的疾患にかかったり、胎内で死亡するリスクがあがります。

風疹などは妊娠前に、十分な抗体があるか調べられ、予防接種で確実に予防できます。ぜひ夫婦で確認すると良いでしょう。なかには、妊娠初期の血液検査で調べるものもあります。

 

生肉

生肉で問題になるのは、付着している可能性がある寄生虫のトキソプラズマです。日本では、豚からの感染例が多く挙げられています。

妊娠中の女性がトキソプラズマに初感染すると、赤ちゃんの精神発達の遅れや視覚障害など、先天性障害を生じさせる可能性があります。トキソプラズマは加熱によって死滅します。肉を食べる時には、しっかりと焼くようにすれば安心です。

 

生卵

生卵で問題になるのは、卵の殻に付着している可能性があるサルモネラ菌です。サルモネラ菌は激しい下痢を引き起こし、それが引き金となり子宮収縮が起こりやすくなります。子宮収縮が頻繁に起こることで、流産のリスクが上がります。卵はしっかりと加熱調理した後に、食べるようにしましょう。

 

生の魚介類

お刺身やお寿司などの生魚は、新鮮なものであれば、食べてもかまいません。しかし初めて行くお店のものや、鮮度がわからないものは控えたほうが安心です。

妊娠中は免疫力が低下しています。普段なら平気なものでも、食中毒で嘔吐や下痢を引き起こす可能性がありますので、気をつけましょう。

 

ナチュラルチーズ

加熱殺菌していないナチュラルチーズには、リステリアという菌が含まれています。妊婦さんは通常よりも、20倍もリステリアに感染する可能性があると言われています。妊婦さんがリステリア菌に感染すると、胎児も感染する可能性があり、新生児の髄膜炎や敗血症の原因になることがあります。

チーズを食べたい時は、加熱殺菌されているかどうか確認してください。

 

妊娠初期の食べ物

妊娠初期に「摂りすぎ」に注意する物

ここからは量に気をつけて摂りたい、食べ物・飲み物についてお話していきます。

 

昆布

昆布にはヨウ素が含まれています。このヨウ素を過剰に摂り過ぎると、胎児の甲状腺機能低下を引き起こす可能性があります。昆布の摂り過ぎには注意しましょう。

 

レバー・うなぎ

レバーには鉄分や葉酸などの栄養素が含まれていて、貧血予防にとても優れた食材です。しかしレバーには、ビタミンAも豊富。妊婦さんが過剰に摂取すると、胎児に奇形を起こす可能性があるとされています。

うなぎも同様に、ビタミンAが豊富な食材です。うなぎも過剰摂取にならないように、気をつけて食べましょう。

 

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妊娠初期の流産の兆候はある?

流産の兆候や症状について解説します。

 

流産の兆候・症状

主な兆候や症状は以下のとおりです。

・出血

・腹痛

・腰痛

・基礎体温が下がる

・つわりが急に終わる、楽になる

流産の兆候として、最も多い症状は性器出血です。生理2日目以上の出血や、血の塊が出る場合など個人差があります。また流産の前には出血し、子宮収縮が起こるため、腹痛を感じる人が多いでしょう。

 

「自宅安静」を指示されたら

妊娠初期においても、出血の症状などにより、医師から自宅安静を指示されることがあります。その場合、自宅での洗濯や掃除は最低限のみ行ない、食事の準備は家族に頼むかレトルトなどを活用するとよいでしょう。

仕事を休んだほうがよい場合には、医師から診断書を書いてもらい、職場へ提出するようにしてください。

 

もしも自宅の寝室がトイレと違う階にあれば、階段の昇降をしないよう、トイレから近い場所に居室を変更するのがおすすめです。自宅安静を指示された時はできる限り安静に、赤ちゃんとママの健康を最優先にしてくださいね。

 

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もし流産しても自分を責めない

もし流産してしまったら、悲しくつらい気持ちから、自分を責めてしまうこともあるでしょう。しかし解説したとおり、妊娠初期の流産は赤ちゃんの染色体異常によるものがほとんどです。何かをしてしまったから流産した、ということはありません。自分を責めすぎないようにしてくださいね。

 

 

《まとめ》

 

妊娠初期の流産の多くは、妊婦さんの生活に原因があるわけではないです。胎児側に原因がある場合、妊婦さんの努力では避けられないことがわかるでしょう。ただし流産以外にも合併症を回避するための生活のポイントは、知っておくと良いでしょう。つわりもある中で、すべて細やかに気をつけるのは大変かもしれません。ストレスにならない程度に心にとめながら、妊娠中の生活を楽しんでくださいね。

 

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

初期の茶色っぽい出血は流産の可能性?

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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