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2022.10.07
胎嚢確認いつできる?【産科医】胎嚢が確認できない時・流産確率とは
妊娠検査薬で妊娠が判明すると、産婦人科を受診し、胎嚢と心拍の確認をしなければいけません。受診を待つ期間は、そわそわした気持ちになるかもしれませんね。今回は産婦人科での胎嚢確認について、理解を深めていきましょう。胎嚢が確認できない場合に考えられること、胎嚢の確認後に気をつけることについて、産科医が解説します。
目次
胎嚢(たいのう)とは何?
胎嚢(たいのう)とは、赤ちゃんが成長するために必要な、赤ちゃんを包む部屋のこと。受精卵は子宮内膜に着床した後、直接子宮の中で育つのではありません。赤ちゃんを守るための部屋、つまり胎嚢に包まれて育ち、その中で大きくなっていきます。
胎嚢の確認と妊娠確定・流産の確率
産婦人科での胎嚢確認とは、経腟超音波検査で行います。エコー画像では、水(羊水のもと)が入っている胎嚢は黒い円、または楕円形に見えます。この胎嚢を測定し、週数相当の大きさであるか確認します。
妊娠検査で陽性反応となり、胎嚢が確認できたとしても、実はまだ妊娠確定とはいえません。妊娠初期において、10~15%は流産する可能性があるといわれ、まだ安心できない状態です。
妊娠の診断は、以下の条件がそろって確定されます。
・胎嚢がしっかり育っている
・胎芽(赤ちゃんのもとになる)が確認できる
・赤ちゃんの心拍が確認できる
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胎嚢確認はいつから?何週にわかる?大きさとは
早ければ妊娠4週頃には、胎嚢が確認できます。その時の大きさはおおよそ直径2mmほど。これから先しっかりと成長していくか、観察が必要です。妊娠5週頃までは1日1mmのペースで大きくなり、遅くとも妊娠6週頃にはしっかりと見えるようになります。
妊娠週数ごとの胎嚢の変化を解説します。
【妊娠5週】胎嚢の様子と大きさ
妊娠5週頃の胎嚢の大きさは、おおよそ10mm前後になり、白く縁どられているように見えます。赤ちゃんはまだ見えません。ただし胎嚢の中には、卵黄嚢という赤ちゃんの栄養源が、白いリングのように見えます。
【妊娠6週】胎嚢の様子と大きさ(心拍確認できることも)
妊娠6週頃には、白いリング状の卵黄嚢がしっかり見えるように。その卵黄嚢の傍に胎芽(赤ちゃん)が見え、まるで指輪のような形になることもあります。胎嚢の大きさは15~20mmになり、胎芽の中央にチカチカと心拍が確認できることもあるでしょう。この時の胎芽の大きさは4~9mmです。
【妊娠7週】胎嚢と赤ちゃんの大きさ
妊娠7週頃の胎嚢の大きさは、20~40mmまで成長し、2頭身の赤ちゃんが見え始めます。赤ちゃんの大きさは10mmほどで、心拍はしっかりと規則正しく確認できます。
【妊娠8~9週】胎嚢と赤ちゃんの大きさ
妊娠8週~9週になると、胎嚢の大きさは40~50mmほどあります。赤ちゃんはよりしっかりと、頭と身体、手足の区別ができるようになります。妊娠9週頃では20mmくらいになり、動く姿もみられるでしょう。
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胎嚢が確認できない場合はどうする?
「胎嚢が確認できない」もしくは「胎嚢らしきものはあるがはっきりとは見えない」と、医師から言われるかもしれません。赤ちゃんは無事かどうか、不安になりますよね。では胎嚢が確認できない原因と、その場合に気を付けることを紹介します。
胎嚢が確認できない・遅い!考えられる原因とは
胎嚢が確認できない時、考えられる原因はいくつかあります。
胎嚢が確認できない原因(1) 受診が早すぎる
妊娠検査薬での検査後すぐに受診すると、排卵がずれていなければ妊娠4週~5週前後です。その場合、胎嚢が小さすぎて見えない可能性があります。
胎嚢が確認できない原因(2) 排卵の遅れ
胎嚢が小さい、もしくは見えない時は、排卵が遅れて週数が違っている可能性が最も大きいです。通常、妊娠週数は最終月経開始日を基準として計算します。しかし排卵が遅れている場合は週数がずれて、胎嚢が見えない、もしくは小さいケースがあります。
胎嚢が確認できない原因(3) 化学流産
受精卵が着床しても、何らかの原因で妊娠継続できなかった状態。ごく初期の流産です。妊娠検査薬は反応するものの、超音波検査では胎嚢が確認できず、生理が始まってしまいます。受診しなければ、妊娠・流産に気づいていないケースもあります。
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胎嚢が確認できない原因(4) 異所性妊娠(子宮外妊娠)
異所性妊娠とは、受精卵が子宮内に着床せず、それ以外の場所(卵管、卵巣など)に着床すること。経腟エコーをしても、子宮内に胎嚢は見当たりません。早期に対応しなければ、卵管が破裂して大出血を起こし、命に関わる危険性もあります。
胎嚢が確認できなかったら?気をつけること
胎嚢が確認できないと、次の健診までとても不安でしょう。その時期をどのように過ごせばいいのか、解説します。
■出血に注意する
妊娠中は、少しの刺激でも出血しやすい状態に陥ります。重いものを持ったり、長時間の移動、仕事で無理したりしないように、身体を十分にいたわってください。
もしも出血した時にすぐにわかるように、ショーツの色は白っぽいもの、もしくは薄めのカラーがおすすめです。生理2日目くらいの出血をした場合は、すぐに受診しましょう。
■薬は自己判断で飲まない
妊娠超初期は、薬の影響を非常に受けやすい期間です。自己判断での薬の使用は非常に危険ですので、まずはかかりつけの産科医に相談しましょう。
■飲酒・喫煙はやめる
「妊娠したかも?」と思ったら、すぐに飲酒・喫煙をやめましょう。赤ちゃんの成長に害を及ぼし、妊娠の継続にも影響が出ます。自分が喫煙していなくても、副流煙によって害を受けます。家族で喫煙している人がいれば、自分のいる空間ではやめてもらいましょう。
■レントゲンによる放射線に注意する
少量の放射線であれば特に問題ありません。ただしレントゲンなどの検査を受ける際は必ず、受診先の医師や技師に、妊娠の可能性について話しておきましょう。
■人ごみを避ける
妊娠超初期は、非常にデリケートな時期です。麻疹、風疹、伝染性紅斑などの感染症は、妊娠経過に非常に大きな影響を及ぼします。妊娠初期はできる限り人ごみを避けましょう。もし人ごみを避けられない時は必ず、マスク・手洗い・うがいを徹底しましょう。
■葉酸を積極的に摂る
妊娠を希望する人は、できれば妊娠がわかる1ヶ月前~妊娠3ヶ月頃までは、葉酸を積極的に摂取しましょう。葉酸は、二分脊椎など神経管閉鎖障害の発症リスクを抑えることができます。ほうれん草などの緑黄色野菜に含まれますが、食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントを上手に活用しましょう。
胎嚢が確認できた!確認後の過ごし方
胎嚢が確認された後は、心拍確認が待っています。妊娠の確定には心拍確認が必須のため、まだ不安な日々を送るかもしれません。心をゆったりともって、身体を冷やさないように、そして感染症にかからないように身体を大切にしましょう。もし出血や腹痛があれば、すぐにかかりつけの産科医を受診してください。
心拍確認と流産の関係
心拍確認はおおよそ妊娠6週~7週頃にできます。心拍がしっかり確認でき胎嚢の成長も見られると、流産の確率はぐっと下がっていきます。流産の確率は全妊娠の約10~15%と言われ、化学流産を含めると約30%を占めます。
心拍確認前だと全流産の70%以上を占め、その頻度は妊娠週数を経るごとに低下します。心拍確認後は全流産の5%で、妊娠12週~22週未満の「後期流産」は、全妊娠の1.5%となっています。
心拍と成長が確認できると、予定日が決定され、産婦人科から母子手帳の発行許可証(届け出用紙)がもらえます。それまでは赤ちゃんの生命力を信じましょう。心拍確認後は、約90%が妊娠継続できるといわれています。
《まとめ》
赤ちゃんは胎嚢に包まれて、すくすくと成長していきます。胎嚢は妊娠4週~6週にかけて確認できますが、週数が早かったり、化学流産・異所性妊娠の場合は、確認できないことがあります。不安も大きいでしょうが、次の健診で胎嚢確認ができれば問題ありません。妊娠7週ではほぼ全例で、心拍が確認できます。そして流産の確率はぐっと下がるので、赤ちゃんの生命力を信じてあげましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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