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2022.06.13

赤ちゃんの心拍確認はいつから?【医師】確認できない時・流産の可能性

妊娠が発覚すると多くのママは、「お腹の赤ちゃんは順調に成長してくれるかな?」と気になるもの。赤ちゃんの心拍が確認できるまで、特に不安を感じるでしょう。ここでは赤ちゃんの心拍確認の時期や心拍数について、理解を深めていきましょう。もし心拍確認ができない場合、どのようなことが考えられるか、流産の可能性も含めて詳しく説明します。

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【赤ちゃんの心拍確認】いつから?その方法は?

心拍確認はいつから

 

お腹の赤ちゃんの心拍はいつ頃から、どのように確認するのでしょうか。

 

心拍確認できるのは妊娠6週ごろ

妊娠初期は基本的に、経膣超音波検査によって赤ちゃんの胎嚢(たいのう)が順調に大きくなっているか、確認していきます。その後に、赤ちゃんの心拍の確認を行います。心拍確認の時期は、一般的に妊娠6週と言われています。排卵の時期がずれていない限り、遅くとも妊娠6週末頃には確認できるでしょう。

 

「経膣超音波検査」とは、膣の中にプローブと言われる超音波の機械を挿入して、赤ちゃんに一番近い位置から成長具合を見るもの。妊娠12週前後までは、この検査方法が使われます。それ以降は「経腹超音波検査」に変わり、お腹の上から赤ちゃんの状態を観察していきます。

 

赤ちゃんの心拍は、胎嚢内にある小さな体の中にある、チカチカ点滅する点(心臓)で確認できます。心拍が無事に確認できた時の安堵感は、妊婦さんにとって忘れられない出来事になるでしょう。

 

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心拍確認できる胎嚢の大きさ

心拍が確認できる妊娠6週胎嚢の大きさは、1.5〜2cm程度です。胎嚢の中には「卵黄嚢」という赤ちゃんの栄養の袋と、「胎芽」と呼ばれる赤ちゃんの姿が確認できます。

 

心拍確認できた!心拍の正常値を知ろう

お腹の赤ちゃんの心拍数は、大人よりも早いです。

妊娠5週では、1分間に90~100回程度。それ以降、直線的に心拍は増加し、妊娠9週では170~180回とピークを迎えます。

そして安定期を迎える妊娠16週頃には、150回程度に安定していきます。妊娠16週以降の心拍数の正常値は1分間に110~160回ほど。110回以下は「徐脈」、160回以上は「頻脈」と言われています。

 

赤ちゃんの心拍が「遅い」とき

心拍が確認でき始めた頃の妊娠5週6週は、心拍が1分間に110回以下の徐脈になることがよくあります。この時期に心拍が少し遅いからといって、すぐに流産につながるわけではないことを覚えておいてください。

 

しかし妊娠16週以降、心拍が安定してきてからの徐脈は注意が必要です。正常値にあった赤ちゃんの心拍が徐脈になった場合は、何かしらのストレスによって、赤ちゃんが低酸素状態に陥っている可能性があります。妊婦さんの体位変換をしたり、酸素投与をして心拍の回復を確認します。

すぐに回復すれば問題はありません。もしも徐脈がひどく回復が遅い場合、妊娠22週を超えていれば緊急の帝王切開になることがあります。

 

赤ちゃんの心拍が「早い」とき

赤ちゃんの心拍が1分間に160~180回以上と、「頻脈」が継続している場合は、「胎児頻脈性不整脈」の可能性があります。経過をみるうちに自然とよくなるケースもありますが、状況が続く場合は、早めの出産が計画される場合もあります。病院によっては胎児治療を行うこともあり、治療によって症状が改善されれば、妊娠の継続は可能となります。

 

 

【赤ちゃんの心拍確認】遅れる・確認できない理由

妊娠6週になっても、心拍が確認できない場合もあります。この場合に考えられることは、「排卵がずれている可能性」もしくは「流産の可能性」です。それぞれの対応を詳しく見ていきましょう。

 

排卵がずれていて心拍確認が遅れる

基本的に妊娠週数は最終月経から数えますが、排卵日を特定することはできません。

妊娠初期における胎児の1日の成長度合はかなり大きく、たった数日のずれでも大きな影響が出ます。排卵がずれて遅れた場合、「実際の妊娠週数」は「最終月経から数えた妊娠週数」よりも少ないため、心拍を確認する時期が遅くなることがあるのです。

 

一度の経膣超音波検査で心拍が確認できなければ、数日後に受診を促されることがほとんどです。ただ単に、受診したタイミングが早い可能性もあります。赤ちゃんの生命力を信じて、次の受診日までゆったりと過ごしましょう。

 

流産によって心拍確認できない

流産とは、妊娠22週未満で赤ちゃんが亡くなってしまい、妊娠が終了することです。流産率は全妊娠の約15%となっており、そのほとんどは妊娠初期に集中しています。

胎嚢確認後の診察で胎嚢が大きくなっていない、また心拍の確認が2回できなかった場合は、流産の可能性が高くなります。流産はその状況によって、「稽留流産」と「進行流産」に分けられます。

 

「稽留流産」の場合

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)とは、胎児が子宮内で亡くなっているにもかかわらず、出血や腹痛などの症状がほとんどない、もしくはあっても軽度の場合を指します。自覚症状がないことも多く、妊娠初期にエコーで指摘されることがほとんどです。治療としては子宮内容除去術を行うか、経過をみて自然排出を待つ、という2通りがあります。

 

「進行流産」の場合

進行流産は出血が始まっており、子宮内容物が子宮外に出てしまっている場合を指します。

完全に排出された場合は「完全流産」、排出が始まっているが完全にはできていないことを「不全流産」といいます。完全流産では、子宮収縮薬や抗菌剤などの投薬治療で経過をみます。不全流産は投薬のみで経過を見る場合と、子宮内容除去術を行う場合があります。

 

どちらにしても、妊婦さんにとって非常に辛い出来事となることは間違いありません。「あの時もっとこうしていたら…」と自分を責めたくなるかもしれません。「あなたは何も悪くない」「自分を責めないで」と人から言われても、どうしようもない感情が湧き上がってくるでしょう。その感情を受け入れながら、ゆっくりと体調が改善するまで心と体を休ませてください。

 

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【妊娠9週の壁】赤ちゃん心拍確認後の流産の可能性

心拍確認後の流産

 

妊娠5週6週で赤ちゃんの心拍が確認されたにも関わらず、2回目の診察で心拍が止まっている可能性あります。これがいわゆる「妊娠9週の壁」と言われるもの。医学的な用語ではありません。

妊娠9週に流産が増える、という意味ではありません。妊娠9週心拍を確認できないという意味で、妊婦さんの間でこのように呼ばれることが増えてきました。なお医学的には、妊娠12週未満までの流産は「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の流産は「後期流産」と言われます。

 

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流産の原因

流産の時期は、「早期流産」が約13.3%で圧倒的に多く、「後期流産」は約1.7%と言われています。

流産の原因としては、早期流産の場合は胎児の染色体異常がほとんどです。受精卵に何らかの問題があり、うまく細胞分裂が進まなかった過程で、流産が起こることがあります。「もっと安静にするべきだった」「あの時動いてしまったから」など、妊婦さんの注意で防げるものではありません。

 

一方、後期流産の場合は、母体側の原因も含まれてきます。例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎などは、胎盤を通して胎児に感染。流産や子宮内胎児死亡、重篤な障害に直結します。クラミジア、梅毒、ヘルペスなどの性感染症は、流産もしくは母子感染を起こす危険性があります。

さらに母体側の子宮奇形により、成長が妨げられ流産してしまうことも。また頸管無力症によって、自覚症状がないまま子宮頚管が緩んで、流産となるケースもあります。

 

ただし、これはあくまでも一般論であり、明確に原因を明らかにするのは非常に難しいと言えるでしょう。

 

「妊娠9週の壁」を超えたら母子健康手帳の発行へ

1回停止したと思われる心拍が、再開することはまずありません。2回目の心拍確認ができない、もしくは心拍を確認した後に停止しているという場合、残念ながら流産となります。

妊娠5週6週で心拍が確認できた後も医師は、妊娠8週9週でもう一度確認するまで、慎重な姿勢を崩さないことがほとんどです。そして2回目の心拍確認で問題がなければ、最終月経や成長具合から予定日が確定。母子健康手帳の発行許可書(妊娠届け出)がもらえます。

 

この時期は自覚症状がないことが多く、赤ちゃんが無事に成長しているかどうか、不安になる妊婦さんがほとんどでしょう。しかし残念ながら、流産を防ぐ方法というものはありません。

もちろんできるだけストレスをためずに、規則正しい生活をすることは必要。冷えに気を付けたりなど、一般的に妊婦さんに良いとされる生活を心掛けることも大切です。

しかし、それができなかったからといって、流産するということはありません。医学的に根拠のない慣習について、神経質になる必要はないでしょう。赤ちゃんが順調に育つか否かということは、赤ちゃん自身の生命力を信じる他ありません。

 

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赤ちゃんの心拍確認できた!その後の過ごし方

赤ちゃんの心拍が確認でき、嬉しさと同時に不安な気持ちも続くかもしれません。できるだけゆったりとした気持ちで、リラックスして過ごすようにしましょう。

 

1. 出産する産院を決めよう

出産する産院選びを始めましょう。心拍確認をした病院で出産するのか、これからの妊婦健診と出産は別の病院にするのか、あるいは里帰り出産をするのか、選択肢がいくつかあります。

産院によっては、分娩予約が「妊娠〇週まで」と決まっている場合もあるので、早めに確認しておきましょう。

 

2. つわりにうまく対処しよう

妊娠発覚と同時に、つわり症状を感じる人がいるかもしれません。つわりの主な症状には、吐き気や嘔吐があります。症状があっても、ある程度食べられたら問題ありません。

つわり時期は、食べたいときに食べたいものを好きなだけ食べて良いです。そして身体の声を聴きながら、気持ちが楽になることを優先しましょう。

もしもつわりがひどく、水分が十分に摂れなくなると、脱水状態になる危険があり受診が必要です。

 

3. 出血など体調変化に注意

妊娠初期の出血は、ごく少量で茶色いおりもの程度であれば、あまり心配する必要はありません。月経くらいの量や赤い出血、腹痛が伴う場合は、すぐに病院を受診しましょう。

妊娠初期は体調の変化が大きく、気持ちが不安定になることもあります。できるだけストレスなく過ごせるように心がけましょう。

 

 

《まとめ》

 

妊娠が発覚し、赤ちゃんの心拍が確認されるまでは、不安に押しつぶされそうになるかもしれません。しかし「妊娠9週の壁」を乗り越えれば、流産率はぐっと下がります。赤ちゃんの生命力を信じ、神経質になりすぎずにリラックスし、妊娠初期を過ごすようにしましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

42歳の初マタ、心拍確認できたけど不安

妊娠5週で心拍確認できないのは危ないの?

           

1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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