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2023.03.03

双子の妊娠いつわかる?確率は?一卵性・二卵性の違い【産科医】

妊娠がわかると喜ぶ気持ちでいっぱいのなか、「もしも双子だったら?」「多胎妊娠だとどのような経過になるのか?」と不安になる人もいるでしょう。この記事では、双子の妊娠がわかる時期や、双子の確率などを解説します。

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【双子の妊娠】いつわかる?双子を妊娠する確率と仕組み

双子の妊娠確率

 

妊娠検査薬で陽性が出た時点では、まだその妊娠が双子かどうかの判断はできません。妊娠検査薬で陽性とわかる妊娠5週頃に、産婦人科で超音波検査を受けても、まだ2つの胎嚢(GS)は確認できない場合があります。

妊娠6週以降で胎嚢が1つあるか、2つあるか、そして胎嚢の中に胎児の像が1つ見えるか、2つ見えるかを確認します。その結果で多胎妊娠の判断ができます。

 

双子の妊娠の場合、妊娠初期のタイミングで膜性診断を行い、絨毛膜と羊膜の数を確認して診断します。双子の妊娠と一口に言っても、膜性診断によっては以後の管理方法が大きく異なるもの。そのため妊娠10週までに膜性診断を行い、遅くとも妊娠14週までに判断し、結果に応じたリスク管理をする必要があります。

 

双子の妊娠確率

双子以上の妊娠を多胎妊娠と言います。全分娩件数における多胎妊娠の割合は、以下の通りです。

 

【多胎妊娠の割合】

・2005年 1.18%

・2011年 0.96%

・2017年 1.04%

 

2011年に最低を記録しましたが、それ以降は微増傾向にあります。

また2017年のデータによると、出生数における多胎妊娠の確率は全体で2.5%ですが、母親の年齢が30歳以上になると2.0%を超えています。高齢になるほど多胎妊娠の確率は上がり、40~44歳では2.71%、45歳以上で は5.95%です。

不妊治療による排卵誘発剤の使用で、高齢になるほど双子の妊娠確率が上がっているといえます。

 

多胎(双子以上)を妊娠する仕組み

双子以上の多胎はどのように妊娠するのか、その仕組みを解説しましょう。双子は膜性診断により、以下の3つに分類されます。

 

【双子の分類】

・2絨毛膜2羊膜性双胎(DDtwin)

・1絨毛膜2羊膜性双胎(MDtwin)

・1絨毛膜1羊膜性双胎(MMtwin)

 

二卵性双胎は、2絨毛膜2羊膜(DD)双胎となります。一卵性双胎の場合、双子は受精卵の分割の時期により、膜性診断が異なります。

受精後3日以内の桑実胚の時期:DD双胎

4〜7日の着床前の胞胚の時期:MD双胎

8〜12日の着床後の胚盤:MM双胎

となると考えられています。

 

 

【一卵性双生児と二卵性双生児】それぞれの特徴・違い

一卵性双生児と二卵性双生児

 

「一卵性双生児」と「二卵性双生児」の違いは何か、疑問に思う人もいるでしょう。ここからは違いと特徴を簡単に紹介します。

 

一卵性双生児とは

「一卵性双生児」とは、1つの卵子と1つの精子が受精し、1つの受精卵ができた後に分割し、双子に成長することです。もともと1つの受精卵のため、性別や血液型は同じです。また容姿が似ていることも多いです。

 

二卵性双生児とは

「二卵性双生児」とは、2つの卵子と2つの精子が受精し、2つの受精卵がそれぞれ成長する場合を言います。

排卵では通常、左右どちらかの卵巣から、1つの卵子が排出されます。しかし排卵誘発剤の使用など何らかの理由で、左右それぞれ1つずつ、もしくは片側から2つ排卵されることがあります。この時に、それぞれが精子と受精し子宮内に着床すると、二卵性双生児となるのです。二卵性双生児は2つの卵子と2つの精子が出会うため、性別や血液型、容姿、性格も異なります。

 

 

【双子の妊娠】つわりやお腹の張り

「双子を妊娠したら、つわりも変わるのかな?」と思うかもしれません。ここからは、双子妊娠によるつわりの違い、お腹の張りを解説します。

 

双子を妊娠したらつわりはひどい?

双子以上の多胎妊娠では、つわり症状が強く出やすいと言われています。つわりの原因ははっきりとわかっていない部分も多いもの。しかし胎盤容積が大きいと症状が強いことから、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が関連していると推測されています。

 

双子のお腹の出方は?お腹が張りやすい?

双子妊娠の場合、胎児1人だけの妊娠よりもお腹の出方が早い傾向にあります。また妊娠中期からは、胎児が成長して胎盤や羊水の量が増えます。するとお腹の重みが増して、お腹の張りを訴えるママが多くなります。

 

単胎妊娠と比べてお腹がより膨らみ、妊娠後期に入った頃には、臨月ほどお腹が大きくなっているケースも。お腹が張っていると感じたら、すぐに横になり休みましょう。横になってもお腹の張りがおさまらない、痛みが続く場合はかかりつけの産科医を受診してくださいね。

 

 

【双子の妊娠】よくある疑問に医師が回答

ここからは、双子妊娠についてのよくある疑問に答えていきます。

 

Q. 双子だと管理入院が必要?

双子妊娠で管理入院が必要かどうかは、膜性診断により大きく異なります。

一絨毛膜性双胎の場合は、1つの胎盤を2人が共有するため、よりリスク(双胎児間輸血症候群など)が高くなります。病院によっては、妊娠22週以降の管理入院が必要になるでしょう。またどの膜性の双胎でも、赤ちゃんが大きくなる妊娠中期以降は、お腹が張りやすくなると入院が必要です。

出産までの間、数ヶ月単位で入院する場合もあれば、外来で通院しながら経過をみる場合もあり、人によってさまざまです。

 

Q. 双子の出産方法は?

双子の出産方法は、病院により異なります。

胎児2人とも頭が下の「頭位」の場合は、経膣分娩(下からの分娩)ができることもあります。しかしどちらか1人が逆子(骨盤位という頭が上にある状態)だと、帝王切開となることも。最近では双子妊娠のケースは、予定帝王切開での分娩が多いので、病院に確認しましょう。

 

Q. 双子妊娠のリスクは?

双子の妊娠で気になるのは、そのリスクでしょう。双子の場合、単胎妊娠と比べるとリスクは大きくなります。具体的には以下の通りです。

 

・早産

・妊娠高血圧症候群

・胎児発育不全

・胎児先天異常

このように様々なリスクがあります。

 

双子妊娠のリスク(1) 早産

妊娠37週未満での出産を「早産」と言います。多胎妊娠では早産の可能性が高いです。2017年の人口動態統計では、単胎妊娠の早産率4.7%に対し、多胎妊娠は50.8%とかなり高くなっています。

また妊娠28週未満の「超早産」となる人も、10%程度いると言われています。そのため妊娠中から、早産にならないように管理が必要となるのです。

 

双子妊娠のリスク(2) 妊娠高血圧症候群

妊娠中にママの血圧が上昇し、尿タンパクがみられる状況です。双胎妊娠の妊娠高血圧症候群のリスクは、単胎妊娠のおおよそ3倍と言われています。

妊娠高血圧症候群が重症化すると、子癇発作や常位胎盤早期剥離のリスクが高まります。ママと赤ちゃんどちらの命も、危険な状態になる場合があるのです。

 

双子妊娠のリスク(3) 胎児発育不全

お腹の中の赤ちゃんが、あまり成長がしないことを言います。胎児1人もしくは2人とも、超音波検査でみる成長が標準より小さい場合です。

双子の場合、単胎に比べて赤ちゃんが小さく生まれる傾向があります。成長の状況によっては、入院しながら注意深く経過をみて、分娩の時期を早めることがあります。胎内での成長が思わしくない場合、まだ小さくても早めに出産し、ミルクや母乳を与えたほうが成長を見込めるからです。

 

双子妊娠のリスク(4) 胎児先天異常

赤ちゃんの体の機能や形に、異常がみられる状態です。軽症から重症まで様々ですが、多胎妊娠の約6%で起こると言われ、超音波検査で異常が見つかることがあります。

 

双子妊娠のリスク(5) その他

その他にも、妊娠糖尿病や血栓症、貧血、出産時の大量出血(弛緩出血)など多くのリスクがあります。

 

関連ページ

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Q. 双子の出産費用は高くなる?

2人分の出産だから費用が高くなるのかと、心配な人もいるでしょう。

健康保険に加入している人が利用できる制度「出産育児一時金」によって、赤ちゃん1人につき42万円が支払われます。つまり双子の場合は84万円支払われます。

 

直接支払い制度を利用すると、病院への支払いは84万円を引いた金額になります。窓口での負担を減らしたい場合は、利用するといいでしょう。

(例)出産費用が90万円の場合:90万ー84万=6万円の支払いとなります

通常の出産は自費診療となり、健康保険が使えません。ただし帝王切開での出産は保険診療となるため、高額医療費の申請が可能です。

 

高額療養費制度の申請をしておくと安心

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費が一定金額を超えた場合、戻ってくる制度です。(自己負担額は所得によって異なります)

双胎の妊娠では、切迫早産や妊娠高血圧症候群などで、事前に入院する可能性が高くなるものです。入院期間が長ければ医療費が高くなりますが、高額療養費制度の利用で自己負担額が抑えられます。もし分娩前に急遽入院となった時には、限度額認定証の発行手続きをしておくことをおすすめします。

 

Q. 双子を妊娠しやすいのはどんな人?

双子を妊娠しやすい要因は、明らかになっていないことも多いです。一卵性双生児は、自然妊娠で起こりやすい要因はありません。二卵性双生児は、以下のような場合に双子を妊娠しやすいと考えられています。

 

【二卵性双生児を妊娠しやすい要因】

・遺伝

・生殖補助医療をしている

・35歳以上

・二卵性の双子を以前妊娠している

ただし、どれも双子を妊娠した人の傾向なので、明らかなことはわかっていません。

 

 

《まとめ》

 

双子の妊娠がわかると喜びとともに、妊娠中や出産後の育児など、不安に感じることもあるでしょう。双胎妊娠はリスクが高く、入院での管理が必要になるケースも多いです。ママと赤ちゃんに負担の少ない妊娠生活を送れるよう、家族で支え合いながら過ごしてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

双子ってやっぱり大変?お金も倍かかるの?

不妊治療でできた子供に双子が多いのはなぜ?

           

1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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