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2023.03.13
がっつり生理がきたのに妊娠はあり得る?【助産師】妊娠をしている可能性は?
妊娠を待ち望む女性にとって、生理がくるかどうかはとても気になるでしょう。「妊娠できたかな?」と思っている時にがっつり生理がきてしまうと、本当に落ち込みますよね。今回は生理がきても妊娠している可能性について、助産師が解説します。また、生理と妊娠による出血の違いも説明していきます。
目次
がっつり生理がきたけど妊娠の可能性ある?出血の原因とは
「生理がきたはずだけど実際は妊娠していた」という可能性は、もちろんあります。生理だと思っていた出血の原因には、着床出血、排卵出血、異所性妊娠、切迫流産などが挙げられます。
着床出血
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際の少量の出血をいいます。おおよそ4分の1の妊婦さんに起こるといわれており、誰もが経験するわけではありません。これは着床時に起こる出血のため、その後は生理がこないまま妊娠が発覚します。その時に、生理があったのに妊娠したという誤解が生まれてしまいます。
着床出血は、がっつりという程の量ではありません。しかし普段から生理の量が少ない人にとっては、着床出血であっても、生理だと勘違いする場合があります。
排卵出血
排卵出血は、排卵日の2~3日前に卵胞が破れて起こる出血を指します。これも着床出血と同様に、量はそれほど多くないのが特徴。その排卵出血を生理と勘違いすることもあり、そのまま妊娠する可能性ももちろんあります。
異所性妊娠
異所性妊娠とは、受精卵が子宮内以外に着床してしまう異常妊娠です。そのほとんどは卵管に着床するので、そのまま成長すると卵管破裂となり、大出血を引き起こしてしまいます。腹痛を伴うので、これを生理痛と勘違いするケースもあります。
異常妊娠ではあるものの、これも妊娠のひとつです。腹痛と出血があると生理痛と捉えてしまい、妊娠に驚く人もいます。
流産による出血
生理だと思っていた出血が、実は妊娠したのちに切迫流産、もしくは初期流産を起こした際の出血だったという場合もあります。切迫流産では、出血が少量~多量と様々です。初期流産は出血量が多く、そのまま流れてしまうこともあります。
また不規則なお腹の張りを感じることがあり、これを生理痛と勘違いするケースもあります。
生理?妊娠?出血の原因と見分け方
生理とそれ以外の妊娠に関連する出血の見分け方には、どのようなものがあるでしょうか。詳しく見ていきましょう。
「生理」の特徴
生理とは、子宮内膜が剥がれ落ちることで起こります。正常な生理周期は25~38日、出血持続日数は3日~7日です。色は赤色から暗赤色で、ナプキンを2時間ほどで交換する程度です。
子宮内膜が剥がれるため、塊が多く出ることがあります。生理痛がある人は、下腹部が重くなるような腹痛を感じるでしょう。生理周期はストレスによって大きく影響を受けるため、不規則になる時もあります。また生理痛が重い人、軽い人、量が多い人、少ない人など個人差があるのが特徴です。
「着床出血」「排卵出血」の特徴
着床出血や排卵出血は、基本的に生理の出血に比べて少量です。継続期間も1~2日のため、短期間で終わる場合は、生理とは考えにくいでしょう。色はピンク色、茶褐色、鮮血色が多く、塊が出ることはありません。腹痛は「チクチクするような痛み」と表現されることが多く、あまり持続はしません。
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妊娠超初期に着床以外で出血する原因は?
妊娠超初期の出血で考えられるのは着床出血ですが、それ以外もあります。ここでは妊娠性の出血、妊娠以外の出血に分けて紹介します。
妊娠性の出血
妊娠性の出血は以下のとおりです。
妊娠性の出血1. 絨毛膜下出血
子宮の中にある卵膜は、羊膜、絨毛膜、脱落膜に分かれます。絨毛膜と子宮内膜の間に、出血が溜まってできた塊を「絨毛膜下血腫」といいます。自然に子宮内膜に吸収される時もありますが、血腫が大きい場合は出血します。色は鮮血色や赤褐色です。
ほとんどは妊娠経過のうちに自然治癒しますが、血腫が大きすぎると、妊娠経過に影響を与えることもあります。
妊娠性の出血2. 異所性妊娠
受精卵が子宮内ではない、卵管、卵巣などの子宮以外に着床するのが「異所性妊娠」です。初期は少量の出血で済みます。しかし診断が遅れると大量出血と腹痛を引き起こし、危険な状態となるため早めの対処が重要です。
妊娠性の出血3. 胞状奇胎
胎盤を作るための細胞が異常増殖してしまう病気で、子宮内にブドウの粒のように増えていくのが特徴です。出血はごく少量で、赤褐色や茶色。速やかに治療と処置が必要です。
妊娠性の出血4. 前置胎盤
「前置胎盤」とは、胎盤が子宮の入り口をふさいでいる状態です。特に症状はありませんが、腹痛を伴わずに出血することがあり、これは警告出血と呼ばれます。警告出血が起きれば、妊娠週数によっては緊急帝王切開になることもあります。
妊娠性の出血5. 流産(切迫流産含む)
子宮収縮(下腹部の違和感)を伴う出血は、流産もしくは切迫流産(流産しかかっている状態)の可能性があります。出血量は少量~多量と個人差があるでしょう。初期流産(妊娠12週未満)は、胎児の染色体異常によるものがほとんどです。切迫流産はまだ妊娠の継続ができているので、医師の判断で、安静指示や薬物治療を開始するケースもあります。
妊娠以外で考えられる出血
妊娠による出血ではない場合もあります。
■子宮頸部びらん
子宮の入り口である子宮頸部が、赤くただれている状態です。女性ホルモンによって起こる現象で、性交渉や内診で出血することがあります。色は赤褐色、茶色、ピンクなど様々で、出血量は少量です。
■子宮頸管ポリープ
子宮頸管のいぼで、女性ホルモンの影響でできるといわれています。柔らかいので、性交渉や触診、排便時のいきみなど少しの刺激で、簡単に出血します。出血量は少量、ピンク、赤褐色、茶色など様々です。
■子宮がん
子宮がんは、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分類されます。子宮頸がんはヒトパピローマウイルスによるものがほとんどで、少量の出血から始まり、次第に増加するのが特徴。色は鮮血色から赤褐色です。
子宮体がんは、エストロゲンの過剰分泌が原因だといわれています。出血は少量で、茶褐色のおりものが出ることがあります。
「妊娠しているかも?」と思ったら
「妊娠しているかも?」と思ったらまず、自宅で妊娠検査薬を使用するのがおすすめ。妊娠すると、胎盤のもととなるものから、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という物質が分泌され始めます。
この量を測定するのが、妊娠検査薬です。hCGは血液内に入って、後に尿中に排泄されます。そのhCGの排出が検出可能量に達した時に、検査薬が反応して妊娠を判定します。
妊娠検査薬は正しいタイミングで
妊娠の判定は非常に緊張するものです。一刻も早く妊娠の有無を確かめたい気持ちもあるでしょうが、適切な時期に検査をしないと、正しく反応しない場合があります。
一般的に販売されている妊娠検査薬では、生理開始予定日の1週間後から検査が可能。それ以前での検査を、俗に「フライング検査」と呼びますが、正しい結果が得られないことがあるため、しないようにしましょう。
受精すると5~6日で着床するので、少量の出血はこのタイミングがほとんどです。hCGは着床後さらに1週間ほど経つまでは、検出できる量に達しません。妊娠検査は、性行為をした日の付近(排卵期)から、2週間ほど待つ必要があると覚えておきましょう。
妊娠検査後は受診を
妊娠検査薬は、あくまでも妊娠の有無を判定するもの。正常妊娠・異常妊娠については、妊娠検査薬だけではわかりません。医師の超音波検査による確定診断が重要となるので、注意しておきましょう。
もしも異所性妊娠だった場合は特に、早急な処置が必要です。自分で検査した後はすぐに病院に行きましょう。
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《まとめ》
生理のような出血があっても、それが生理ではなく、妊娠性のもの、もしくはそれ以外の可能性も考えられます。生理は量が多く、血の塊が出ることもあります。下腹部が重くなり、なんとなく生理だと気づくかもしれません。出血量や性状、色、子宮収縮や下腹部痛など、その他の症状もしっかり観察しておきましょう。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に助産師独自の職能団体として社団法人として創立。
全国都道府県助産師会の会員にて組織されている。
2012年10月1日から公益法人制度改革により公益法人認定法に基づいて公益性を認定され、公益社団法人として新たにスタート。
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