【妊娠初期】生理みたいな出血!大丈夫?
妊娠初期に出血があると、「赤ちゃんは無事かな?」と不安になるでしょう。この頃はまだ、胎嚢が確認できるかどうかという、非常に大事な時期。妊娠検査薬で陽性がわかっただけで、まだ産婦人科を受診していない人もいるでしょう。
妊娠初期の出血と流産の可能性
早期妊娠検査薬で陽性反応が出たにも関わらず、胎嚢が確認できずに出血してしまうケースもあります。この場合は残念ながら、化学流産の可能性が考えられます。化学流産とは、着床後に何らかの問題で赤ちゃんが順調に成長できず、生理が来てしまう状態です。
化学流産は、流産としては取り扱いません。しかし妊娠を心待ちにしている人にとって、大きなショックとなります。
妊娠初期は非常に敏感な時期。この妊娠初期に流産する確率は15%にものぼる、というデータがあります。もし生理のような出血があったら、赤ちゃんの生存確認と共に、どこから出血していて原因が何かを探るのが重要。すぐに産婦人科を受診してください。
妊娠した女性の身体は目まぐるしく変化し、子宮や膣はとても傷つきやすく、出血しやすい状態となります。出血がティッシュに少しつく程度であれば、問題ないことが多いです。少量の出血は、30%の妊婦さんが経験するともいわれています。
産婦人科を受診して赤ちゃんの生存が確認でき、しっかり成長していれば経過をみて問題ないでしょう。いずれにしてもすぐに産婦人科を受診し、かかりつけの産科医の指示を仰ぎましょう。
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【妊娠初期】出血がおこる原因・特徴
妊娠初期に起こりやすい出血の原因と特徴について、紹介していきます。
妊娠初期の出血1. 胎盤ができる過程でおこる
妊娠16週ごろには、赤ちゃんに栄養を与えるための胎盤が完成します。その過程で出血が起こることがあります。
■着床出血
受精卵が子宮内膜に着床することで起きる出血で、全妊娠の8~25%に見られます。色は赤~茶色で出血量は少なく、2~3日で落ち着きます。着床出血の原因は、胎盤の形成時に絨毛が子宮内膜の血管を破って中に入り込み、血管が傷つけられることだといわれます。生理現象であるため、特に心配する必要はありません。
■絨毛膜下血腫
着床する時に子宮内膜の血管が傷つき、絨毛膜と子宮内膜の間で出血を起こし、血腫ができることがあります。これが絨毛膜下血腫です。
少量であれば自然に子宮に吸収されますが、大量に出血するケースもあります。超音波検査で発見されることが多く、妊娠初期におこる出血の大半を占めます。出血が多い場合は、安静指示が出ることもあります。
妊娠初期の出血2. 切迫流産・早期流産
妊娠初期の出血は、流産の可能性も考えられます。
■切迫流産
切迫流産とは「流産しかかっている状態」を指します。つまり流産に移行する可能性があるということ。少量の出血が持続的に続くのが特徴です。深刻な場合は出血量が多く、腹痛を伴うこともあります。
胎児の心拍や成長が確認されれば、妊娠を継続することも可能です。治療は主に安静で、投薬治療を行うこともあります。
■早期流産
妊娠22週未満に妊娠が終了してしまうことを流産といい、全妊娠の10~15%は流産を経験するといわれています。その中でも妊娠12週未満のものを早期流産といい、流産全体の80%を占めています。
出血は少量から多量になることもあり、いずれも超音波での確認が必要となります。週数が早ければ自然排出するため、出血量には注意が必要です。
妊娠初期の出血3. 異常出血
異常出血にはいくつか種類があります。
■異所性妊娠(子宮外妊娠)
受精卵は通常、子宮内膜に着床します。しかし何らかの影響で、子宮内膜以外の卵管や卵膜などに着床することを「異所性妊娠」といいます。
妊娠検査薬で陽性反応が出て、超音波による胎嚢確認の時期になっても子宮内に確認されない場合に、異所性妊娠を疑います。異所性妊娠では妊娠継続は不可能です。もしも放置すると大量出血を起こし、ママの命にも関わることがあります。
■胞状奇胎
胎盤をつくる絨毛組織が増殖し、ぶどうのような粒がたくさん子宮内を満たしている状態。胎児はその中に吸収されてしまい、手術が必要になるため妊娠継続は不可能です。超音波検査での診断が必要で、手術後も慎重な経過観察をします。断続的な出血やおりものがあり、つわりが非常につらいケースがあります。
■前置胎盤
胎盤は通常、子宮の上の方に付着するもの。それが膣に近い位置に付着し、子宮口の広範囲あるいは一部を覆ってしまうことを、「前置胎盤」といいます。
ほとんどは無症状で、超音波検査で発見されることが多いです。ただし警告出血といって、痛みがないにも関わらず出血するケースも。胎盤が子宮を塞ぐ位置によっては、帝王切開が選択されます。
妊娠初期の出血4. 妊娠とは関係ない
妊娠とは関係がない出血の場合もあります。
■子宮頸部びらん
子宮の入り口である子宮頸部が、赤くただれてしまっている状態です。妊娠の有無に関わらずただれる場合があり、性行為や内診などで出血することも。赤から茶色の出血が少量、もしくはおりものに混ざり、炎症を起こすことで出血します。
■子宮頸管ポリープ
子宮頸部にポリープという、できものができることがあります。エストロゲンの影響といわれており、ポリープ自体が柔らく、性行為や排便など少しの刺激でも出血しやすくなります。色は赤から茶色で、少量のおりものに混ざる程度の出血です。
【妊娠初期】生理みたいな出血!への対処
妊娠初期に出血すると、「赤ちゃんは大丈夫かな」と不安になり、動揺するかもしれません。出血した時の対処法を知り、落ち着いて対応しましょう。
まずは落ち着く
出血してしまい、慌てる気持ちはわかります。しかし深呼吸をして、一度落ち着きましょう。落ち着かなければ必要な観察ができず、逆に対応が遅くなってしまう可能性があります。
「出血量・色・形状」を確認
出血があったときは、まず以下のことを観察しメモしましょう。
□いつから出血しているのか
いつ出血し始めたか、今は止まっているのか、続いているのか
□出血の量
どれくらいの量か(下着につく程度、ティッシュにつく程度、おりものに混ざっている、ナプキンが必要で生理2日目くらいなど)
□血の形状
どのような形状か(サラサラしている、ドロッとしている、塊があるなど)
□その他の症状
腹痛、お腹の張り、発熱、下痢など、出血以外の症状はあるか
産婦人科に連絡する時には、これらが重要な判断材料になります。可能ならばメモや携帯に記録し、出血時のナプキンを持参して受診することをおすすめします。
■出血の色の変化
出血の色は、赤・ピンク・茶色などがあります。子宮内から外に出る時間が長いほど、色は茶色になります。茶色い出血はある程度古く、子宮内で溜まっていた出血と考えてよいでしょう。
また緊急性がある場合の出血の色は、赤→ピンク→茶褐色→茶色と変化します。赤い出血、ピンクの出血は注意が必要です。
■出血の量の状態
茶色い少量の出血の場合は、緊急性が低いです。赤もしくはピンクの出血が、生理2日目かそれ以上だと危険性が高いと考えましょう。塊が出たり出血がひどく、どんどん出てくる場合は流産の可能性も考えられます。すぐにかかりつけの産科医に連絡しましょう。
安静にして産婦人科へ連絡
出血がある時は動かず、安静にして産婦人科に連絡しましょう。特にお腹の張り、腹痛があれば速やかな対応が必要です。
産婦人科に連絡する際は、以下のことを伝えてください。
・妊娠週数
・出血の状態や量
・いつから出血しているか
・腹痛、子宮収縮などその他の症状はあるか
・37.5度以上の発熱や風邪症状があるか
受診する時は、発熱や風邪症状の有無も重要な確認事項です。必ず体温チェックをしましょう。
産科医・助産師の指示に従う
産婦人科に連絡したら、医師または助産師の指示に必ず従ってください。症状について伝える内容は、自宅で様子をみていいのか、緊急に受診が必要か判断する材料になります。正確に伝えるようにしましょう。
受診する時は自らの運転や、公共交通機関の利用は避けましょう。誰かに運転してもらうか、タクシーで移動するようにしてください。
《まとめ》
妊娠初期の出血はよく起こるものとはいえ、実際に経験すると驚きや不安を隠せません。冷静な判断と対応が、その後を左右することもあります。まずは落ち着いて正しく対処しましょう。
※写真提供:PIXTA
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