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2022.05.23

経産婦の「陣痛の始まり」初産と違う?本陣痛の兆候と出産準備

経産婦さんはすでに出産を経験しているからといって、次回の出産も同じように進行するかというと、そうとは限りません。出産がどのように始まるのか、予測することは難しいもの。ですが初産婦さんと経産婦さんの違いを学ぶことで、出産に向けての心構えになるでしょう。経産婦さんの出産では、上の子のフォローも必要になってきます。今回は陣痛の始まりにおける、初産婦さんと経産婦さんの違いや、出産準備について紹介します。

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陣痛の始まりが近い?「本陣痛の前触れ」といえる兆候3つ

本陣痛の前触れ

 

本陣痛が近い場合、いくつかの兆候が見られることがあります。以下のような兆候が見られれば、本陣痛が近いと考えます。何があってもいいように、心構えをしておいた方がよいでしょう。

 

本陣痛の前触れ1. 前期破水

赤ちゃんは子宮の中で、羊水と卵膜に包まれて、外部刺激から守られています。しかし何らかの原因でこの卵膜が破れ、子宮内の羊水が出てしまうことを「破水」といいます。

本来ならば破水は、分娩進行中に子宮口が全開大する直前に起こるもの(適時破水)です。それ以前に起こる破水は、「前期破水」と呼ばれます。

 

前期破水には、子宮口より高い位置が破れる「高位破水」と、子宮口付近の卵膜が破れる「完全破水」があります。

高位破水の場合は、ちょろちょろと少量の水が流れる感じがあり、尿漏れと区別が難しいことがあります。破水かどうかわからない場合は、必ず病院で受診し、検査を受けて確認してください。完全破水はバシャーンと流れ出るので、すぐ破水だとわかるでしょう。

 

前期破水が起こると、24時間以内に約85%の確率で、本陣痛につながると言われています。しかし子宮内感染のリスクが上がってしまうため、すぐに入院して抗生剤の点滴を行う必要があります。前期破水はいつ、どこで、どんな状況で起こるかわかりません。正産期(妊娠37週以降)はあまり遠出をせず、ナプキンやタオル、母子手帳を必ず持ち歩くようにしましょう。

 

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本陣痛の前触れ2. おしるし(産徴)

出産が近くなると、子宮壁から卵膜がはがれて、少量の出血が起こることがあります。これを「おしるし」といい、子宮口が開き始めているサインです。出産は近いと考えてよいでしょう。

 

ただ、おしるしがきたからといって、すぐに陣痛が始まるわけではありません。本陣痛は1~2日以内にくると考えてよいでしょう。おしるしがくると、すぐ出産なのだと慌てて病院に電話する妊婦さんもいますが、慌てなくても心配はいりません。

本格的な陣痛が近いと考えて、入院セットの準備を確認したり、家族とすぐに連絡がとれるように調整しましょう。本格的な陣痛がくるまで気が気ではないかもしれませんが、できるだけゆったりとリラックスして過ごしましょう。

 

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本陣痛の前触れ3. 前駆陣痛

臨月になると、出産の準備として不規則にお腹が張るようになり、これを「前駆陣痛」といいます。前駆陣痛により、硬くなっていた子宮口が柔らかくなり、次第に展退していきます。(子宮口の厚みが薄っぺらくなっていくこと)

前駆陣痛は本陣痛と違って、陣痛間隔がバラバラ。痛みもそこまで強くなく、持続時間が短いのが特徴です。感じ方にはもちろん個人差がありますが、痛みの強さも一定ではなく、規則性がないのも特徴のひとつです。

前駆陣痛がくると、出産が近いとはいえます。しかし本陣痛につながるのは数時間後だったり、数日後、あるいは数週間後とまちまちです。

 

破水、おしるし、前駆陣痛は出産が近いサインです。しかしこれら出産の兆候には個人差があり、一体どれから始まるのか予想することはできません。1人目の出産時は前駆陣痛から始まったのに、2人目は破水からの場合もありますし、逆のパターンもあります。

また初産婦さんだから、経産婦さんだからという違いはなく、出産の始まり方は個人差が大きいと言わざるを得ません。

 

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経産婦の「陣痛の始まり」は初産と違う?

経産婦の陣痛の始まり

 

出産における経産婦さんと初産婦さんの違いは、陣痛にあります。出産が近づくにつれて、前駆陣痛により子宮口が柔らかくなったり、開いたりしてきます。同時に、赤ちゃんの下降も始まってきます。

 

赤ちゃんは、出産が近づくとだんだん下に降りてきて、母体の骨盤内に固定されます。そして児頭が下降したことによって、胃がすっきりして食欲が増したり、頻尿になったり、恥骨痛が起こったりします。経産婦さんの場合は、このような体調の変化を感じ始めてから分娩の開始までが、初産婦さんより短いことが予想されます。

 

また分娩にかかる時間も、初産婦さんとは異なります。一般的に初産婦さんは、分娩開始から平均12~15時間かかると言われています。一方で経産婦さんはその約半分で、5~8時間とされています。

もちろん、これにも個人差があります。初産婦さんより時間がかかる経産婦さんもいます。また本格的に陣痛が開始してから、1時間以内に産まれてしまう超スピード出産の場合もあります。「経産婦さんは、1人目のときよりも短い時間で済む」という、あくまでも予想の範疇で考えておいた方がよさそうです。

 

 

【出産前後】初産婦と経産婦の違い

初産婦さんと経産婦さんでは、分娩所要時間に違いがあることがわかりましたね。では出産前と出産後では、どのような違いがあるのでしょうか。出産前、出産後それぞれで見ていきましょう。 

 

「出産前」の違い. 経産婦は予定日よりも早く生まれるの?

「経産婦さんだから、出産予定日よりも早く生まれるかも」と聞いたことはありませんか?結論から言うと、経産婦さん・初産婦さんともに、出産の日を予測するのは不可能です。予定日はあくまでも、赤ちゃんの超音波検査による推定です。必ずしもその日に生まれる、というわけではありません。

そして初産婦さんよりも経産婦さんの方が、出産の日が早いかというと、そうでもありません。いつ赤ちゃんが生まれてくるかは、出産回数よりも個人差が大きいと言えるでしょう。妊娠37週0日~41週6日までの出産は、正期産です。その範囲で生まれたら大丈夫だと、のんびり考えておきましょう。

 

妊娠36週からは、妊婦健診が1週間に1回になります。内診をすることで、赤ちゃんの下がり具合、子宮口の開き具合や柔らかさなどを把握します。それにより予想することは可能ですが、確実ではありません。

 

出産予定日を2週間以上超えた、妊娠42週を過ぎてからの出産を、過期産といいます。胎盤機能が低下したり羊水が濁ったりして、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。そのため分娩の兆候がなければ、病院によっては分娩誘発を行うことがあります。

 

「出産後」の違い. 経産婦は後陣痛が強い!

経産婦さんの出産後の特徴として、後陣痛が強いことが挙げられます。後陣痛とは、大きくなった子宮が元の状態に戻ろうとする、子宮復古のための不規則な痛みのことです。経産婦さんの場合は、初産婦さんよりも子宮が伸びてしまっているので、元に戻ろうとする力が強く働きます。そのため、初産婦さんよりも後陣痛が強い傾向にあります。

 

痛み止めを飲まないと辛くて、「もう1人産まれそう」というほど、痛みを訴える経産婦さんさんも少なくありません。また授乳を開始すると、乳頭への吸啜(きゅうてつ)刺激で、さらに後陣痛が強くなることも。なかには授乳を中断せざるを得ない、経産婦さんもいます。

 

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経産婦が知っておきたい!出産に向けた準備&心構え

経産婦の出産準備

 

第2子・第3子の出産を控えている経産婦さんは、1人目の時とどんな風に違うのか、何の準備をしておくべきか、考えることがたくさんあるでしょう。ここでは、出産前にやっておいたほうがいいことや、出産に向けての心構えについて紹介します。

 

経産婦の準備&心構え1. ベビー用品の見直し

2人目以降の出産では、特にこだわりがなければ、上の子のお下がりを使用する場合が多いでしょう。ベビー用品は、肌着やタオルなどの買い足し程度で済むかもしれません。しかし上の子と年齢が離れている場合や、出産時の季節が真逆な場合は、新生児期に準備するものが変わってきます。古くて使用できないことも考えられますので、しっかりとベビー用品を見直しましょう。

またベビーカーやチャイルドシートなど、大型のベビー用品についても注意が必要。出産後は準備の時間が取れない可能性が高いので、事前にきれいにしておくことをおすすめします。

 

経産婦の準備&心構え2. 夫と話し合い

出産はいつ、どのように始まるかわかりません。破水したとき、陣痛がきたとき、出血のときなど、様々なパターンを考えておくとよいでしょう。分娩開始時に、パパがそばにいるとは限りません。

・仕事中の時はどうやって病院に行くのか(タクシーを使うのか、両親など頼れる人がいるのか)

・上の子どもが保育園や幼稚園の場合は、誰が迎えに行くのか

・実家や義実家にはどこまで頼れるのか

・里帰りはどうするか

など様々なことを想定して、細かく話し合っておきましょう。

 

里帰りをしない場合は特に、お互いのストレスを最小限にするためにも、話し合いが必要です。家事分担や子ども達の送迎など、協力しあうように心がけましょう。

 

経産婦の準備&心構え3. 上の子のフォロー

ママが入院中は、「上の子をどこに預けるのか、誰が見てくれるのか」をきちんと確認する必要があります。もし実家や義実家に頼る場合は、子ども達が慣れるように、事前にお泊まりなどをさせておいたほうが良いでしょう。

パパが見てくれるのであれば、子ども達の日常生活の注意点やすべきことなど、事細かに伝えておきましょう。ノートにまとめておくとわかりやすいですね。もしも頼れるのがパパしかいない場合で不安な時は、産院や保健センターで相談してみましょう。

 

上の子は、ママがいない環境を経験するのが初めてかもしれません。赤ちゃんを産むために、しばらく入院しなくてはいけないことを、きちんと伝えましょう。出産が近づくと、子どもはなんとなく情緒不安定になります。「急にママがいなくなった」と思わないように、出産前からフォローをしっかり行いましょう。

 

経産婦の準備&心構え4. 産後ケアを利用

もしも出産後、誰も頼る人がいない場合は、産後ケア制度の利用をおすすめします。すべてひとりでやろうと思わずに、市町村のサービスや助産院のデイサービス・ショートステイを利用するといいでしょう。他の人の手を借りながら、育児をしていきましょう。また弁当の宅配や家事代行、ファミリーサポートなども登録しておくと、いざというときに便利ですね。

 

 

《まとめ》

 

分娩の始まりは、出産回数に関係なく個人差があります。どう始まってもいいように、準備と心構えをしておきましょう。経産婦さんは、分娩進行が速いことが予測されますので、注意が必要です。事前に上の子のことや出産前後のことなど、しっかりと家族で話し合って万全の準備をしておきましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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