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2021.06.04
おしるしとは?「おしるしが来たかも」と思ったときの対処法【産科医】
臨月に入り出産が近づいて来ると、妊婦さんの体には様々な兆候が見られるようになります。「おしるし」はその兆候の一つです。ではおしるしとは、どんなものなのでしょうか。おしるしの特徴と、そうでない出血との見分け方を理解しましょう。またおしるしが来てから入院・出産までの流れ、おしるしが来たときの対処法について解説していきます。
目次
「おしるし」とは出産が近づくと現れる兆候
「おしるし」とは、出産が近づいて来ると現れる兆候の一つで、粘液を伴う出血のことを言います。おしるしとは、医学用語では「産徴(さんちょう)」と言います。
おしるしとは子宮の出産準備のサイン
赤ちゃんを包んでいる卵膜と子宮の壁の内側は、普段はピッタリとくっついている状態です。臨月に入り、子宮の入り口が柔らかく、薄くなって開いてくることで、羊膜と子宮の壁が少しずつずれて剥がれていきます。
この時に、毛細血管が切れることで出血するのが「おしるし」です。出産に向けて子宮が準備を始めたというサインなので、心配しなくても大丈夫です。
おしるしの色・量とは?おしるしがない人もいる
おしるしの色は、茶色、赤、暗赤色、ピンクと様々です。おしるしの量も人によって違い、ショーツにうっすら少量の時もあれば、生理のようにやや多い時もあります。たいていはおりもののようなどろっとした粘液と一緒に出てくることが多く、長く続きません。回数も人それぞれで、1回の人、複数回繰り返す人、まったくおしるしがない人もいます。
すぐ受診すべき!おしるしと区別したい心配な出血
おしるしとは違う、妊婦さんと赤ちゃんの命の危険が伴う出血もあります。その代表的な病気の一つが常位胎盤早期剥離です。これは赤ちゃんが産まれる前に胎盤が剥がれてしまう病気で、赤ちゃんに酸素が届かなくなったり、妊婦さんが大量出血してしまう場合があります。
下記の症状の場合は、すぐに病院を受診してください。
・お腹が板のように硬くなる
・耐え難い痛みが持続する
・真っ赤なさらさらした血液がずっと続く
・大きな血の塊が出る
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✔臨月の出血はすぐ受診するべき?【産科医監修】おしるしとの違いは?
おしるしから入院・出産までの流れ
おしるしがあってから、どれくらいで出産になるのでしょうか。人それぞれパターンが違いますが、基本的な流れについて説明します。
1. 出産の兆候はおしるし・前駆陣痛
おしるしはお産が近いという兆候の一つで、出産が始まる兆候とは違います。お産が近い兆候として、前駆陣痛もあります。これは臨月あたりから頻回に訪れる、不規則なお腹の張りや痛みです。軽い痛みから耐え難い痛みまであり、痛みの強さも、どれだけ続くのかも人によって様々です。
おしるしや長く続く前駆陣痛があるのに、なかなか出産にならないと焦ったり不安になってしまうこともありますよね。おしるしと前駆陣痛は、出産に向けて子宮の入り口が柔らかく薄くなるための大切な兆候です。子宮と赤ちゃんが出産の準備をしていると思って、ゆったりした気分で待ちましょう。
2. おしるしの次に陣痛・前期破水
出産が近い兆候である、おしるしや前駆陣痛があった後には、陣痛か前期破水があります。10分よりも短い間隔で規則的に痛みが来て、どんどん痛くなるようであれば陣痛です。前期破水は陣痛が来る前に、赤ちゃんを包んでいる膜が破けて羊水が流れることです。
これらが組み合わさって出産になります。しかし、おしるしも前駆陣痛もなく陣痛や前期破水がくる人もいて、出産までの過程は人それぞれです。
それでは、例えとして出産までの過程を見てみましょう。
おしるし → 前駆陣痛 → 陣痛 |
おしるし → 陣痛 |
おしるし → 前期破水 → 陣痛 |
前駆陣痛 → 陣痛 |
前期破水 → 陣痛 |
おしるしが来てから、どれくらいで陣痛や前期破水が来るのでしょうか。これも人によって違いがあるため、これという答えがありません。2、3日後の人、1週間後の人もいれば、すぐに陣痛がくる人もいます。
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✔おしるしから陣痛・出産まではどれくらいかかる?【入院準備リストも紹介】
おしるしが来たら!対処法と過ごし方
おしるしが来たからといって、慌てることはありません。おしるしは出産が始まる兆候ではなく、出産が近いという兆候です。もしかしたらもうすぐ陣痛か前期破水がくるかも、と思いながら様子を見てください。
おしるしが来たら入院準備をチェック
入院の準備が万全か、もう一度チェックしておくのもよいかもしれません。基本的にはおしるしは病院に連絡しなくてもよいものではあります。
しかし、前置胎盤や低置胎盤の人、予定帝王切開の人、前回のお産がかなり早い経過だった人は早めの連絡が必要な時があります。かかりつけの病院の説明をしっかり聞いておきましょう。
《まとめ》
おしるしは出産が近づいていると現れる兆候で、粘液を伴う出血のことです。おしるしが何回もある人もいれば、まったく無く出産する妊婦さんもいます。常位胎盤早期剥離といって妊婦さんと赤ちゃんの命に危険のある出血もあるので区別が必要です。どちらかよく分からない場合は、迷わずかかりつけの病院へ連絡しましょう。
おしるしは病気ではないので、おしるしが来ても不安になることはありません。慌てず様子をみながら、本格的な出産の兆候が現れるまで、ゆったりと落ち着いて過ごしていきましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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