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2021.12.20

後陣痛はいつまで続く?ピークは?【産科医】痛みを和らげる方法

妊娠中に大きくなっていった子宮は、出産直後から約4~8週間かけて、妊娠前の大きさまで戻っていきます。この時に生じる生理痛よりもやや強い腹痛を、後陣痛といいます。後陣痛の強さには個人差がありますが、産後の過ごし方次第で痛みを和らげることもできます。ここでは後陣痛についての解説に加え、少しでも後陣痛を和らげるための対処法について、医師のアドバイスを紹介します。参考にしてみてくださいね。

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後陣痛とは?どんな痛み?

後陣痛とはどんな痛み

 

「後陣痛」とは、子宮が妊娠前の状態に戻ろうと収縮する時に生じる痛みのことです。痛みの強さや時期には個人差があり、ほとんど痛みを感じない人もいれば、陣痛と変わらないほど強い痛みを伴う人もいます。

 

後陣痛が起こる原因とは

それでは、後陣痛はなぜ起こるのでしょうか。その原因を説明します。

出産の時、子宮筋層の胎盤が剥がれた部分にある血管には、断裂が起こります。そして子宮は収縮することで、血管の断裂部分の圧迫止血を行います。これが正常に起こることで、産後の出血を少なく抑えることができます。この収縮を起こして、子宮は約4~8週間で妊娠前の大きさに戻ります。

このように子宮が収縮する時に生じる、腹部周辺の痛みが後陣痛です。産後の体の回復には、とても重要な過程とも言えます。

 

痛みの感じ方には個人差がありますが、子宮収縮の力が強いほど後陣痛も強くなる傾向にあります。経産婦や多胎妊娠など、後陣痛が強くなりやすい人はいますが、実際には産後になってみないとわかりません。

後陣痛は子宮が収縮する時の痛み。経膣分娩・帝王切開分娩どちらの分娩方法でも、後陣痛を感じる可能性があります。

 

後陣痛はどんな痛み

後陣痛は、生理痛よりも少し強い痛みとして表現されることが多いです。しかし痛みの程度や感じ方には個人差があります。痛みで眠れない、育児がままならない人もいれば、ほとんど痛みを感じない人もいるようです。また腰が痛い人、下腹部が痛い人など、痛みを感じる部位にも個人差があります。

 

 

後陣痛はいつまで続く?症状のピークはいつ頃?

前述したように、産後の子宮が妊娠前の大きさまでに戻るまでには、約4~8週間かかると言われています。後陣痛は産後3日目までに痛みのピークが訪れ、徐々に痛みは小さくなることが多いです。

 

しかし後陣痛を感じる時期には、個人差があります。出産直後から強い痛みを感じる人もいますし、子宮がもとの大きさに戻る産後4~8週目まで症状が続く可能性も。また授乳することで、子宮を収縮させる作用のあるホルモンが分泌されます。母乳育児をしている人は、後陣痛のピークが早い時期に訪れる可能性があります。

 

 

後陣痛の痛みがひどくなりやすいママの特徴

 

それではどのようなママが、強い後陣痛を感じやすいのでしょうか。後陣痛が強くなりやすい人には、どのような特徴があるのかをみてみましょう。

 

後陣痛が強くなりやすい人1. 多胎妊娠・羊水過多だった

双子などの多胎妊娠や羊水過多だった人は、子宮がより大きくなっています。そのため子宮がもとに戻ろうとする力が強く、後陣痛は強くなる傾向があります。

 

後陣痛が強くなりやすい人2. 経産婦(二人目以降)

二人目以降の出産をした人も、一人目の妊娠のときよりも子宮は大きくなりやすい傾向にあります。そのため子宮がもとに戻ろうとする時に、後陣痛は強くなりやすいです。

 

後陣痛が強くなりやすい人3. 母乳育児

授乳によって乳頭が刺激されると、オキシトシンと呼ばれる子宮を収縮する作用のあるホルモンが分泌されます。このオキシトシンの作用によって、子宮収縮が促され、後陣痛が強くなることがあります。授乳中にお腹が痛くなる人がいるかもしれません。それは授乳によってオキシトシンが分泌されているためです。

 

後陣痛が強くなりやすい人4. 子宮収縮剤の投与

多胎妊娠や分娩時の出血が多い人など、その後の大量出血の予防のために子宮収縮剤が投与されることがあります。その場合は、薬の作用によって子宮が急激にもとに大きさに戻ろうとしますので、後陣痛が強くなることがあります。

 

 

後陣痛の痛みを和らげるケア方法

後陣痛があるということは、子宮が正常に収縮しているという証拠。この子宮収縮は、産後の出血を抑え、子宮の回復を促すので医学的には良いこととされています。しかし、強い後陣痛に耐えながら育児を行っていくことは、とてもつらいでしょう。精神的に安定して楽しく育児を行うために、効果的な後陣痛の対処法を知って、つらい痛みを少しでも和らげるようにしましょう。

 

それでは、後陣痛を和らげる方法を6つ紹介してきます。取り入れやすいものばかりですので、参考にしてみてくださいね。

 

後陣痛を和らげるケア1. お腹を温める

お腹を温めることで、血行が良くなり痛みを和らげることができます。湯たんぽやカイロで温める、温かいシャワーを浴びるなどして、できるだけからだを温めるようにしましょう。お腹以外にも、足首や首周りなどを温めると血行が良くなると言われています。足湯をすることで、血液の循環をよくすると良いでしょう。

温かい食べ物や飲み物を摂って、体を内側から温めることもおすすめです。自分に合った方法で、からだを温めるようにしてください。

 

後陣痛を和らげるケア2. 体を冷やさない

お腹周りをいくら温めても、冷たい食べ物を食べたり冷房に直接あたっていては、体は温まりにくく、血行もなかなかよくなりません。できるだけ体が冷えてしまうことは避けるように気をつけましょう。

 

後陣痛を和らげるケア3. 子宮周辺をさする

患部周辺を優しくさすることでじんわりとあたたかくなり、リラックス効果を得ることができます。リラックスすることで、痛みが緩和されることがあります。

 

後陣痛を和らげるケア4. リラックスする

自分がリラックスできる環境をつくるために、音楽を聴いたり好きなアロマオイルを使ったりすることもおすすめです。自分がリラックスできる方法を考えて、痛みを和らげる工夫をしましょう。

 

後陣痛を和らげるケア5. 楽な姿勢を探す

姿勢によっても痛みの感じ方が変わってきます。横向き、仰向け、膝を曲げてみるなど、自分が一番楽な体勢を探してみてください。クッションや抱き枕などを使ってみると、楽な体勢を維持しやすいこともあります。

 

後陣痛を和らげるケア6. ツボを押す

産後の回復を早めると言われている、ツボを押すこともおすすめです。内くるぶしから指4本分上の位置で、スネの骨の少し内側にあるツボが「三陰交」。温めたり、ツボを押すことで、産後の体の回復・冷え性・生理痛や更年期障害など、様々な婦人科系の悩みに効果があると言われています。

 

後陣痛のツボ

 

足湯などで、血行を良くしながら刺激すると効果的です。あまり強く押しすぎないように、3~5秒かけてゆっくり3~5回程度押してみましょう。

 

後陣痛の痛みが強い場合は相談を

産後の出血を抑え、子宮が妊娠前の大きさに戻るためには、子宮の収縮は大切です。しかしあまりに後陣痛が強く、ストレスや不安が強い場合には、かかりつけの産科医や助産師に相談しましょう。授乳中でも内服できる、鎮痛剤を処方してもらえる可能性があります。

また痛みが強いと、後陣痛以外に、子宮筋層炎や子宮内膜炎などの子宮内感染症が原因になっていることもあります。不安な場合には、かかりつけの産科医に相談してみてください。

 

 

《まとめ》

 

後陣痛とは、産後の出血を抑え、子宮を妊娠前の大きさに戻すために重要な子宮収縮が原因で起こります。後陣痛には個人差があります。痛みが強い人は、産後のストレスや不安が少しでも改善できるよう、今回紹介した後陣痛を和らげる方法を参考にしてみてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

産後2日目、痛みでベッドから起き上がれない…

           

1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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