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2022.04.18

新生児の吐き戻しが多い原因と対処法【小児科医】危険なサインとは?

新生児のお世話にまだまだ慣れていない新米ママ・パパの悩みでよくあるのが、赤ちゃんの「吐き戻し」です。「飲んでもすぐに吐いてしまうけれど大丈夫かな?苦しいのかな?」と心配になる人も多いでしょう。この記事では、新生児の吐き戻しの原因と対処法について解説します。また、受診が必要な場合もありますので、ぜひ参考にしてください。

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新生児の吐き戻しが多い理由

新生児の吐き戻しの理由

 

そもそもなぜ、新生児には吐き戻しが多いのでしょうか。吐き戻しの原因の多くは、飲み過ぎによる胃の容量オーバーです。

 

実は産まれたばかりの赤ちゃんも生後1週間の赤ちゃんも、胃の「大きさ」はそんなに変わりません。ただ、赤ちゃんはママのお腹の中にいるときは胎盤から栄養を貰って成長するため、胃をほとんど使っていません。

そのため生まれたばかりの赤ちゃんの胃は、まだミルクが入ってくることに慣れていない状態。胃の大きさに見合うだけのミルクを摂取できません。生後数日かけて、1回の哺乳量は2~3mlくらいから40mlくらいまで増加していきます。そして1ヶ月健診の頃には、80~100mlくらい飲めるように成長します。

 

また、新生児期の赤ちゃんは胃が未熟。胃の入口(噴門部)の締まりが悪いのも、吐き戻しの原因のひとつといわれています。噴門部とは胃と食道の境目にあり、巾着の口のようにしまったり拡がったりして、胃の中の内容物が口側に逆流するのを防いでいます。赤ちゃんはこの噴門部の締まりが悪いので、ミルクが逆流しやすいのです。

 

 

新生児の吐き戻しの対処法

新生児の吐き戻し時には、どうすればいいか焦ってしまいますよね。

 

新生児が吐き戻しした場合の対処法は?

まず赤ちゃんが吐き戻ししてしまった場合は、吐いたものが口の中や鼻に詰まっていないか確認してください。問題がなければ、しばらく縦抱きにしてげっぷをさせましょう。

ミルクが鼻から出てくることもありますが、機嫌が悪くなく、普段どおりであれば優しく拭ってあげて、様子をみましょう。鼻まで戻ってしまったミルクが垂れてきただけだと思われます。

吐いてすぐでも、咳込みが続いたりすることなく、顔色が悪くなければ心配ありません。

 

新生児が大量に吐いたけど大丈夫?

新生児がミルクを飲んだ直後などは、げっぷとともにたくさんの量を吐いてしまうこともあります。吐いた後しばらくたって、呼吸が苦しそう・顔色が悪いといったことがなければ、そのまま様子をみていいでしょう。

ただ、毎回たくさん吐いてしまって体重がなかなか増えない場合は、病気が隠れている可能性があります。かかりつけの小児科医に相談しましょう。

 

 

新生児のヨーグルト状の吐き戻し

ヨーグルト状の吐き戻しがあった場合は大丈夫なのか、心配になりますよね。これは消化途中のミルクを吐き戻してしまったためであって、問題ありません。

ただ、吐いたものに血液が混じる場合や「緑色の吐物」は危険です。緑色は胆汁が混じっているサインです。胆汁を吐く場合は、重度の消化器疾患が原因であることが多いので、医療機関を受診する必要があります。

 

吐き戻した後にミルクを欲しがる場合はあげてもいい?

ミルクを吐き戻しした後はすっきりしたため、再度ミルクを欲しがる新生児の赤ちゃんもいるでしょう。口をパクパクさせたり、手をしゃぶったりしていると、ミルクが欲しいサインです。

 

吐いてしまって胃が空っぽになるので、欲しがっていると考えられます。そのため基本的に顔色が悪くなければ、ミルクをあげても問題ありません。

ただ、たくさんあげるとまた吐き戻ししてしまいます。量を少し減らしてあげたり、ゆっくり時間をかけて飲ませてあげるといいでしょう。

 

 

新生児の吐き戻しの予防法

それでは、新生児の赤ちゃんが吐き戻しをしないようにするには、どうしたらいいのかご紹介します。

 

吐き戻しの予防1. げっぷは縦抱きの時にさせる

前述したとおり、新生児の赤ちゃんは胃の構造が未熟で、逆流しやすいです。げっぷは縦抱きの時にさせるのが良いでしょう。横抱きでは、げっぷ(空気)と一緒にミルクも吐いてしまいがちです。

 

関連ページ

赤ちゃんのげっぷの出し方【動画】新生児も上手にげっぷさせるコツ!

 

吐き戻しの予防2. 飲んだ後しばらく縦抱きで抱っこをする

 

ミルクをしっかり飲んだ後は、しばらく縦抱きで様子を見るといいでしょう。縦抱きにして、ミルクがしっかりと胃から十二指腸側に流れてから寝かせてあげると、吐き戻しが少なくなります。

 

吐き戻しの予防3. 一回のミルク量を減らす

ミルクを飲んだ後に毎回吐いてしまう場合は、飲み過ぎが原因の可能性があります。そのため、一回のミルクの量を減らしてみましょう。

一気に量を減らすと、赤ちゃんが空腹で泣いてしまったり、栄養不足になることもあります。まずは今まで飲んでいた量から、10〜20ml程度減らしてみてください。

 

ミルクの量を減らすことで、「吐き戻しが減っても赤ちゃんを寝かしつけられず困る」という人もいるでしょう。その場合は、抱っこであやしてあげましょう。ただ、あやすだけでは難しいこともあると思います。無理にミルクを減らす必要はありません。

 

離乳食前の赤ちゃんの哺乳量は、以下を目安に考えておくと良いでしょう。

1日のトータル量:体重1kgあたり150mlくらい(多くても200ml)

(例)体重4kgの赤ちゃんの場合、1日600mlくらい(多くても800ml)

 

関連ページ

【新生児の哺乳量】飲みすぎ?足りない?助産師が教える赤ちゃんのサイン

 

吐き戻しの予防4. 飲んだ後は体を横向きに寝かせる

 

ミルクを飲んだ後にしっかりげっぷをしても、しばらく時間が経つと吐き戻してしまうこともあるでしょう。基本的に、吐き戻しをすること自体は問題ありません。ただし吐いたもので窒息してしまう危険性があるため、吐いた後は少し体を横向き(側臥位)にしてあげるのがいいでしょう。

 

しかし、寝返りが打てない赤ちゃんを横向きで寝かせるときは注意が必要です。何かの拍子に体が動いてうつ伏せになってしまうと、乳児突然死症候群のリスクがあります一時的に体を横向きにする時は、うつ伏せになってしまわないように、決して目を離さずに見守ってあげて下さい。

 

また横向きにさせる場合は、顔の下にふかふかのガーゼやタオルを敷くのはやめましょう。横向きの赤ちゃんは、首の動きが制限されます。何かの拍子に口や鼻を圧迫して、呼吸が出来なくなってしまう危険性があります。

 

 

新生児が毎回・大量に吐き戻すときの危険なサイン

吐き戻しの危険なサイン

 

新生児の吐き戻しで気になるのは、「受診が必要なのか?それとも自宅で様子をみていいのか?」ではないでしょうか。ここからは、受診が必要なサインについても解説します。

 

新生児の吐き戻しで注意するポイント

赤ちゃんがたくさん吐いてしまうと、びっくりして「大丈夫かな?」と心配になりますよね。吐いた後でも顔色が悪くなく、機嫌よくしている場合は問題ありません。

しかし、吐いた後に以下のような場合は注意が必要です。

 

・ぐったりしている

・呼吸が苦しそうで顔色が悪い

・頻回に咳こむ

・何度も吐き続ける

・発熱や下痢がある

 

この場合は受診が必要なこともあるので、かかりつけの小児科医に相談しましょう。

 

受診が必要な吐き戻しの症状

新生児は基本的に生理的な吐き戻しのことが多いですが、なかには病気が隠れている場合もあります。そのため次のような症状が現れた時は、受診をしてください。

 

・噴水状に吐き出してしまう

・吐いたものに血が混じる、緑色の液体を吐く

・嘔吐とともにお腹が張っている感じがあり、不機嫌

 

特に噴水状に嘔吐する、哺乳のたびに嘔吐する、食欲はあるが飲むと吐くという場合は、「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)」の疑いがあります。1ヶ月健診の前後(生後1ヶ月前後)に発症しやすいのも特徴です。

肥厚性幽門狭窄症の場合は、手術が必要こともあります。このような症状が現れたら、かかりつけの小児科を受診してください。

 

 

《まとめ》

 

「赤ちゃんが吐いてしまっても大丈夫なのか?受診したほうがいいのか?」と不安になりますよね。赤ちゃんは大人と違ってまだ未熟。吐き戻しはよくあることで、基本的には問題ありません。ただし受診が必要な場合もありますので、普段の様子と違う場合はかかりつけの小児科医に相談してください。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

生後3ヶ月、授乳後に毎回吐き戻して心配

げっぷの出し方のコツを教えてほしい

         

資格
医学博士
日本睡眠学会専門医
日本アレルギー学会指導医、専門医
日本小児科学会指導医、専門医

略歴
1991年 静岡県立沼津東高校卒業
1998年 山梨医科大学(現山梨大学)医学部医学科卒業 同大学小児科入局
以後、山梨大学医学部救急部、山梨県立中央病院新生児科などの勤務を経て
2009年 小児科学講座助教
2014年 小児科講座学部内講師
2017年 杏嶺会一宮西病院 小児科部長
2023年 尾張こどもの睡眠・呼吸・アレルギークリニック開院・院長

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