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2021.05.06
新生児のしゃっくりが多い原因&対処【助産師】止まらない・吐く時
新生児期の赤ちゃんはよくしゃっくりをします。頻繁にしていたり止まらないと、苦しそうに見えますね。そのまま様子を見て良いのか、何か体調の変化が起きたり病気なのではないかと心配になるママもいるでしょう。今回は新生児に頻繁にしゃっくりが出る理由と、対処法について助産師が説明します。
目次
新生児の赤ちゃんにしゃっくりが多い理由
新生児期の赤ちゃんにしゃっくりが多い理由は、いくつかあります。
新生児のしゃっくりの原因1. 臓器が未発達
しゃっくりが起きるメカニズムは、口と鼻の奥にある舌咽(ぜついん)神経が、何らかの原因で刺激され、首の後の延髄神経に刺激が伝達し、肺と内臓を隔てる横隔膜がけいれんを起こすというものです。
脳や神経系、横隔膜といった臓器が未成熟な新生児は、ちょっとした刺激ですぐに横隔膜がけいれんを起こしてしまいます。これが、新生児がしゃっくりの起こしやすい理由です。
新生児のしゃっくりの原因2. 授乳で急激に胃が膨らむ
授乳後にしゃっくりをする新生児は多いです。新生児の胃の大きさはとても小さいので、母乳やミルクが一気に胃に入ることで急激に膨らみ、横隔膜を刺激します。また、母乳やミルクと一緒に空気を飲んでしまうことも横隔膜の刺激を誘発し、けいれんを起こします。
成長とともに母乳やミルクを上手に飲むことができるようになり、胃の許容量も増えることでしゃっくりの回数は自然と減ってくることが多いでしょう。
新生児のしゃっくりの原因3. 体温調節が未熟
新生児は自律神経が発達していないので、体温調節がうまくいかず、周りの温度変化に影響されやすい特徴があります。暖かい室内から外へ出て、冷たい外気に触れた時や、体を温めすぎてしまい、汗をかいて体が冷えてしまった場合にしゃっくりを誘因することもあります。
授乳の時以外でもしゃっくりをしている時は、気温が低くないか、汗をかいていないかを確認して衣服などで体温調節をしてあげるのも一つ対処法として試してみてください。
新生児のしゃっくりの原因4. おむつが濡れて冷える
新生児はまだ膀胱に尿を長時間溜められないので、頻回におしっこが出ます。おむつが濡れた状態で長時間過ごすと下半身が冷えてしゃっくりが引き起こされることがあるとも言われています。おむつが濡れていたら、交換してあげ様子を見てみましょう。
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新生児のしゃっくりが止まらない?対処法とは
新生児赤ちゃんのしゃっくりは音が大きいので心配になりますが、基本的には、機嫌も良く、しゃっくり以外に体調で気になることがなければ、様子を見て大丈夫です。
しゃっくりの対処1. 縦に抱っこ
横隔膜の圧迫に対しては、赤ちゃんを縦に抱っこしてあげることで横隔膜の緊張が緩み、おさまるかもしれません。げっぷを促してあげるのも良いでしょう。しゃっくりでおっぱいやミルクを吐いてしまうこともありますが、縦抱きにしてあげることで、むせずに吐きにくくなるかもしれません。
しゃっくりの対処2. 体を温める
体の冷えが誘因となっていると思う際は体を温めると良いでしょう。汗をかいた時は適宜着替えをしたり、おむつをこまめに取り替えたり、おくるみやバスタオルなどで体温調整をすることで保温してあげてください。
ただし、温めすぎることは一方で、呼吸中枢の未熟な新生児にとって乳幼児突然死症候群(SIDS)との誘因とも指摘されています。しゃっくりが生理的な反応であるというのは前述の通り、ご理解いただけたと思います。
冷えを極端に心配しすぎず、リスクマネジメントを心がけましょう。
しゃっくりの対処3. 強く叩くのはNG
優しくさするようにトントンするのは、問題ありませんが、大人にするように強く叩くのは、筋肉や骨格が未熟で負担が強いので避けましょう。急に大きな声で驚かせる方法は、「昔からの言い伝え」として大人に試す方法ですが、新生児や赤ちゃんにはやめましょう。
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病気の可能性?受診するべき新生児のしゃっくり
前述のように、新生児がしゃっくりをしていても、機嫌が良ければ、そのまま止まるのを見守る対処法で大丈夫ですが、病院に行った方が良いしゃっくりは以下のような特徴があります。
しゃっくりをしながらぐったりしている
新生児がしゃっくりをしながら、いつもより活気がなく、ぐったりしていたり、顔色が悪い、母乳やミルクの飲みが悪い状態が続く場合には病院に相談しましょう。肺炎、腎機能の異常、脳の病気の場合もあります。
しゃっくりが止まらない・ずっと吐く
しゃっくりと一緒に大量のよだれが出る、飲んだものを大量に吐く、といったことがあれば逆流性食道炎の可能性がありますので、病院を受診しましょう。
薬を飲んだ後にしゃっくりをする
新生児で薬を飲ませるような状況はなかなかありませんが、万が一、薬の内服後にしゃっくりをすることが続くようであれば、その薬の副作用もしくはアレルギーの可能性があります。かかりつけの病院に連絡しましょう。
しゃっくりに関わらず、いつもと様子が違うな、何かがおかしいな、と思ったら病院に相談しましょう。いつもそばで見ているママやパパの「何かがいつもと違う」感覚はとても大切です。何がどう違うのか観察できたことを医師に伝えましょう。
《まとめ》
新生児のしゃっくりは、元気であれば自然に止まるものなので、様子をみても大丈夫でしょう。しゃっくりが止まらないだけでなく、元気がなくぐったりしている、吐き続ける、顔色が悪いなどいつもと違う症状がある場合には病院を受診しましょう。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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