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2022.03.18

【助産師監修】正期産とはいつからいつまで?正産期や臨月との違い

妊娠・出産に関連する本やネット上の情報などを見たときに、「正期産」という言葉を目にしたことがある人がいるかもしれません。今回は「正期産」の意味や「正産期」と「臨月」の違い、正期産にあたる時期、この時期の赤ちゃんやママの状態、ママのマイナートラブルなどについて説明していきます。また正期産の時期における過ごし方や、お産が近づいた頃のママに起こる身体の変化についても解説していきますので、参考にしてみてくださいね。

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「正期産」とは?正産期や臨月とどう違う?

正期産とは

 

「正期産(せいきさん)」とは、医学用語で妊娠37週0日~41週6日までの期間の出産を指します。この時期になると、赤ちゃんの体の機能や皮下脂肪が十分に発達し、子宮の外の世界で生きていく準備ができていると言われています。

これに対して、妊娠22週0日〜妊娠36週6日までの期間に出産することを「早産」、妊娠42週0日以降の出産は「過期産」と定義されています。

 

正期産と正産期の違い

よく似た言葉ですが「正産期」とは医学用語ではなく、妊婦さんたちの間で使われている正期産から派生した俗語です。正産期に出産することが「正期産」となります。

 

また、正産期と混同しやすい用語の「臨月」も、医学用語ではなく俗語です。正産期が妊娠37週0日以降を示すのに対して、臨月は妊娠10ヶ月妊娠36週0日)以降のこと。赤ちゃんが外の環境に適応しやすい時期を指しています。

「臨月」はその言葉からもわかるように、月単位で定義しているため、正期産とは1週のズレがあるようです。つまり臨月の出産だとしても、妊娠36週0日~36週6日までの出産は、医学的には早産に定義されることになります。

 

 

正期産とはいつからいつまで?

「正期産」とは一般的に、赤ちゃんが生まれるのによいとされる妊娠37週0日~41週6日での出産を指します。正期産の期間に入ると、いつ陣痛が始まってもおかしくない状態といえるでしょう。

 

では正期産と早産・過期産とでは、どう違うのでしょうか。

早産の場合には、赤ちゃんの体の機能が未熟であることが多く、外の世界に適応しにくいことがあります。一方で、過期産になると胎盤の機能が低下し、胎児への栄養や酸素の供給が少なくなる可能性があります。そして、何らかの身体的トラブルが起こるリスクが上がります。

 

 

正期産の期間の赤ちゃんの状態

妊娠37週になると、体重が2,500gを超える赤ちゃんが増えてきます。皮膚や脳、肺など外の世界で生きていくために重要な機能は全て出来上がっており、いつ生まれてきてもよい状態になっています。

消化器官も出来上がっています。すでに赤ちゃんのお腹には胎便と呼ばれる便が作られていて、生まれてから排泄ができるようになっています。

 

しかし、赤ちゃんの成長には個人差も大きいです。低出生体重児として生まれてくる赤ちゃんがいたり、自発呼吸が難しく、生まれてすぐは酸素投与が必要な赤ちゃんもいます。

その場合には、赤ちゃんが外の世界に十分適応できるようになるまで、NICU(新生児集中治療室)などで様子を見ることもあります。

 

 

正期産の期間のママの状態とは

正期産のママ

 

次に、正期産の期間においてのママの状態と、マイナートラブルを紹介していきます。

 

吐き気が生じる

この正期産の時期の吐き気は、後期つわりとも呼ばれています。これは赤ちゃんが成長することで、胃が圧迫されやすくなって起こります。

また出産へ向けての準備として、エストロゲンやプロゲステロン、プロラクチンなどのホルモンが排出される影響もあり、吐き気が生じやすくなります。中には、出産への不安からのストレスや、寝不足が原因となることもあります。

 

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おりものの量が増える

出産が近づいてくると、おりものの量が増えてきます。これは子宮頚管の粘液を増やす働きをする、エストロゲンというホルモンの分泌量が増えるためです。この時期のおりものはホルモンの影響で、色が濃くなる・においが強くなる・粘り気がありドロッとしているなどの特徴があります。

このようにお産が近づいてくると、破水や出血などでおりものに変化が出てきます。状態を確認するようにしましょう。

 

もしもおりものが水っぽいときには、破水の可能性があります。さらさらとした量の多いおりものの場合には、かかりつけの産科医に連絡をしましょう。

また、おりものに茶色や赤の出血が混ざる場合があります。茶色いものは出血したあと時間が経過したものですので、少量であれば様子を見てかまわないでしょう。赤い出血の場合でも、ドロッとした少量のものであれば、おしるしの可能性が高いので様子を見ましょう。

もしさらさらとした鮮血が多量に出る場合には、胎盤に異常が生じている可能性があります。すぐにかかりつけの産科医に連絡してください。

 

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激しい胎動が続くこともある

出産時期が近づき、赤ちゃんの頭がママの骨盤に入って固定されてくると、胎動が少なくなると言われています。しかし実際には、出産直前まで激しく動いている赤ちゃんもいます。

この頃になると赤ちゃんの体は大きくなり、ママは膀胱や内臓を圧迫されて苦しく感じるかもしれません。そのようなときは、ママが楽な姿勢をとって苦しいと感じる部分をさするなど、リラックスして過ごしましょう。

 

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【医師】臨月に胎動は減る?激しい・少ない・痛い時の胎児の状態

 

むくみ

正期産の期間には、妊娠前よりも血液量が約40%増加すると言われています。さらに赤ちゃんの成長に伴い、大きくなった子宮が骨盤を圧迫し、下半身の血流が悪くなります。この時期のママはむくみやすい状態になります。

 

むくみがひどい人は、指輪が抜けにくくなったり、足が象のようにパンパンになってしまうこともあります。体調をみながら、マッサージやお風呂で体を温めたり、塩分を控えた食事をするなどして対処しましょう。

 

体重増加

この時期には、赤ちゃんが子宮の下の方に下がってくることで胃の圧迫が解除され、食欲が増す人もいます。出産へ向けて栄養補給は重要です。しかし食べすぎてしまうと、急激な体重増加や妊娠高血圧症候群のリスクも高まります。軽い散歩など適度な運動をしながら、体重管理しましょう。

 

 

お産が近づくと起きるママの身体の変化

それでは、お産が近づいてきたときには、ママの身体にどのような変化が起こるのでしょうか。

 

食欲が増す

正期産の期間のはじめには、赤ちゃんが大きくなることでママの胃が圧迫されています。しかし赤ちゃんが徐々に子宮の下に動いて出産への準備が進むと、胃への圧迫が解除されて食欲が増すことがあります。

 

お腹が張る

出産が近づくとお腹の張りが頻繁になってきます。これは前駆陣痛といって、多くは痛みを伴わずにギューっとお腹が硬くなる感覚のことです。出産へ向けての準備として子宮が収縮することで起こります。本格的な陣痛と違って不規則で、痛みの間隔が短くなっていくことはありません。

 

前駆陣痛は痛みの強さや間隔に個人差が大きく、中には本格的な陣痛と見分けがつかない場合もあります。お腹の張りとともに痛みを持続的に感じる場合や、赤ちゃんの胎動が極端に少ない場合、出血や破水があった場合には、かかりつけの産科医に連絡して受診すると安心です。

 

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強い吐き気

出産間近になると、陣痛を促すホルモンが排出されます。このホルモンが吐き気を誘発することがあり、吐き気とともに強い陣痛がでてくる人もいます。

 

おしるし

出産が近づくと、子宮の入り口が広がるにつれて、卵膜が子宮壁から剥がれて出血します。この出血が粘液とともに押し出されたものが、おしるし(産徴)と呼ばれているのです。おしるしはピンク色~茶色のものが、少量おりものにまざって出てきます。

おしるしが出たからといって、すぐに強い陣痛が始まるというわけではありません。ただおしるしが出るということは、出産への準備が進んでいるということです。

 

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正期産の期間の過ごし方・注意点とは

いつ赤ちゃんが生まれてもおかしくない、この正期産の時期。どのような過ごし方をしたらよいのでしょうか。おすすめの過ごし方・注意点について解説していきます。

 

入院準備をすませておく

いつお産が始まってもおかしくないので、いつでも入院できるように準備をしておきましょう。お腹が痛くても焦らずに入院できるように、持っていく荷物は玄関近くに置いておくと忘れずにすみますよ。

タクシーを利用する予定の人は、どこのタクシーを利用するのか、電話番号をメモや登録しておくとよいでしょう。陣痛タクシーや出産送迎タクシーなどのサービスが、地域によってはありますので、調べておくとよいですね。

その他にも、出産後に赤ちゃんと帰宅しても困ることがないように、準備しましょう。ベビー用品や生活環境を整えたり、出産後にどんな手続きが必要かをリストアップしておくのも大切です。

 

遠出しないようにする

急に陣痛や破水・出血が起こる可能性もあります。この時期には、自宅や産院から遠く離れた場所にはなるべく行かないようにしましょう。いつどこで何が起きてもいいように、外出時はできれば誰かに付き添ってもらえると安心です。

携帯電話や母子手帳、診察券、保険証、タクシーの利用に備えてある程度の現金を常に携帯しましょう。また、緊急時の連絡先がすぐにわかるようにまとめておきましょう。

 

 

《まとめ》

 

正期産の時期のママは、お産がいつ始まるのか、落ち着かない気持ちかもしれませんね。家族や周りの人から、いつ産まれるのか聞かれて焦ることもあるかもしれませんが、出産予定日を過ぎても、陣痛が来ないという人も沢山います。赤ちゃんを迎える準備が整ったら、ゆったりとした気持ちで陣痛を待つようにしましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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