臨月の胎動は個人差が大きい

臨月に入り、胎動が激しくなったと感じる妊婦さんや、逆に胎動が弱くなったと感じる妊婦さんもいて個人差があります。
胎動は妊婦さんによって感じ方が違う
胎動とは、お腹の中の赤ちゃんの動きを感じることです。赤ちゃんは妊娠初期から動いていますが、それを妊婦さんが感じるようになるのが妊娠18週頃です。経産婦さんはもっと早い時期、妊娠16週頃には胎動を感じ始める人も多いです。
また、妊婦さんの体型によっても胎動の感じ方は変わります。ふくよかな人よりは、痩せている人の方が胎動は感じやすいようです。
胎動が激しいのはリラックス時が多い
お風呂に入っているとき、夜寝ているときなど、妊婦さんがリラックスしていると子宮は柔らかくなります。子宮からの血流も胎盤に届きやすいため、赤ちゃんへの酸素や栄養も豊富になり、元気に動きます。胎動が激しくて眠れない妊婦さんは、仰向けよりも横を向いて寝ると少し和らぐかもしれません。
胎動が弱くなったと感じる原因
臨月になって今までよりも胎動が弱くなったと感じる原因のひとつは、赤ちゃんが成長して子宮の中のスペースが少なくなり、ダイナミックに動けなくなること。さらに、出産が近づくと赤ちゃんの頭が骨盤の中に入り込むことで固定され、動きが制限されるため胎動が弱くなったと感じることがあります。
とはいえ、まったく胎動がなくなるわけではありません。赤ちゃんは20〜30分の間隔で寝たり起きたりを繰り返しています。「そういえば、しばらく胎動を感じていない気がする」と思ったら、20〜30分以上安静にして胎動があるかどうか確認しましょう。
この時、左側を下にして横になると子宮への血流がアップし、赤ちゃんへ十分な栄養と酸素が届きやすくなります。それでも胎動が感じられない時は、かかりつけの病院に連絡をしましょう。
胎動が少なくなったら「出産の兆候」とは限らない
出産が近くなると胎動が少なくなることはありますが、必ずそうなるわけではありません。特に胎動の変化は感じられなかったというママもいます。胎動の感じ方は人によって違いがあり、胎動の変化も自分の感覚なので、必ずしも出産の兆候とは限りません。胎動が少なくなった、弱くなったから出産になる、と思い込まないようにしましょう。
出産の兆候はおしるし・前駆陣痛・陣痛・破水
胎動は赤ちゃんが元気かどうかを知るためのバロメーターのひとつであって、胎動の変化がお産の兆候とは限りません。お産の兆候と呼べるものは、おしるし、前駆陣痛、陣痛、破水です。
それぞれの特徴を理解して、出産施設への連絡のタイミングなど確認しておきましょう。
臨月の胎動で注意が必要なとき

出産前に胎動が弱くなったり少なくなることもありますが、「臨月だから」と思い込まないようにしましょう。前述したように、子宮のスペースが狭くなること、赤ちゃんの頭が固定されることで胎動が今までよりも弱くなること以外の原因があるかもしれません。考えられる原因として、常位胎盤早期剥離、胎児発育不全、子宮内胎児死亡などがあります。
急に赤ちゃんが動かなくなった、胎動が急激に減ったと感じた場合、逆に胎動が今までよりやけに激しくなって治まらない場合はかかりつけの病院へ連絡しましょう。超音波検査や、赤ちゃんに負担をかけずに心拍などを確認するノンストレステスト(NST)という検査をして、赤ちゃんが元気かどうかを確認します。
胎動カウントで赤ちゃんの様子を確認
胎動は感じ方が人それぞれのため、客観的に判断するのは難しいのが現状です。しかし妊婦さんが「胎動カウント」をすることで、赤ちゃんのいつもの様子を客観的に把握することができ、何か異常があった場合はすぐに気づくことができます。
胎動カウントは基本的には毎日できるとよいですが、妊婦さんの都合によっては2〜3日に1回など調整をしてもよいでしょう。大切なのは出産までコツコツと続けることです。
胎動カウントの方法
胎動カウントをするために、1日のうちで30分〜1時間くらい安静にする時間を確保しましょう。
1. 横になって安静にする
2. 胎動を10回感じるまでの時間を測る
もぞもぞもぞ、というように連続した動きは1回とカウントします。むにょ、ぽこ、ぴく、ぼん、など色々な感じ方がありますが、妊婦さんが胎動だと感じたらそれはカウントしてかまいません。
臨月の場合、10回感じるまで15〜30分くらいかかるのが平均ですが、他の人と比べて時間が長い・短いではなく、いつもと比べてどうなのかで判断します。また安静に、リラックスして1時間以上経っても、1回も胎動を感じられない場合はかかりつけの産院に連絡しましょう。
《まとめ》
出産が近づき、赤ちゃんの頭が骨盤に固定されると胎動が弱くなったと感じる場合があります。しかし胎動が弱くなる原因として、赤ちゃんが苦しい状態にあることも考えられるため、胎動が弱まったからといって出産が近い、と思い込むのは危険です。急に胎動が感じられなくなった、明らかに弱まった、という時にはすぐにかかりつけの産院に連絡をしましょう。
※写真提供:PIXTA
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監修者
山田 勢 先生
医療法人尚生会 やまだ産婦人科
産婦人科医師
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