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2022.11.10
妊娠検査薬はいつから陽性反応が出る?使い方と受診タイミング
「妊娠したかも」と思ったら、多くの人はまず妊娠検査薬を使用するでしょう。妊娠検査薬とは、妊娠によって分泌されるホルモンを尿中から検出し、妊娠を確認するものです。ここでは妊娠検査薬について、知識を深めていきましょう。正しい使い方、陽性反応が出た時の産婦人科受診のタイミングなど、助産師が解説していきます。
目次
【妊娠検査薬】いつから陽性反応が出るの?
妊娠検査薬とは、どのような構造なのでしょうか。
ヒトは受精して子宮内膜に着床すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナトロピン)というホルモンが分泌され始めます。このhCGは妊娠を維持するための、とても重要なホルモン。血液中をめぐり、やがて尿中に排出されていきます。この仕組みを利用したのが妊娠検査薬で、尿中に排出されたhCGの量によって反応し、妊娠の有無を確認できます。
正しい使用で!妊娠検査薬の精度は約99%
正しく使用すると、妊娠検査薬の精度(確率)は約99%と言われています。
しかしこれはあくまでも、「妊娠している」ことがわかるだけです。それが正常妊娠か、異常妊娠なのかは産婦人科を受診しないとわかりません。医師による超音波検査で、正常妊娠か否かを判断できます。
妊娠検査薬は正しい時期に使用するべき
妊娠検査薬は、正しい時期に使用するのが重要です。hCGが尿中に排出されるのは、妊娠3週5日目からで、おおよそ生理予定日の2日前になります。その後は次第にhCG量が増えていき、妊娠検査薬がしっかり反応するのは生理予定日1週間後、つまり妊娠5週目です。
それ以前に使用すると、陽性のラインが出ない、あるいは薄くなる可能性があります。正しい時期に使用してください。
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【妊娠検査薬で陽性反応】いつ病院へ行く?
正しい時期に妊娠検査薬を使用して陽性判定が出た場合、できればすぐに産婦人科を受診しましょう。妊娠5週目の終わりから、妊娠6週目の始まりまでを目安にしてください。
受診のタイミングが早すぎると、まだ胎嚢が確認できないケースがあります。また遅すぎると、正常な妊娠ではなかった場合の対応が遅れてしまい、危険な状態に陥ることがあります。
そして中には、妊娠検査薬で陽性反応が出たのにも関わらず、産婦人科では陰性となることもあります。考えられる理由としてはいくつかあります。
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妊娠検査薬で「陽性後に陰性」となる理由1. 化学流産
陰性となる理由の一つは、化学流産です。
これは受精・着床してhCGが分泌され始めた後、何らかの理由で妊娠継続できず、妊娠超初期に流産すること。産婦人科の妊娠検査薬で陰性反応、そして超音波検査で胎嚢確認ができない場合、化学流産の可能性が高くなります。
妊娠検査薬の感度が上がったことで、早期から妊娠がわかるケースが増えています。以前なら妊娠に気づかず、生理だと思っていた出血が、実は化学流産によるものだと認識しやすくなったといえます。
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妊娠検査薬で「陽性後に陰性」となる理由2. 検査薬の感度
妊娠検査薬の感度の違いも、理由の一つでしょう。
一般の妊娠検査薬は、hCGの量が50mIU/mlで反応します。医療機関での妊娠判定で使用する検査薬も、同量で反応するものが多いです。
ただし生理予定日から使用できる「早期妊娠検査薬」を使用した場合、hCGの量が25mIU/lで反応します。そのため産婦人科での検査では、hCG量がまだ少なすぎて反応しないこともあります。
そうなると結果に驚く人もいますが、再度受診して陽性になる可能性があります。受診するタイミングが早すぎると、検査は陰性で、胎嚢も確認できず不安になるかもしれません。前述したとおり、妊娠5週目から6週目の始まりまでの期間で受診をおすすめします。
妊娠検査薬で「陽性後に陰性」となる理由3. その他
その他、妊娠以外の理由も考えられます。例えば、
・子宮外妊娠
・検査薬に尿をかけすぎ
・糖尿病
・hCG産生由来の腫瘍
・胎盤を原料とした漢方の服用
・不妊治療でhCG注射をしている
などの場合は、妊娠検査薬で偽陽性を示すことも。その後の産婦人科での正確な検査では、陰性反応となることもあるのです。
このように、妊娠検査薬はあくまでも「妊娠の可能性がある」という目安に過ぎません。子宮内妊娠か子宮外妊娠か、もしくはそれ以外なのか、正確な妊娠判定は医師による検査が必要だと覚えておきましょう。
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【妊娠検査薬】正しい使い方
妊娠検査薬は正しく使用することで、ほぼ正確な結果を知ることができます。以下に正しい妊娠検査薬の使い方を解説していきます。
1.妊娠検査薬に尿をかける
検査薬の採尿部分に尿をかけます。尿をかける時間は、おおよそ3~5秒程度。ただし検査薬によって異なるので、必ず取り扱い説明書を確認してください。多くても少なくても正確な判定ができないことがあります。
2.判定を待つ
尿をかけ終わったら、検査薬を必ず水平にして結果を待ちます。斜めにすると正しい結果が得られない時がありますので、必ず平らなところにおいて判定を待ちましょう。
3.判定結果を確認する
判定終了のサインが出たら、結果を確認します。陽性・陰性のサインは検査薬によって異なりますが、一般的には陽性の場合、判定窓に線が出ます。陰性であれば反応がないということ。結果まで数分を要するケースがほとんどです。必ず検査薬の使用方法を確認しましょう。
妊娠検査薬のポイント
妊娠検査薬の使用ポイントは、以下が挙げられます。
・朝起きてすぐ検査する
朝一番の尿は濃度が高く、必然的にhCGの値も高くなります。検査を行う際は、朝一番の尿がおすすめです。
・採尿したらすぐに検査する
採尿した場合は、すぐに使用しないと雑菌が繁殖してしまい、正確な判定ができなくなります。
・妊娠検査薬は正しく保管する
極端に気温が高い・低いところは避け、直射日光の当たらない場所で保管しましょう。使用期限が切れたものは、正確な判定ができない可能性がありますので、使用をやめましょう。
・使用時期を早めない
妊娠検査薬の使用時期を早めて検査することを、フライング検査と呼んでいます。hCGの分泌量が規定に達しておらず、妊娠しているものの陰性反応になったり、薄い線が出ることがあります。
またフライング検査によって不安が大きくなったり、本来知らなかったはずの流産(化学流産)が発覚して、気持ちが不安定になるかもしれません。正確な情報を知るために、必ず使用時期は守るようにしましょう。
【妊娠検査薬で陽性!】その後に出血が起こる原因
妊娠検査薬で陽性と判定された後で出血をした場合、それが妊娠によるものなのか、生理なのか判断しづらいことがあります。
出血の原因1. 化学流産の可能性
「化学流産」とは受精したものの、着床が続かなかったことを指します。この場合、超音波検査では胎嚢が確認されません。つまり妊娠が確認される前(妊娠5週まで)に、流産してしまった状態です。
検査薬によっては感度が上がり、より早期に妊娠判定が可能になりました。以前は妊娠にも流産にも気づかず、少し生理が遅れただけと思っていたケースもあるでしょう。それが早くに陽性判定することで、流産を自覚するようになったのです。
化学流産だと一度は陽性反応を示すものの、その後出血し、判定線が薄くなって次第に陰性となります。一般的に出血量は通常の生理より多く、下腹部痛が現れることが多いです。
妊娠の場合は、基礎体温が高温期に入り3週間以上続きます。一方で化学流産すると、基礎体温が一気に低温相に下がってしまいます。この時に生理様の出血を伴うこともあるでしょう。残念ながら化学流産は、流産としてカウントされません。手術は特に必要ないので、自然と止血するのを待ちましょう。
出血の原因2. 胎盤ができる過程
妊娠初期の出血は、全妊娠の約30%に起こる可能性があります。受精卵が子宮の中に着床する時に起こる着床出血は、すべての妊娠の8~25%にみられます。出血量は少なく、2~3日で治まります。
受精卵が子宮内膜に着床した時、血管が傷つけられ、子宮を包む絨毛膜と子宮内膜の間で出血することがあります。その際にできた血の塊が絨毛膜下血種です。妊娠初期~中期に超音波検査で発見されます。少量の出血ならば子宮内で吸収されますが、量が多いと膣外に漏れ出てくることがあります。大量の出血でも4~7日ほどで止まるでしょう。血腫が吸収され、感染を起こさなければ悪影響はありませんが、出血の量によっては安静を指示されることもあります。
出血の原因3. 切迫流産・早期流産
「切迫流産」とは胎児が子宮内にあって、流産へ進行する可能性のある出血などが伴う状態を指します。少量の出血が断続的にみられるのが特徴です。出血が少量で強い腹痛がなく、超音波検査で胎児の心拍が確認されれば、妊娠を継続できます。特別な治療法はなく、安静に過ごしながら経過観察をすることが多いでしょう。
「早期流産」は、妊娠12週未満に妊娠が継続できなくなることをいい、流産全体の80%を占めます。出血量が多く下腹部痛があれば、すぐに受診しましょう。
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出血の原因4. 異常妊娠
妊娠検査薬で陽性を示しても、正常妊娠とは限りません。子宮外妊娠(異所性妊娠)や胞状奇胎など、緊急性の高いものもあります。
陽性確認後の出血量が多いと、原因がわかりづらいことがあります。すぐに受診し、かかりつけの産科医の指示を仰ぐようにしてください。
《まとめ》
妊娠検査薬は一般的に、生理予定日1週間後から使用可能です。それ以前の使用は、種類によっては正しく判定されない可能性があります。また本来知る必要のなかった、化学流産を認識してしまうことも。使用方法はしっかりと確認し、正しい時期に検査をしましょう。そして受診するタイミングは、妊娠5週目の終わりから6週目の始まりがおすすめです。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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