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2023.03.06
妊娠線予防はいつから?できやすい人の特徴【助産師おすすめ】ケア
妊娠するとママのお腹は、赤ちゃんの成長とともに大きくなります。そして皮膚が引き延ばされ、妊娠線ができやすい状態に。一度あらわれた妊娠線は消えないため、できるだけ作りたくないですよね。今回は妊娠線について、詳しく学んでいきましょう。妊娠線ができやすい人の特徴から、予防法、もし妊娠線ができてしまった時のケア方法まで、助産師が詳しく解説します。
目次
【妊娠線とは】なぜできる?2つの原因
妊娠中にお腹が大きくなるにつれて、下腹部に紫色もしくは赤褐色のスイカのようなひび割れができることがあります。これを「妊娠線」と言います。
妊娠線ができる原因は2つあります。
1つ目は妊娠の継続による、様々な身体の変化です。妊娠すると皮下脂肪が増加し、胎児の成長とともに子宮が大きくなっていきます。その結果、皮下脂肪と皮膚の表面の間の「真皮層」が引き延ばされ、切れることで妊娠線としてあらわれるのです。
2つ目は、妊娠に伴うホルモンの変動です。妊娠すると、ステロイドホルモンの分泌が増加。ステロイドホルモンは、肌の艶を保つために必要なコラーゲンの分泌低下、新陳代謝によって行われるターンオーバーを抑制する特徴があります。そして皮膚の断裂を起こしやすくなります。
またコラーゲンは、肌の弾力を保つ真皮に多く存在する物質です。コラーゲンの分泌低下も、真皮層を弱くしていると考えられます。
妊娠線はいつからできる?正中線との違い
妊娠線は、お腹が目立ち始める妊娠8ヶ月からでき始めます。一度できた妊娠線は、次第に目立たなくはなるものの、消えることはありません。妊娠5ヶ月~6ヶ月頃から、予防ケアを開始しましょう。
また、妊娠線と似たものに「正中線」があります。
正中線とはお臍から下の方へ伸びている1本の線のことで、約7割の人に見られます。これは妊娠線と違い生まれつきあるものですが、普通では目立ちません。しかし妊娠によって皮膚が引き延ばされると、さらに黒っぽく見えていきます。ただし出産後は次第に目立たなくなるので、あまり神経質になる必要はないでしょう。
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【妊娠線ができやすい人の特徴】
妊娠した誰もが妊娠線ができるわけではありません。妊娠線ができやすい人の特徴や、できやすい場所を紹介していきます。
妊娠線ができやすい人!6つの特徴
妊娠線ができやすい人の特徴はこの通りです。
・乾燥肌の人
・多胎妊娠の人
・経産婦の人
・やせ型の人
・急激に体重増加した人
・高齢出産の人
それぞれ詳しく解説していきます。
妊娠線ができやすい特徴(1) 乾燥肌の人
乾燥肌の人は、皮膚の柔軟性が低下しています。皮膚がうまく伸びることができずに、肉割れを起こしてしまいます。
妊娠線ができやすい特徴(2) 多胎妊娠の人
単胎妊娠よりも多胎妊娠の方が、皮膚が引き延ばされるため、妊娠線ができやすい状態となってしまいます。
妊娠線ができやすい特徴(3) 経産婦の人
過去に出産を経験していると、皮膚が引き延ばされ、早くお腹が大きくなりやすいです。その結果、妊娠線ができやすくなります。
妊娠線ができやすい特徴(4) やせ型の人
やせ型もしくは小柄な人は妊娠すると、もともと小さい表面積が大きく引き延ばされ、妊娠線ができやすいといわれています。
妊娠線ができやすい特徴(5) 急激に体重増加した人
食べづわり、食欲増加などで急激に体重が増えると、早い時期から妊娠線ができやすくなってしまいます。
妊娠線ができやすい特徴(6) 高齢出産の人
加齢に伴い、皮膚の柔軟性は失われてしまいます。真皮が表皮の伸びについていけずに、妊娠線ができやすくなります。
妊娠線ができやすい場所
「妊娠線はお腹にできるもの」とイメージする人が多いでしょう。しかし妊娠線はお腹以外にも、できやすい場所があります。
それは妊娠すると脂肪がつきやすい場所、つまり胸やお尻周り、太もも、二の腕、背中、わきの下など多岐にわたります。特に胸やお尻まわり、太ももなどはできやすいので、注意が必要です。
妊娠線はただの肉割れなので、痛みは全くありません。そのため「注意していたのに!気づかないうちにできてしまった」ということも。妊娠線ができやすい場所を把握し、重点的にケアするとよいですね。
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【妊娠線の予防】いつから始める?
妊娠線を予防するためには、いつから何をすればいいのでしょうか。具体的な予防法を紹介します。
妊娠線の予防は初期から
妊娠線ができやすい時期は、妊娠8ヶ月~9ヶ月頃です。ただし中には安定期に入る頃にできる人もいて、個人差があります。もちろん妊娠線ができない人もいるため、いつでき始めるかの予測は難しいでしょう。
妊娠初期から妊娠線ができるケースは少ないですが、肌の保湿と柔軟性を保つために、妊娠初期からの妊娠線予防をおすすめします。
妊娠線予防はこまめに保湿を
妊娠線を防ぐために重要なのは、しっかりとした保湿と乾燥の予防です。
季節の変わり目などで、お腹や足がかゆくなることがあるでしょう。皮膚のかゆみは、乾燥のサインです。こまめに保湿をして、しっかりと乾燥を防ぐようにしましょう。
「保湿」以外にできる妊娠線予防
保湿以外にも妊娠線の予防方法はあります。
・皮膚を作る栄養を摂取する(たんぱく質・ビタミン・ミネラルなど)
・入浴
・適度な運動(お腹や体に負担がかからないもの)
が効果的とされています。
皮膚を作る栄養を補給することで、皮膚をしなやかにし、妊娠線を予防していきます。また入浴や適度な運動は、血流、発汗を促して細胞の生まれ変わりを促進します。そして新しい細胞を積極的に増やし、妊娠線の予防につながります。
妊娠線予防におすすめ!保湿剤の種類
妊娠線予防にはどのような保湿剤がいいのか、迷うこともあるでしょう。一般的にはクリームかオイル、ローションがよいとされています。それぞれの特徴を知り、自分に合うものを選んでみてください。
1. オイル
オイルはかなり保湿力が高いです。保湿効果を期待するなら、オイルがおすすめです。エモリエント効果といって、肌から水分が蒸発するのを防いでくれる効果があります。少量でも伸びがよく、広い範囲まで保湿できるため、乾燥肌の人にはぴったりです。
ただしオイルは少しべたつくので、好みがあるかもしれません。洋服につくと取れなくなってしまうので、注意が必要です。
2. クリーム
クリームにも触り心地がさらっとしたものから、どろっと粘稠性のあるものまで多くの商品が販売されています。エモリエント効果ももちろんありますが、基本的には肌に水分を与えるものと考えましょう。粘稠性が強いほうが保湿力は高いです。
3. ローション
ローションはサラサラして、肌へのつけ心地がとても良いのが特徴。べたつかず、夏の暑い時期には大活躍でしょう。妊娠線予防というよりも、乾燥肌の改善という点で、べたつかずにおすすめです。
悩み別!保湿剤の選び方
保湿剤には様々な種類がありますが、どのように選べばいいのでしょうか。選ぶ要素には、「保湿力」「無添加・無香料」「肌へのやさしさ」「コスパ」などが挙げられます。自分が何を重視するかも重要です。
【保湿力で選ぶ】
保湿力で選ぶなら、断然オイルです。オイルにも様々な種類があり、肌になじみやすいものとして、以下が挙げられます。
・ホホバオイル
・スクワラン
・ローズヒップオイル
・アルガンオイル
ホホバオイルとスクワランは、べたつきが少ないのが特徴。ローズヒップオイルとアルガンオイルはビタミンが豊富で、美容効果が期待できます。好みによって使い分けましょう。
【肌の負担にならないもので選ぶ】
生まれてくる赤ちゃんにも使いたい場合、無添加・無香料・パラベンフリーを使用するとよいでしょう。妊娠中は匂いに敏感で、妊娠前に好みだった匂いも変化することがあります。敏感肌の人は、アレルギーテスト済のものを購入しましょう。
【コスパで選ぶ】
毎日お肌に塗るものなので、高価だと長続きしません。「高価すぎて少ししか使えない」と量を制限してしまうと、本末転倒です。コスパがいいのものをたっぷり使いましょう。継続して購入することを考えて、必ず費用の確認をしましょう。
妊娠線ができてしまった!消す方法はある?
毎日気を付けてケアしていても、もし妊娠線ができてしまった時、消す方法はあるのでしょうか。
実は、一度できた妊娠線を消す方法は現在、レーザー治療のみです。産後ある程度は薄くなりますが、どうしても気になって仕方ない人は、美容皮膚科でレーザー治療を受けてみてもいいかもしれません。ただし、かなり高額であることは否めませんので、すべての人におすすめすることは難しいでしょう。
《まとめ》
妊娠線とは一度できてしまうと、産後に薄くはなるものの、完全に消えることはありません。できれば妊娠初期からケアを始め、気を付けて予防しましょう。特に経産婦さんや多胎妊娠、急激に体重が増加した妊婦さんは妊娠線ができやすいので、注意が必要です。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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