妊娠中にできる「正中線」とは？【助産師】妊娠線との違い＆ケア方法┃まなべび

妊娠中にできる「正中線」とは？【助産師】妊娠線との違い＆ケア方法

妊娠がわかると喜びをかみしめる反面、身体の変化に戸惑うこともあるでしょう。お腹にできる線「正中線」もそのひとつ。だんだん濃くなる正中線を見て、「一生消えないのかな…」と不安になるかもしれません。ここでは正中線とは何かを知り、妊娠線との違い、ケア方法について学んでいきましょう。

お腹にできる「正中線」とは？妊娠線との違い

正中線とは

妊娠中のお腹にできる「正中線」とはどのようなものでしょうか。「妊娠線」との違いも合わせて紹介します。

実は「正中線」とは、生まれつきあるもので、お腹から伸びる縦の線を指します。

これは男女ともにあり普段は薄く目立ちませんが、妊娠した女性はホルモンの変化により、メラニン色素が増えてこの正中線が濃くなります。さらにお腹が大きくなると皮膚が引き延ばされて、一時的に目立つようになります。妊娠中は目立ちますが、出産してホルモンバランスが落ち着くと、次第に元の薄さに戻っていきます。

正中線と似たものに「妊娠線」がありますが、これらは全く別物です。妊娠線はストレッチマークともいわれ、急激に皮膚がのびることで起こる肉割れ線を指します。

お腹が大きくなり始める妊娠5ヶ月～6ヶ月頃から、お腹、お尻、胸、太ももや二の腕などに見られます。出現し始めた頃はピンク色や赤紫ですが、次第に白っぽい艶のある色に変化し、時に痒みや痛みを伴うこともあります。

お腹の正中線が縦であるのに対し、妊娠線は縦だけでなく横や斜めにもできることがあります。妊娠線は産後には少し目立たなくなりますが、完全に消えることはありません。急激な体重や脂肪の増加、皮膚の乾燥、体質などによって個人差があります。

妊娠するとお腹が大きくなりますが、赤ちゃんの体勢や位置なども関係し、皮膚のすべてが均等には広がりません。そのため正中線は、曲がって見えることもあります。正中線が右や左にずれて見えるのは自然なことで、何ら問題はありません。

前述したように、正中線とは生まれつきあるもので、非妊娠時は薄くほとんど目立ちません。しかし妊娠するとだんだん濃くなり、お腹が大きくなる妊娠5ヶ月～6ヶ月から目立ち始めます。中には、妊娠初期から濃くなるママもいるようです。

正中線が濃くなる原因のひとつとして、エストロゲン・プロゲステロンなど女性ホルモンの変化があります。このホルモンは妊娠を維持するためにとても重要ですが、色素沈着作用もあるため正中線が濃くなります。

産後はこれらのホルモンバランスが整ってくれば、正中線は薄くなります。その期間には個人差がありますが、おおよそ産後6ヶ月から1年ほどかかるといわれています。

正中線のケア

妊娠して濃くなる正中線は、どのようにケアすればいいのでしょうか。「これ以上濃くなってほしくない！」と思う妊婦さんに、正中線のケア方法を紹介します。

水分と油分を適度に肌に補い、皮膚の弾力を保ちましょう。妊娠初期から保湿クリームでお腹の保湿を行い、皮膚の乾燥を予防しましょう。

乾燥による痒みがある場合、妊娠線ができる可能性も考えられるため、痒みのある部分を重点的に丁寧に保湿しましょう。入浴後や朝など時間を決めて、保湿クリームを塗る習慣をつけるといいですね。

ビタミンCには、メラミン生成を抑制する働きがあります。またビタミンCは葉酸、鉄、カルシウムの吸収を助ける働きもあるので、ぜひ意識して摂りましょう。ただし果物には糖分が多く含まれているため、大量に食べることはおすすめできません。

ビタミンCがたくさん入ったサプリメントもあるので、容量・用法をしっかり守って摂取しましょう。

正中線はお腹の皮膚が引き延ばされて、目立ちやすくなります。緩やかな体重増加を目指しましょう。妊娠線の予防にもつながり、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など妊娠中のトラブルも防ぐことができます。

妊娠中の体重管理は、個人の状況により異なります。かかりつけ医や助産師の指導のもと、しっかり管理しましょう。

正中線はメラニン色素のトラブルなので、完全に取り除くのは難しいです。しかし新陳代謝を促すことでメラニン色素を薄くし、正中線を目立たなくすることは可能。

新陳代謝を促すためには、規則正しい生活を心がけるのが大切です。妊娠中はお腹も大きく寝苦しいかもしれませんが、抱き枕や体勢の工夫により、質の良い睡眠を取りましょう。

適度な運動は、急激な体重増加を抑え、新陳代謝も促進します。妊娠の経過に異常がないか主治医に確認してから、運動するようにしましょう。

出産後1年が経過しても正中線が気になる場合は、産婦人科医師・皮膚科医師に相談するのもよいでしょう。高額でかつ数回通う必要がありますが、レーザー治療という選択肢もあります。どうしても気になる人は一度、美容皮膚科に相談してみるといいでしょう。

《まとめ》

正中線は、妊娠初期からの保湿や規則正しい生活、食事への注意で最小限にすることができます。妊娠線とは違い、産後にホルモンバランスが整えば、元の薄さに戻っていきます。あまり焦らずに、無理のない範囲で自分に合ったケアを続けていきましょう。

※写真提供：PIXTA