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2023.02.03
妊婦が胃腸炎になったら!【医師】下痢・嘔吐しても赤ちゃんは大丈夫?
胃腸炎にかかると嘔吐や下痢が続き、脱水症状になることもあり、本当に辛いですよね。妊娠中の胃腸炎は、「赤ちゃんにも影響があるのでは?」と心配するママも多いでしょう。ここでは妊婦さんの胃腸炎について学んでいきましょう。胃腸炎の症状や胎児への影響のほか、正しい対処、やっておきたい予防法も解説します。
目次
胃腸炎とはどんな症状?原因は?
胃腸炎とは、胃や大腸、小腸などの消化器系に炎症を起こした状態のこと。ストレス性と感染性に分類されます。
1. ストレス性胃腸炎とは
「ストレス性胃腸炎」では、過度な不安や緊張によりストレスを受けて自律神経が乱れ、胃腸の働きが低下します。そして胃痛、腹痛、嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。
特に妊婦さんの場合は、妊娠中の体のみならず生活環境に様々な変化が生じます。その急激な変化に適応できずにストレスを抱え、一般的な胃腸炎に似た症状が出ることがあります。
2. 感染性胃腸炎とは
「感染性胃腸炎」はさらに、ウイルス性と細菌性に分類されます。
「ウイルス性胃腸炎」は嘔吐下痢症とも呼ばれ、ウイルスが胃腸に侵入し、急に嘔吐や下痢などの症状が現れます。ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどは乳幼児に多く見られ、秋から冬にかけて流行します。
「細菌性胃腸炎」は、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌感染によって起こり、夏季に流行しやすいです。卵、鶏肉、豚肉などをよく加熱せずに食べたり、気温によって腐ったものを口に入れたりすると生じます。
胃腸炎の症状(嘔吐、吐き気、下痢、腹痛、発熱)
胃腸炎の代表的な症状としては、嘔吐、吐き気、下痢、腹痛、発熱があります。感染性の場合は、血便が出現することも。食べ物や水分すら受け付けない時は、脱水症状を引き起こす可能性もあるので、特に妊婦さんは注意が必要です。感染すると24~48時間で症状が出現し、3~7日程度で改善します。
胃腸炎とつわりの症状の違い
胃腸炎とつわりの違いは、症状の現れ方にあるでしょう。胃腸炎は嘔吐と下痢が急激に出現し、症状が持続します。つわりは軽い時もあればひどい時もあり、症状の出方は緩慢です。もしいつものつわりと違って急激な症状が出現したら、胃腸炎を疑いましょう。
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妊婦の胃腸炎は胎児に影響するの?
胃腸炎の症状は、急激に出現してしばらく持続します。妊婦さんは赤ちゃんへの影響が非常に気になりますね。ここでは、胃腸炎がお腹の赤ちゃんに与える影響と、注意すべき症状を紹介していきます。
妊婦の胃腸炎が胎児に与える影響
妊婦さんの胃腸炎自体が、赤ちゃんに直接影響を及ぼすことはありません。しかし胃腸炎による嘔吐や下痢が激しく、水分・食べ物を何も受け付けない場合、妊婦さんは脱水症状を引き起こすことがあります。するとママ自身や赤ちゃんに、影響を及ぼす可能性があるでしょう。
脱水症状になると循環血液量が減り、赤ちゃんに必要な酸素や栄養素を届けられなくなってしまいます。また下痢や腹痛が続くと、子宮収縮を促してしまい、気づかないうちに早産傾向に陥るケースも。もとから切迫早産の傾向がある妊婦さんでは、胃腸炎を引き起こすと、腹痛だと思っていたら子宮収縮だったという事態もあり得ます。
妊娠中に胃腸炎に感染したかもと思ったら、症状の出方に注意してください。
妊婦の胃腸炎で注意すべき症状!
妊婦さんがもし胃腸炎にかかったら、以下の症状に注意しましょう。
■注意すべき症状1. 下痢や嘔吐が何日も続く
妊娠中はそもそもホルモンバランスの影響により、吐き気をもよおしやすく、下痢になりやすい状態です。しかし胃腸炎による下痢や嘔吐は、急激に発症し症状が強いのが特徴。
胃腸炎のような症状が何日も続くと、脱水症状を引き起こし、母体や胎児への影響も考えられます。症状が治まらない場合は、病院を受診しましょう。
■注意すべき症状2. 血便が出る
血便が出るのは、消化器系の炎症が強いということ。ただ下痢をしすぎて肛門が切れ、出血を起こしている時は問題ありません。おしりを拭いた時にきれいな鮮血が付くようであれば、肛門からの出血とみてよいでしょう。
もし消化器系の異常であれば、すぐに受診が必要となります。出血時に肛門に傷がなければ、すぐにかかりつけの産科医を受診しましょう。
■注意すべき症状3. 強い腹痛がある
胃腸炎の症状のひとつに腹痛があります。妊娠していなければ胃腸炎による症状と断定できるかもしれませんが、妊娠中は強い子宮収縮が痛みとなって出現している可能性もあります。安易に自己判断せず、かかりつけの産科を受診しましょう。
妊婦は知っておきたい!胃腸炎の予防法
妊娠中は特に、胃腸炎にはかからないように予防したいもの。そしてもしかかってしまった場合は、どのように対処すればいいでしょうか。
妊婦が胃腸炎を予防する5つのポイント
妊娠中は胃腸炎の感染を予防するため、以下のような対策をしましょう。
■胃腸炎の予防法1. 手洗いをこまめにする
感染性胃腸炎を予防するため、手洗いは基本中の基本です。外出先から戻った時、食事の前後、トイレの後は必ず手を洗うように心がけましょう。ただ水で洗うのではなく、石鹸と流水で、手のひら・指の腹・手の甲・手首をしっかりと洗いましょう。
30秒以上洗うと効果的です。その後は手を拭いて乾燥させ、アルコール消毒をするとより効果的でしょう。
■胃腸炎の予防法2. 汚物は適切に処理
感染性胃腸炎は、嘔吐物や糞便などの汚物から感染することがあります。特に小さな子どもがいると、保育園などの集団生活でウイルスや細菌をもらってきて、そこからママが感染するケースも考えられます。
マスクや使い捨ての手袋・エプロンを着用し、ウイルスが散らばらないように意識して処理しましょう。飛び散らないようにペーパータオルで拭き取った後は、必ず次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。使用済みのものは密封して破棄してください。
■胃腸炎の予防法3. 食品はしっかりと加熱する
妊娠中には生ものを食べる事に対し、注意が必要です。加熱すべき食品は中までしっかり火を通しましょう。古いものをじっくりと加熱して食べるのではなく、できるだけ新鮮なものを食べるように、注意して選びましょう。
■胃腸炎の予防法4. ストレスと上手く付き合う
環境の変化によっては、ストレスが強くかかることもあります。趣味やリフレッシュの時間を見つけて、ストレスと上手に付き合っていきましょう。
■胃腸炎の予防法5. 身体を冷やさない
身体を冷やすと、下痢の症状が悪化する可能性があります。温かいものを飲んだり、湯船につかったりして、身体を冷やさないように工夫しましょう。
妊娠中に胃腸炎にかかったらどう対処する?
もし胃腸炎にかかってしまったら、市販の下痢止めを使うこともあるかもしれません。下痢止めがお腹の赤ちゃんに大きく影響することはあまりありませんが、できればかかりつけ医に相談して、整腸剤を処方してもらいましょう。
整腸剤には、ビフィズス菌などの成分が入っています。下痢を止めるのではなく、お腹の調子を整えてくれます。妊娠中は内科に行くよりも、かかりつけの産科医を受診して相談した方がよいでしょう。
《まとめ》
日頃から胃腸炎にかからないように、手洗いなどの予防策は取っておきましょう。感染性胃腸炎は発症が急激なうえに、しばらく症状が続きます。赤ちゃんに影響がないか心配になるかもしれません。嘔吐や下痢が続くと、脱水症状を引き起こすこともあります。自己判断で下痢止めなどの薬を飲むのではなく、まずはかかりつけの産科医への相談をおすすめします。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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