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2022.07.04
【助産師解説】妊娠初期の下痢・腹痛の原因!流産の可能性はある?
妊娠初期は妊婦健診の間隔があいているため、お腹の赤ちゃんの様子がわからず、不安なママもいるでしょう。妊娠初期の症状に「つわり」はよく聞きますが、実は「下痢」の症状が続く妊婦さんも多いです。下痢の症状が赤ちゃんへ影響しないか、気になりますよね。ここでは妊娠初期に下痢が続く原因と、その対処方法を解説します。
目次
- 妊娠初期に下痢や腹痛が続く原因とは?
- ・妊娠初期の下痢の原因1. ホルモンの影響
- ・妊娠初期の下痢の原因2. 食事の影響
- 妊娠初期に下痢!赤ちゃんへの影響「早産・流産」の可能性は?
- ・下痢が原因で「流産・早産」にならない
- ・下痢とともに継続的な腹痛・出血があれば受診
- 妊娠初期の下痢で受診すべき症状とは
- ・1. 下痢とともに嘔吐がある
- ・2. 下痢とともに発熱などの症状がある
- ・3. 下痢とともに出血がある
- ・4. 下痢とともに強い腹痛がある
- 妊娠初期からの下痢・腹痛の対処法
- ・下痢・腹痛のときは「温かいものを食べる」
- ・下痢・腹痛のときは「無理に食事しない」
- ・下痢・腹痛のときは「安静に」
- 妊娠中の下痢・腹痛に薬を飲んでも良い?
- ・薬の服用はかかりつけ医に確認
妊娠初期に下痢や腹痛が続く原因とは?
妊娠初期に下痢が続く原因には、主に2つが考えられます。
妊娠初期の下痢の原因1. ホルモンの影響
妊娠すると、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」と「卵胞ホルモン(エストロゲン)」の2種類が大量に分泌されます。
黄体ホルモンは腸の動きを鈍くさせるため、自律神経のバランスが変化し、下痢になるママがいます。妊婦さん全てが下痢になるわけではなく、便秘になる人もいれば下痢になる人もいます。また便秘と下痢を繰り返すという人も。つわりにも様々な症状があるように、排泄にもホルモンバランスが関わり、様々な症状がみられます。
妊娠初期の下痢の原因2. 食事の影響
妊娠初期はつわりがある場合が多く、妊娠前と比べてバランスの良い食事を摂りにくくなります。
特につわりの時期は比較的、固形物よりも水分が受け入れやすく、冷たいものや簡単に食べられるものを好む人が多いもの。どうしても体が冷えやすいです。その結果、下痢になってしまう妊婦さんもいます。
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妊娠初期に下痢!赤ちゃんへの影響「早産・流産」の可能性は?
下痢の原因がわかっていても、あまりに下痢が続く場合は、赤ちゃんへの影響はないのか気になりますね。特に妊娠初期には、流産の可能性が15%程あります。流産を心配する人もいるでしょう。
下痢が原因で「流産・早産」にならない
妊娠初期の流産は、細胞分裂の過程で異常が生じた場合がほとんど。下痢が原因で流産や早産になることは、基本的にはありません。
ホルモンバランスの影響による下痢であれば、一時的なもので、赤ちゃんへの影響はほとんどないでしょう。ただし妊娠初期の下痢でも、以下のケースでは注意が必要です。
・嘔吐を伴う下痢
・下痢とともに発熱など他の症状がある
・激しい下痢が長引く
これらの場合、妊娠の影響だけでなく、感染症や他の病気が隠れている可能性があります。かかりつけの産科医に相談しましょう。
下痢とともに継続的な腹痛・出血があれば受診
ひどい下痢のような腹痛がある場合は、流産を心配する人もいるでしょう。流産の場合は、子宮が収縮する強い腹痛とともに出血があります。まず出血してないか注意しましょう。
また腹痛の感じ方は人それぞれで、生理痛のような重い痛みや腰痛を訴える人もいます。不安な場合はまず安静にし、痛みが続くようであればかかりつけの産科医に相談しましょう。
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妊娠初期の下痢で受診すべき症状とは
妊娠初期によくある下痢は、妊娠経過とともに自然に軽快することが多いでしょう。しかし注意するべき症状もあります。次のような症状があれば受診しましょう。
1. 下痢とともに嘔吐がある
下痢とともに嘔吐を繰り返すと、体が脱水状態になります。下痢と嘔吐が続き、水分もあまり摂取できない状態であれば受診しましょう。
2. 下痢とともに発熱などの症状がある
下痢だけであれば自然に症状が軽くなっていきますが、発熱や風邪症状などがある場合は、感染症にかかっている可能性もあります。下痢以外の症状が重なっていれば、受診を検討しましょう。
3. 下痢とともに出血がある
下痢とともに性器出血があれば、受診が必要です。膣からの出血は流産の兆候である可能性も。病院に連絡をし、早めに受診をしましょう。
また肛門からの出血であれば、その量や持続性によりますが、どこからの出血かわからない場合は、かかりつけの産科医に相談すると良いでしょう。
4. 下痢とともに強い腹痛がある
どんどん痛みが強くなる場合、腹痛の原因が下痢以外の可能性があります。食事を摂ると痛みが強くなる、あるいは排便時に起きる腹痛であれば、様子をみて問題ない可能性が高いです。ただしどんどん痛みが強くなる時は、医師に相談しましょう。
妊娠初期からの下痢・腹痛の対処法
下痢や腹痛が続くと不安になるでしょう。ここからは下痢、腹痛があるときの対処方法を紹介します。
下痢・腹痛のときは「温かいものを食べる」
下痢や腹痛が続く場合は、体が冷えてしまっている場合も多いです。温かいものを摂りましょう。つわりで難しい時はお腹だけでも温めてみて、症状が軽快すると良いですね。
下痢・腹痛のときは「無理に食事しない」
下痢が続いているとき、無理に食事を摂取する必要はありません。ただし下痢の場合は水分が失われやすいので、こまめに水分摂取しましょう。しばらく下痢が続くようであれば、1回の食事量を少なく、こまめに摂るようにします。
またできるだけ消化に良いものを選び、脂質の多い食事は控えると良いでしょう。下痢により電解質が崩れていることもあります。経口補水液での補水をお勧めします。
下痢・腹痛のときは「安静に」
腹痛の時は、横になって安静にしましょう。痛みが強い場合や、安静にしていてもどんどん痛みが強まるようであれば、かかりつけの産科医に相談しましょう。
妊娠中の下痢・腹痛に薬を飲んでも良い?
下痢や腹痛が続くと、薬を飲んで症状をやわらげたいと思うでしょう。妊娠中の下痢・腹痛の場合の、服薬の注意点を紹介します。
薬の服用はかかりつけ医に確認
妊娠初期は、服用できる薬が限られています。下痢の場合は、妊娠初期でも飲める整腸剤があります。かかりつけの産科医に相談し、処方してもらいましょう。自己判断での市販薬の使用はせず、まずは服薬の希望をかかりつけ医に相談します。内服の必要性も含めて確認しましょう。
《まとめ》
妊娠初期の体は著しく変化し、体調が大きく異なることも多いです。人によって便秘になったり、下痢になったりと症状も様々。基本的にはホルモンバランスの影響なので、水分を摂りながら安静にすると良いでしょう。もし強い腹痛や出血を伴う場合は、かかりつけ医に必ず相談しましょう。
また、自分で判断ができない症状もあるかもしれません。様子をみていいのかわからない時、心配な時も医師に相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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