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2021.11.08

臨月の下痢は出産兆候?【助産師】下痢の原因&受診すべき症状

臨月の妊婦さんが下痢をおこすと、「もしかしたらお産の兆候?」とそわそわしてしまうでしょう。下痢が続くと体力も消耗しますので、「胎児に影響があるのでは…」と心配になるかもしれません。そこで今回は、妊娠期のなかでも臨月に起きる下痢について、理解を深めていきましょう。臨月に下痢が起きる原因と、受診すべき症状について助産師が解説します。

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出産の兆候?臨月に下痢をしやすい主な原因

臨月の下痢

 

臨月に入ると、下痢が起きる妊婦さんが一定数います。臨月に下痢が起こるのは、お産が始まる兆候なのでしょうか?下痢をしやすい原因を紹介します。

 

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臨月の下痢の原因1. 女性ホルモンの影響

臨月になると、妊婦さんの身体は出産に向けて準備を始めます。下痢が起きやすくなるのは、実は女性ホルモンのひとつである「プロゲステロン」が関係しています。

このホルモンは、もともと腸の運動を抑える働きがあります。妊娠中は分泌が増え便秘になりやすいのですが、妊娠8ヶ月9ヶ月をピークに、プロゲステロンの分泌は低下していきます。この影響を受け、臨月になると便秘が改善され快便になったり、もともとお通じがいい妊婦さんは下痢気味になる場合もあります。

 

臨月の下痢の原因2. 子宮による腸の圧迫

臨月になると、子宮内の胎児が大きく成長しています。妊娠子宮が腸を圧迫し、腸の動きが滞ってしまいます。この影響で食べ物が未消化の状態となり、下痢が起きやすくなります。水分が多ければ水下痢、未消化が多ければどろどろの下痢、冷え性の人は下痢を繰り返すこともあります。未消化便の場合は、腹痛や吐き気を伴うこともあります。

 

臨月の下痢の原因3. 自律神経の乱れ

臨月になると妊婦さんは、「陣痛を乗り越えられるだろうか」「自分に育児が出来るだろうか」などと、出産を間近に控え不安になることもあるでしょう。妊娠中の不安から自律神経が乱れ、一時的に下痢を引き起こすことも考えられます。

 

臨月の下痢の原因4. 前駆陣痛

前駆陣痛の痛みを、下痢による腹痛と感じる妊婦さんもいるようです。痛みの程度は人それぞれですが、下痢による腹痛だと思ったら実は前駆陣痛の痛みだった、ということもあります。

このように、前駆陣痛と連動して下痢が起こる場合もあります。前駆陣痛そのものは受診をする必要がなく、遠のいたり治まっていくもの。そのため後から考えると、「前駆陣痛だったかな?」ということもあります。

 

前駆陣痛とは違って、本陣痛とは徐々に強くなり、お産まで治まることはありません。

 

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臨月の下痢は胎児に影響する?

臨月に起こる下痢は、妊娠の影響によるものがほとんどで、一時的なものが多いです。下痢であっても飲食ができ、おおむね元気に過ごせるような状況であれば、胎児に影響を及ぼすことは考えにくいでしょう。

しかし、原因が妊娠による影響であっても感染性であっても、下痢によって飲食出来ず、脱水症状を起こしてしまった場合は、妊婦さんも受診して治療が必要です。また胎児にも必要な栄養が届かないことがあるため、注意が必要です。

 

 

臨月の下痢の注意点&受診タイミング

下痢での受診

 

臨月におこる下痢の原因は、大きく分けて2種類。妊娠によって誘引されるものと、感染性のものです。どちらの原因にしても、

・食欲があるか、飲水ができるか

・下痢以外で気になる症状はないか

・普段通り元気に過ごせているか

ということが受診を判断する目安になります。

 

下痢の時には脱水予防策を

下痢を引き起こした場合は、しっかりと電解質をとれるような水分補給をしてください。また冷たい飲み物、食べ物や刺激物は、さらに下痢を誘発してしまいます。白湯や、身体に吸収されやすい経口補水液をしっかり摂取しましょう。

 

下痢止めの服薬について

自己判断での下痢止めの服用は、絶対にしないでください。感染性の下痢の場合、症状が悪化する可能性があるためです。下痢の症状がある際は、まずはかかりつけの産科医や内科に相談して下さい。水分が摂れない場合は、脱水の予防のために点滴をすることがあります。

 

受診すべき妊娠中の下痢症状

1. 陣痛発来

下痢をするときは、吐き気を伴うこともあります。前駆陣痛や陣痛は、腹痛・胃痛・お腹の張り・腰痛などを伴うこともあり、吐き気もその症状に含まれます。

下痢の他に、腹痛が起きる間隔が定期的であり、次第に強くなって間隔も短くなれば、陣痛の可能性も考えられます。陣痛は痛みが強くなると、吐き気を伴うこともあります。

 

慌てて受診する必要はありません。しかし症状の傾向を観察しながら、いつもとは違う感覚があれば、かかりつけ医へ相談してください。

ただし妊娠36週6日までは早産域。もしも性器出血がある場合、早産の兆候かもしれません。夜間でもかかりつけ医へ連絡してください。

 

2. 感染症による下痢症状

下痢や嘔吐、腹痛以外に発熱や倦怠感などがあり、飲食ができずに、尿が濃くなって回数が減ってきたら、脱水が疑われます。受診の際は、一度かかりつけ医へ電話にて相談の上で判断を仰いでください。

 

1. 2. どちらのケースでも、出産予定日、何人目の妊娠かなどの基本的な情報を伝えます。さらに体温、どんな症状がいつからどの程度あるのか、胎動の様子なども伝えてください。

こんなことで電話してもいいのだろうか、と我慢してしまう妊婦さんもいます。「いつもと違う」「なんだか心配」という気持ちであれば、迷わず連絡してください。

 

3. その他

甲状腺機能亢進症がある場合などは、病状悪化の可能性も否めません。体温や脈拍数/分(手のひらを返して親指側の手首から触れる拍動)を観察してください。疾患のある方はより早めに受診の相談をしましょう。

 

 

《まとめ》

 

臨月の妊婦さんの下痢には、女性ホルモンの影響や腸の圧迫、自律神経の乱れなど様々な原因があります。妊娠による生理的なもの、感染性のものがありますが、一時的であればそれほど心配はいりません。ホームケアで様子をみても「いつもと違うな」という感覚があれば、かかりつけ医に相談しましょう。「どんな症状がいつからどの程度なのか?」を観察し伝えてください。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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