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2022.12.23
【医師】赤ちゃんの絶壁頭の原因は?放っておくことの影響と治し方
赤ちゃんが同じ向きばかりで寝ていると、絶壁頭になるのではと心配するママは多いでしょう。頭の向きを変えても、また同じ方を向いてしまう時もありますよね。今回は赤ちゃんの絶壁頭の原因や、その影響について学んでいきましょう。そして赤ちゃんの絶壁頭の治し方を、医師が紹介していきます。
目次
赤ちゃんの【絶壁頭】とは?絶壁の原因
「絶壁頭」とは赤ちゃんの頭が丸くならず、一部分だけ平らになることを指します。
もともと赤ちゃんは骨重積(こつじゅうせき)といって、ママの骨盤に合わせて、産道を通りやすいように頭蓋骨を変形させながら生まれます。赤ちゃんのこの応形機能を働かせるために、頭蓋骨が4つの骨に分かれています。そしてそこへの圧力によって頭蓋骨が複雑に入り込み、変形するようになっています。
つまり赤ちゃんの骨は柔らかく、圧力が加わることで容易に変形するのです。では絶壁頭になる原因は何でしょうか。
絶壁頭の原因1. 頭蓋骨の病気
まず絶壁頭の原因で考えられるのは、頭蓋骨の病気「頭蓋骨縫合早期癒合症」です。赤ちゃんの頭蓋骨は、4つの骨に分かれています。この骨は通常2年ほどかけてじっくりつながり、1つの頭蓋骨となります。しかしこの病気では早くにつながり、頭蓋骨が変形してしまうことがあります。
そうなると脳の成長に合わせて頭蓋骨が拡大できず、脳の成長が妨げられて、運動機能・知的能力に影響する可能性があります。この病気は、早期の治療が必要です。
絶壁頭の原因2. 長時間の仰向け寝
絶壁頭の原因で考えられる2つ目は、仰向けで長時間寝ていること。仰向け寝は、乳児突然死症候群の予防として推奨されている寝かた。2000年頃から、赤ちゃんは仰向けで寝かせるよう指導する流れになっています。
この仰向け寝によって、長時間同じ場所に圧力がかかると、応形機能が働きます。そして圧力がかかっている部分の頭蓋骨が平らになり、絶壁頭になると考えられます。
絶壁頭の原因3. 赤ちゃんの性格によるもの
また絶壁頭になる原因として、赤ちゃんの性格も少し関係します。主張が激しくよく泣く赤ちゃんと、大人しくあまり手がかからない赤ちゃんがいるでしょう。手がかからず大人しい赤ちゃんはあまり泣かないので、寝かせっぱなしにされやすく、絶壁頭になる可能性が高くなってしまいます。
一方でよく泣く赤ちゃんは、抱っこされている時間が長い傾向に。すると長時間同じ場所に圧力がかかることはあまりなく、絶壁頭の可能性ももちろん低くなります。
赤ちゃんの【絶壁頭】放っておくとどうなる?
絶壁頭は、日本人に特に多い頭の形です。周囲にも同じような頭をもつ人がいると、「これくらい特に問題ないだろう」と軽く考えがち。しかし絶壁頭はただの個性のひとつとして捉えず、病気によるものなのか否かを見極めた上で、対応が必要になってきます。
絶壁頭は自然に治ることはない
絶壁頭を放っておいても、自然に治ることはありません。そのままの状態で固まってしまい、大人になっても絶壁頭のままです。「そのうちに治るよ」と周囲から聞いたことがあるかもしれませんが、放っておいても治らないので注意が必要です。
絶壁頭をそのまま放置すると、頭の形が歪んだまま成長します。赤ちゃんの頃は気にならなくても、頭の形によって「やりたいこと」ができなくなる可能性があります。
例えば、「眼鏡がずり落ちてかけづらい」「お気に入りの帽子が似合わない」「三つ編みやポニーテールが似合わない」などです。また短髪・坊主にすると頭蓋骨の形が目立ち、周囲の目が気になるかもしれません。
頭蓋骨の歪みによる影響
また頭蓋骨の歪みは、運動機能や知的能力に影することが報告されています。歪みがさらに進行すると、知能が遅れる可能性もあります。頭蓋骨の歪みを見つけたらそのままにせずに、できるだけ早急に対応しましょう。
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赤ちゃんの【絶壁頭】を治す方法
絶壁頭は、頭蓋骨がすでにできあがり硬くなった大人では、治すことができません。赤ちゃんの柔らかい頭蓋骨だからこそ、早期の対応で絶壁頭を防ぎ、治せるといえます。
新生児の頃は頭蓋骨が柔らかく、すぐに形が変形しますが、逆に言うと早期の治療で絶壁頭にならずに済みます。生後6ヶ月を過ぎるとだんだん頭蓋骨が硬くなり、1歳頃にはおおよその頭蓋骨の形が整ってきます。0歳のうちから対策するとよいでしょう。
ここから絶壁頭の治し方を紹介します。
絶壁頭の治し方1. 長時間仰向けにしない
絶壁頭の一番の対策は、仰向けにする時間を少なくすることでしょう。一方向にかかる圧力を解除、または軽減することで、絶壁頭を防げます。意識的に赤ちゃんの向きを変えてあげて、同じ体勢で長時間過ごさないようにしましょう。赤ちゃんはまだ自分で身体の向きを変えられないため、ママがしっかりと見てあげましょう。
ここで注意してほしいのは、安易にうつぶせ寝をさせないこと。うつぶせ寝は絶壁頭の予防には適していますが、赤ちゃんの窒息や、突然亡くなってしまう乳児突然死症候群の要因となるので注意しましょう。
絶壁頭の治し方2. 色々な方向から声をかける
生後1ヶ月も経つと、赤ちゃんは音や声に反応します。ママと赤ちゃんのコミュニケーションの一環として、赤ちゃんに色々な方向からたくさん声かけをしましょう。ガラガラなど音が鳴るものを、移動しながら聞かせてあげるのもいいですね。
絶壁頭の治し方3. 抱っこの時間を多くする
赤ちゃんを常に寝かせておくのではなく、抱っこやベビーカーで散歩するといいでしょう。赤ちゃんを縦に抱いた方が、周囲からの刺激も増え、絶壁頭の予防にもなります。
絶壁頭の治し方4. ドーナツ枕を使用する
ドーナツ枕とは、赤ちゃんのための中心がくぼんだ枕のこと。赤ちゃんの後頭部に圧力がかからないようにでき、後頭部の自然な形を保つことが可能です。
赤ちゃんが左右どちらか一方を向いてしまう「向き癖」対策にも、一定の効果があると示唆されています。必ず必要というわけではありませんが、新生児から使用できるものもあるので、検討してみてもいいでしょう。
絶壁頭の治し方5. ヘルメット治療を行う
重度の絶壁頭の場合、ヘルメット治療という選択肢もあります。頭の形の歪みを改善するヘルメット治療は、現在とても注目されている治療法です。このヘルメット治療は、頭蓋骨が硬くなる前の、生後2ヶ月~6ヶ月の間に行われます。
治療期間は6ヶ月~1年程度です。赤ちゃんに合わせてヘルメットを作成するので、料金がおおよそ40万円かかります。決して安価ではありませんが、もし絶壁頭が気になる場合は、一度検討するといいかもしれません。
《まとめ》
絶壁頭の原因は病気によるものと、一方向からの圧力によるものに分けられます。自然に治ることはなく、早期の対応が必要な場合もあるため注意しましょう。病気による絶壁頭を放っておくと、日常生活や脳の発達にも影響する可能性があります。頭の形がおかしいと感じたら、医師に相談してみましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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