【産後のお腹】ぽっこりたるむ原因は?いつ戻る?

出産後の体型で悩んでいるママは多いでしょう。産後になぜお腹がぽっこりたるんでしまうのか、いつまで続くのかを解説します。
産後にお腹がたるんでしまう原因(1)
産後のぽっこりお腹の原因を解説していきます。
■ホルモンによる骨盤・筋肉の緩み
妊娠中は、出産に向けて身体は大きく変化していきます。その一つが、「リラキシン」というホルモンの分泌です。リラキシンは出産時に赤ちゃんがスムーズに骨盤を通れるように、骨盤の関節や靭帯を柔らかくする作用があります。出産時には産道を大きく広げて、赤ちゃんが通りやすい道筋をつくる、とても重要な役割をするホルモンなのです。またリラキシンは、骨盤内の臓器を支えている「骨盤底筋群」という筋肉も緩めます。
こうしたリラキシンの作用により、骨盤や骨盤底筋群が緩むことで、子宮や腸などの内臓が下がります。その結果、産後のぽっこりお腹につながりやすくなります。
産後にお腹がたるんでしまう原因(2)
■妊娠・出産によって腹直筋が離開する
腹部の中心にある腹直筋は、通常左右に分かれており、その間を「白線」という腱組織がつないでいます。妊娠中は、前述したリラキシンの分泌により白線が緩みます。
さらに、赤ちゃんが成長しお腹が大きくなるにつれ、緩んだ白線が横に伸ばされ腹直筋が左右に大きく離れた状態になります。これを腹直筋離開といいます。
腹直筋が離開すると、お腹に力が入らずぽっこりたるんでしまいます。妊娠後期から産後数ヶ月にかけて、腹直筋離開になっているママも珍しくはありません。
産後にお腹がたるんでしまう原因(3)
■妊娠中に蓄えられた脂肪
ママの体型によって差はありますが、10ヶ月の妊娠生活で、体重はおおよそ10kg以上増加します。その内訳としては、赤ちゃん3kg、胎盤・羊水1.5kg、子宮や乳房1kg、全身の血液量増加分1.5kg、水分1.5kg、母体の脂肪増加分2~3kgです。
妊娠によってついた脂肪分は、身体の中心部分(つまりお腹やお尻)につくため、余計にぽっこりお腹に見えてしまいます。
産後のぽっこりお腹はいつまで?いつ戻る?
妊娠中に緩んだ骨盤や筋肉の変化、身体についた脂肪は、出産後すぐに元の状態に戻るわけではありません。大きくなった子宮は約6~8週間かけて、ゆっくりと元の大きさになります。
それに伴ってお腹も少しずつ戻りますが、緩んだ骨盤や骨盤底筋群、離開した腹直筋を元の状態に近づけることで、さらに戻りやすくなるといえます。
産後は1年くらいかけて、身体的・体力的に妊娠前の状態に戻ります。徐々に骨盤や筋肉へ適切なアプローチをすると、たるみの解消につながっていきます。
【産後のお腹】ぽっこりたるんだお腹の解消法

産後ぽっこりたるんでしまったお腹を引き締め、元の状態に戻すにはどうすればいいのでしょうか。ここからは、ぽっこりお腹の解消法を紹介します。
骨盤を元の位置に戻す
妊娠・出産によって広がり、緩んだ骨盤を元の位置に戻し、内臓を引き上げることが重要。骨盤ベルトなどで骨盤を支え、広がった骨盤と内臓を元の位置に戻してあげましょう。
骨盤が歪んだままだと、たるみが解消しないのに加え、腰痛や冷え、むくみなどマイナートラブルの原因にもなるので注意が必要。専門的な知識を持った整形外科や整骨院を受診し、施術を受けるのもおすすめです。
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脂肪が燃えやすい身体を作る
妊娠中についた脂肪は、すぐには戻りません。産後は筋力が低下し、基礎代謝も落ちている状態だと理解しましょう。
特にお腹の中心にある腹直筋は伸びきっており、離開している場合もあります。この腹直筋を鍛えるストレッチを行い、筋肉をつけるとともに、基礎代謝を上げて痩せやすい身体を作っていきましょう。同時に、緩んだ骨盤底筋群を鍛える運動もできるといいですね。
■自宅でながらストレッチ
腹直筋を鍛えるためのストレッチを紹介します。
赤ちゃんのお世話で忙しいママは、なかなか運動する時間が取れないかもしれません。そんな時は、「ながらストレッチ」がおすすめです。赤ちゃんのお世話をしながらスクワットをしたり、歯磨きをしながら太腿あげをしたり、片足立ちもいいでしょう。いずれも意識するのは、「お腹に力を入れること」です。
■上体起こしは腹直筋を鍛える
上体起こしをすると、お腹の筋肉を鍛えることができます。誰でも簡単にでき、きつければ足を机などで支える、あるいは途中まで身体を起こすだけでもいいでしょう。この時もやはり大事なのは、お腹に意識を集中させるということ。
帝王切開の場合は、産後2~3ヶ月を目安に行いましょう。切開部の痛みの感じ方には個人差があります。痛みがあればすぐに中止し、無理しないようにしましょう。
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■産後におすすめ!骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋トレーニングによって、下垂していた臓器が元の位置に戻りやすくなります。ぽっこりお腹だけでなく、尿漏れや腰痛の改善にもつながると言われています。
【骨盤底筋トレーニングのやり方】
1. ベッドや床に仰向けになり、膝を立てる。
2. 両手はへその下に置く。
3. 息を吐きながら、尿やおならを我慢するイメージで、骨盤底筋をぎゅっと締める。この時に下腹部が膨らまないように注意する。
4. 息を吐き終わったら、反動で勝手に息を吸い込む動作にともない、自然と骨盤底筋がゆるむ。
以上を5回1セットとし、1日2セットからやってみましょう。
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水分・タンパク質・食物繊維の摂取
産後は睡眠不足や、慣れない赤ちゃんのお世話で疲労がたまります。さらに母乳育児の場合は多くのカロリーを消費するので、3食しっかりと食事を摂るようにしてください。食物繊維と水分は便秘を改善し、ぽっこりお腹を解消してくれます。タンパク質は筋肉をつけるもととなりますので、意識して摂るとよいですね。
正しい姿勢を心がける
産後は授乳で上体が曲がってしまい、猫背になりがちです。姿勢が悪いと骨盤が歪む原因になり、産後太りを助長してしまいます。
授乳する時は、ママが赤ちゃんの位置に合わせるのではありません。授乳クッションやタオルなどを使い、赤ちゃんをママの乳房の高さに合わせるといいでしょう。日常生活でもまっすぐな姿勢を保つと、腹筋を鍛えることにつながります。ぜひ意識して生活してみてください。

引き締め専用のクリームでマッサージ
産後の引き締めに、専用のクリームがあるのを知っていますか。お風呂上がりに腹部に塗布しマッサージすると、お腹が引き締められ、さらには潤いを保つこともできます。
【産後のお腹】過度なダイエットは禁物!産褥期の過ごし方
ぽっこりたるんでしまったお腹を見ると、「早くダイエットを始めなきゃ」と焦る気持ちもあるでしょう。しかし産褥期とよばれる産後6~8週間は、まず身体を休めることが非常に重要です。
最初の1~2週間はとにかく安静にして、出産と赤ちゃんのお世話で酷使した身体を休めましょう。そして3~4週目で、軽い家事を始めていくことをおすすめします。遠くへの外出は疲労につながるので、まだ行わないようにしてください。
子宮の戻りが順調で1ヶ月健診が終了し、その他トラブルがないことを確認してから、少しずつ運動を開始しましょう。産後に体力を回復させ、赤ちゃんのお世話が十分にできるようになることが大前提です。決して過度な食事制限や、激しいトレーニングをしないようにしましょう。
《まとめ》
妊娠・出産で大きく変化した身体は、自然に元に戻ることはありません。まずは産後、身体をしっかり休めて体力の回復を待ちましょう。そして1ヶ月健診をめどに体調に問題がなければ、少しずつ家事や軽い運動を始め、ぽっこりお腹を解消していきましょう。
※写真提供:PIXTA
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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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