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2022.08.22

【帝王切開】後陣痛&傷の痛みはいつまで続く?痛みを和らげるコツ

帝王切開での出産後には、「切開部の痛み」と「後陣痛」の2種類の痛みがあります。産後は赤ちゃんのお世話が始まります。強い痛みが続けば、「この痛みはいつおさまるのだろう?」と不安にもなりますね。今回は帝王切開後の痛み、特に「後陣痛」について理解を深めていきましょう。痛みはいつまで続くのか、痛みを和らげる方法も合わせて、助産師が解説していきます。

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【帝王切開での出産後】に感じる「後陣痛」と「傷の痛み」

帝王切開後の痛み

 

帝王切開での出産後は、大きくなった子宮が元に戻ろうとする「後陣痛」と、「切開傷の痛み」の2種類をコントロールしていく必要があります。それぞれどのような痛みなのか、詳しく見ていきましょう。

 

帝王切開でも起こる!「後陣痛」の原因とは

出産を終えると赤ちゃんの成長によって大きく広がった子宮が、元の大きさに戻ろうと収縮し、陣痛のような痛みを伴います。これが「後陣痛」で、分娩方法に限らず、出産後は必ず経験する痛みです。後陣痛は子宮の止血の役割もあり、子宮復古に非常に重要な役目を果たします。

 

後陣痛の痛みは、「生理痛のようにじんじんする痛み」「もう1人赤ちゃんが産まれそうなくらいの陣痛の強さ」などと表現されることがあります。感じ方は人それぞれですが、中には痛みが強すぎて眠れず、日常生活に支障が出てしまう場合もあります。

 

また授乳により分泌される、オキシトシンというホルモンが子宮収縮を促進。そのため授乳中は後陣痛を強く感じ、痛みが強すぎて授乳ができなくなるケースもあります。また初産婦さんよりも経産婦さんの方が、後陣痛を強く感じる傾向があります。

子宮が元に戻るためには6~8週間かかります。入院中は特に強い痛みが起きることもありますが、徐々に和らいでいくでしょう。

 

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帝王切開後の「傷の痛み」はどんな感じ?

帝王切開とは、子宮を切開し赤ちゃんを取り出す手術です。子宮だけではなく、皮膚や筋肉、腹膜などを切開します。

出産後は、この切開した部分を縫い合わせたり、専用のホチキスやテープでとめたりします。そのため完全に元の状態に戻すのは難しいもの。皮膚の柔軟性や伸展が失われ、痛みやひきつった感じが残ってしまいます。

 

手術は基本的に硬膜外麻酔で行われ、麻酔が効いている間は痛みを感じることはありません。しかし、術後に麻酔が切れてくると、次第に傷の痛みが生じてきます。

痛みは、「ひきつった感じ」「断続的にずきずき痛む」と表現されることが多いです。ものが当たった時や腹圧をかけた時に、さらに痛みを感じるでしょう。

たとえば、授乳中で赤ちゃんの足があたる時、スカートや下着のゴムがあたる時、便秘気味の時などです。その他、気圧の変化によっても痛みを感じることがあります。

 

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【帝王切開の後陣痛】痛みはいつまで?ピークは?

帝王切開の場合の後陣痛は、麻酔がきいている間はあまり感じません。麻酔が切れてくると痛みが生じ始め、帝王切開後~3日目がピークとなります。個人差はありますが、切開部の痛みと相まって、日常生活に支障がでることもあります。

帝王切開の場合は、自然分娩に比べて子宮収縮が緩やかです。その原因としては、以下の理由が挙げられます。

 

・帝王切開のため子宮に傷があること

・帝王切開の後はベッドから起きて行動しないこと

・授乳のスタートが自然分娩よりも遅れてしまうこと

 

そのため帝王切開の場合は、後陣痛が長引いてしまう可能性も。ですが、おおよそ術後4週間ほどでおさまります。痛みは日常生活の中のちょっとしたことで起こりますので、無理はしないようにしましょう。どのような行動が痛みを起こしやすいかは、後述します。

 

 

後陣痛に服薬してOK?痛みを和らげる方法とは

後陣痛での服薬

 

痛みは身体だけでなく心にも、大きな影響を及ぼします。マタニティブルーや、産後うつの誘発因子にもなるのです。痛みが強くて自分の身のまわりのことができない、赤ちゃんのお世話が十分にできない、授乳ができない時は、我慢する必要はありません。

痛みが強い場合は、以下の方法を試してみましょう。

 

後陣痛を和らげる方法1. 痛み止めを服用

痛みが強い時は我慢せずに、痛み止めを内服することをおすすめします。入院中には、担当の助産師や医師に遠慮なく相談してください。退院後も痛みが心配であれば、退院時に少しまとめて処方してもらうこともできます。

 

服薬による、赤ちゃんへの影響を心配するママもいるかもしれません。しかしほとんどの薬は、母乳への成分の移行が少ないです。辛い時は我慢せずに、薬に頼ることも大切です。

痛み止めは一日に使用できる回数が決まっていますので、用法・用量を守りながら指示通りに内服しましょう。赤ちゃんへの授乳タイミング、自分の睡眠時間内で効果が出るように調整しましょう。

 

ドラッグストアで購入できる痛み止めには、授乳とは相性が良くない薬もあります。必ず成分を確認する必要があります。できれば処方薬の方が心配ないでしょう。

 

後陣痛を和らげる方法2. 身体を温める

シクシクと後陣痛がある時は、温罨法やカイロで下腹部を温めるのも効果的です。身体の冷えは、痛みを感じやすくします。白湯やノンカフェインの温かい物を飲むなどして、身体を温めるのも効果的です。

 

後陣痛を和らげる方法3. 下腹部を締め付けない

ショーツや洋服などで傷口を圧迫すると。痛みが強くなることがあります。身体、特に下腹部を締め付けない洋服を着用しましょう。

 

後陣痛を和らげる方法4. リラックスする

身体が緊張していると、痛みを強く感じてしまいます。できるだけ身体をリラックスするように心がけましょう。腹式呼吸をすることで副交感神経を優位でき、身体がリラックスできます。

その他にも好きな音楽を聴く、アロマを焚くなどして、心も身体も緩めていきましょう。横になる時は身体を丸めて、足の間にクッションをはさむようにして休むといいでしょう。

 

 

【帝王切開での出産後】過ごし方のポイント

帝王切開後の過ごし方

 

出産後に退院すると、赤ちゃんの授乳やお世話、家事、上の子のお世話などもしなければいけません。無理をしすぎて体調を壊すこともあります。ここでは、帝王切開後の過ごし方について紹介します。

 

全部ひとりでこなそうとしない

まずは自分の身体を元に戻すこと、体力を回復させることが先決です。

子宮が元の状態に戻るには、おおよそ6週間~8週間かかります。里帰りしていれば、ママは赤ちゃんのお世話と授乳、そして身体を休めることを心がけてください。

万が一頼れる人がいない場合は、地域のファミリーサポート、産前産後サポート事業、産後ケア事業、産後ケアデイサービス、家事代行などを活用しましょう。

 

腹圧をかけるような体勢をとらない

帝王切開は、子宮を切開して赤ちゃんを取り出す手術です。自然分娩よりも出血が多くなり、切開部の痛みもしばらく残ります。少しずつ痛みは回復していきますが、重い物を持ったり、便秘などで腹圧をかける体勢をとると、再出血や痛みが増すこともあり注意が必要です。

便秘にならないように、食物繊維をしっかり摂り、適宜水分補給を心がけましょう。

 

注意すべき症状があったら受診しよう

一度おさまっていた切開部の痛みが急に再開したり、傷から出血してきた場合は、速やかに受診しましょう。また38度をこえる発熱が2日以上続く時は、子宮復古不全、縫合不全や乳腺炎の可能性も考えられます。子宮復古不全では、以下のような症状が出ます。

 

・おさまっていた悪露が急に増えて塊が出る

悪臭が発生する

腹痛

 

自己判断で薬を内服せずに、必ずかかりつけの産科医に相談しましょう。

 

 

《まとめ》

 

帝王切開では、産後の離床や授乳の遅れ、子宮の傷などから、後陣痛が長引くことがあります。痛みは我慢しすぎず、必要な時は薬に頼ることも大切です。大きな創部が筋層にもありますので、回復には時間が必要。産後はゆっくり体を休めて、無理をしないようにしましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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