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2022.05.02
母乳育児は痩せる?【助産師】痩せやすい時期はいつからいつまで?
妊娠中に増加した体重や、産後に変化した体形。出産後はへこむと思っていたお腹は、意外にもしっかりと出ていたり、腰回りも以前とは異なるように感じたり。いつごろ元に戻るのかと、心配になる人もいるでしょう。そんな体形の変化から、産後にダイエットしたいと思うママもいますね。そこで「母乳育児は痩せる」と聞いた人も多いでしょう。産後なるべく早く体形を戻したい人にとっては、母乳育児で体重が戻るのであれば嬉しいですよね。
この記事では、「母乳育児が痩せる」と言われる理由と、痩せやすい時期について解説。ただし急激な体重減少や、誤った方法での運動負荷は、産後のマイナートラブルの誘因になります。ママの体調も崩しかねないため、助産師の立場からはおすすめしません。健康を維持しながら無理なく、体形を戻すコツをお伝えします。
目次
- 母乳育児で痩せる?痩せやすい理由とは
- ・母乳育児で痩せる理由「授乳で1日約350kcal消費するから」
- 母乳育児で痩せる時期はいつからいつまで?
- ・産後の体重が戻る目安
- ・先輩ママのアンケート結果「母乳育児でいつごろから痩せた?」
- 母乳育児で健康的に痩せる!体形を戻すコツ
- ・母乳育児で健康的に痩せるコツ「バランスの良い食事」
- ・母乳育児で健康的に痩せるコツ「水分の摂取」
- ・母乳育児で健康的に痩せるコツ「間食に注意」
- ・母乳育児で健康的に痩せるコツ「食べすぎない」
- ・母乳育児で健康的に痩せるコツ「適度な運動」
- 母乳育児中なのに痩せない原因
- ・産後に痩せない理由1. 食べすぎ
- ・産後に痩せない理由2. 子どもの食べ残しを摂取
- ・産後に痩せない理由3. 睡眠不足
母乳育児で痩せる?痩せやすい理由とは
そもそもなぜ、母乳育児は痩せやすいと言われているのでしょうか。その理由は、母乳をあげるだけで多くのカロリーを消費するからと考えられます。
母乳育児で痩せる理由「授乳で1日約350kcal消費するから」
母乳育児のママは授乳をしていると、1日で約350kcalも消費すると言われています。赤ちゃんの成長とともに、必要な母乳量の分泌を維持するためには、多くのエネルギーが必要です。産後6ヶ月頃まで、1日に産生される母乳の量は1L~1.5Lほど。これだけの供給量を保つためにママの食事は大切で、授乳中は普段よりも450kcalほど多く、カロリー摂取する必要があります。
ちなみに約350kcalを消費しようとする場合、運動では以下の時間が目安となります。
・ジョギング:約50分
・犬の散歩:約120分
・水泳:約60分
実際にやることを考えると、かなりの運動量にあたるカロリー消費だとわかりますね。つまり母乳育児をしていると、毎日この程度の運動を行っていることと同じ。そのため痩せやすいと言われています。
母乳育児で痩せる時期はいつからいつまで?
母乳で痩せる理由がわかると気になるのが、「痩せる時期っていつぐらいなの?」ということ。ここからは先輩ママのアンケートとともに、痩せやすい時期はいつからいつまでかを解説します。
産後の体重が戻る目安
出産直後は、赤ちゃんや羊水、胎盤、出産時の出血により、5~7㎏減少すると言われています。ただし体内の循環血液量が1.5倍に増えている状態から、産後の循環動態に戻るまでは、一定の期間が必要。また子宮は産後6~8週間かけて、非妊娠時の大きさに戻ります。これらの理由から、産後すぐは体重が元に戻らなくても、悲観しなくて良いのです。
また母乳量は、初めはにじむ程度の分泌からスタートです。前述したような消費カロリーは、母乳分泌が安定してからの目安ですので、出産直後はそんなに多くないでしょう。
以下のアンケート結果からも、母乳の分泌量が安定してきた産後1~3ヶ月ごろに、体重が減少傾向となる人が多いようです。
先輩ママのアンケート結果「母乳育児でいつごろから痩せた?」
Q. 母乳育児のママは、産後いつから痩せましたか?(回答数69)
産後いつから痩せたかについては、「~産後1ヶ月」が最多で29%を占めています。60%以上のママが産後3ヶ月までには痩せ始めたと答えていますね。
Q. 母乳育児のママは、産後いつごろが最も痩せましたか?(回答数69)
最も痩せた時期は、「~産後3ヶ月」が19%と一番多い結果に。母乳育児が安定してくる時期だからといえるでしょう。
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母乳育児で健康的に痩せる!体形を戻すコツ
産後の痩せやすい時期がわかったところで、次は「その時期に効果的に痩せるためには、どうしたらよいの?」という点をお伝えします。痩せるコツはとてもシンプルです。
・バランスのよい食事をとる
・水分を適宜とる
・間食をとりすぎない
・食べすぎない
・適度な運動をする
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
母乳育児で健康的に痩せるコツ「バランスの良い食事」
バランスのよい食事は健康の基本ですし、ダイエットの観点からも重要です。産後は出血やお産による体力の消耗から体調を回復させるために、食事の内容にも配慮して、しっかり栄養をとることは大切です。
特に貧血には注意です。貧血により、代謝は下がります。また「産後に気分が落ち込む」「疲労感が抜けない」などで悩むママの一部は、貧血の症状も含んでいたことも明らかになりました。
成人女性にとって、普段の食事で必要なエネルギーは約2,000kcalと言われています。授乳中はさらに、450kcal付加する必要があります。
赤ちゃんのお世話は忙しく、ママたちは一食一食、自分の食事について考えることが難しいかもしれません。ですが特定の食べ物を制限することなく、バランスよく食べることを心がけてください。
厚生労働省が出している食事バランスガイドをもとに、摂取する栄養の目安を参考にしてください。
主菜・副菜・果物などバランスよく食べられるように、市販品も使いながら工夫しましょう。
また母乳育児中に適した食事については、こちらの記事も参考にしてみてください。
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✔【産科医】母乳はいつからいつまで出る?母乳を安定させるためには
母乳育児で健康的に痩せるコツ「水分の摂取」
母乳育児中は、母乳をあげることで水分がたくさん消費されるため、普段よりも多くの水分が必要になります。また水分をしっかり摂ることで、新陳代謝が活発になります。新陳代謝が活発になると痩せやすい体になるため、こまめな水分補給が必要なのです。
ジュースや清涼飲料水など、糖分の高い甘い飲み物は、健康にも注意が必要。例えば毎日1杯程度など、飲みすぎないように自分でルールを決めて、水やお茶で水分補給をしてください。
また水やカフェインレスのお茶を飲むときには、なるべく常温かホットが良いでしょう。冷たい飲み物は体を冷やすので、新陳代謝が下がってしまいます。痩せやすい体にするためにも、常温の飲み物をとるように心がけましょう。
母乳育児で健康的に痩せるコツ「間食に注意」
授乳中はカロリーを消費するため、多くのエネルギーを必要とし、ママはとにかくお腹が空きます。 間食も大切な栄養素の補給と位置づけ、空腹だからといってお菓子をたくさん食べてしまうことのないように気を付けましょう。
母乳育児で健康的に痩せるコツ「食べすぎない」
当たり前ですが、ママの摂取カロリーが多すぎれば、母乳育児でカロリーを消費しても体重減少しません。ただし産後1~2ヶ月ほどの短期間で体重を戻すことは、健康を害することになりお勧めできません。必要なエネルギーはしっかり摂取しながら、健康的に体形を戻していきましょう。
母乳育児で健康的に痩せるコツ「適度な運動」
産後すぐ、特に21日間は骨盤が安定していないので、ママは安静にする必要があります。運動筋肉量も落ちているため、代謝が悪くなっています。徐々に産後にふさわしい適度な運動をすることで、筋肉量が増え代謝が戻り、より痩せやすい体をつくることができます。
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母乳育児中なのに痩せない原因
「授乳しているのに、思ったほど痩せないな…」と思っているママはいませんか?産後に痩せない原因は授乳ではなく、普段の生活にあります。具体的には、以下のような原因が考えられます。
・食べすぎてしまう
・子どもの食べ残しを全て食べてしまう
・睡眠不足
それぞれについて、工夫できることを考えていきましょう。
産後に痩せない理由1. 食べすぎ
繰り返しになりますが、食事による摂取カロリーが消費カロリーを下回らないと、痩せることはできません。「授乳中はカロリーを消費するから」とつい食事の量が増えている、間食を多くしてしまう、空腹の時は一気に食べてしまう、という人は注意してください。
また卒乳後は特に要注意です。授乳によるカロリー消費はなくなるので、授乳時に比べて食事量が減っていない場合は痩せません。徐々に食事の摂取量を減らせるよう、調整しましょう。
産後に痩せない理由2. 子どもの食べ残しを摂取
これも食事量につながります。普段の食事量には気をつけているママでも、子どもの食べ残しを食べることでカロリーオーバーしていることもあります。
もったいないのでつい食べてしまうかもしれませんが、自分の食事にプラスしていませんか?自分の食事量を減らすか、残ったものを食べてから自分の食事を摂るなど、できる範囲で調整しましょう。
産後に痩せない理由3. 睡眠不足
睡眠不足になると体内では、ホルモン分泌や自律神経のバランスが崩れてしまいます。このために、食欲を抑えてくれるレプチンの分泌が減少。食欲が増すグレリンの分泌が増える、と言われています。その結果として、寝不足になるとどうしても過食しがちです。
赤ちゃんとの生活では、思うように睡眠が確保できないこともありますが、赤ちゃんが寝ているときにママも休むようにしましょう。産後のママは、短時間の睡眠で回復できる身体のシステムができています。適度な睡眠をとることで食欲が抑えられるので、睡眠不足にならないように生活習慣を見直しましょう。
もし不眠感や疲労や抜けないときは、助産師に授乳や生活についての相談をしましょう。よりよく赤ちゃんと生活できるポイントを一緒に考えますので、地域の助産師にお声掛けください。
《まとめ》
「母乳育児は痩せる」と言われる理由は、授乳によるカロリー消費が多く、体重減少しやすいためです。母乳の産生量が多いママほど、消費カロリーも多いでしょう。産後6ヶ月にかけて、産生量が最大になると言われています。そう考えると、離乳が進み子どもの飲む量が減るころまでが、痩せやすい時期といえるでしょう。
産後ママの健康を考えると、『体形・体調を戻すために必要な時期』というものがあります。必要な栄養と休息はしっかり摂って、健康的に「なりたい自分」を叶えられるよう応援しています。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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