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2021.12.13

【産科医師】妊娠12週の壁とは?胎児の大きさとママの身体・流産の確率

妊娠12週となると、安定期と呼ばれる妊娠16週まであと1ヶ月。初めて妊娠した人は特に、お腹の中の胎児がどのような状態にあるのか気になりますね。ここでは、インターネットでよく言われる「妊娠12週の壁」とは何かを解説します。「妊娠9週の壁」との違いも知っておきましょう。また胎児とママの体の変化、妊娠12週頃の過ごし方について、産科医師のアドバイスを紹介していきます。

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「妊娠12週の壁」とは?いつまで?

妊娠12週の壁

 

「妊娠12週の壁」という言葉を知っているでしょうか。

妊娠しても、残念ながら全ての胎児が元気に誕生できるわけではなく、流産に至るケースもあります。医学的に流産は、妊娠12週を境に「早期流産」と「後期流産」に分類されています。流産の8割以上が、妊娠12週未満におきていると言われています。そのため医学的には「妊娠12週の壁」という言葉は無いものの、妊娠12週を過ぎると流産の割合が減少するということが、インターネットの書き込みなどから広がり、この言葉が使われるようになったようです。

 

妊娠12週までの流産の主な原因

妊娠12週までの流産の主な原因は、赤ちゃんの染色体異常や遺伝子病とされています。ほとんどが、赤ちゃん側の因子によって起こるのです。つまり遺伝子レベルで流産することが決まっていた場合がほとんどなので、流産してしまっても自分を責めないようにしましょう。

 

妊娠12週を過ぎると、流産や切迫流産の原因として、絨毛膜羊膜炎など膣の細菌感染によるものが増えてきます。染色体異常や遺伝病の場合は、治療をすることが難しいもの。ですが絨毛膜羊膜炎は適切な治療を行うことで、流産を防げる可能性が出てきます。

 

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「妊娠12週の壁」と「妊娠9週の壁」の違い

それでは、「妊娠12週の壁」と「妊娠9週の壁」は何が違うのでしょうか。

 

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妊娠9週前後で心拍を確認することが多い

「妊娠9週の壁」という言葉もありますが、昔はこれは存在しませんでした。というのも昔は、生理が遅れて1ヶ月以上経過して産婦人科を受診することが多く、そもそも初診が妊娠9週以降であったためです。

現在は、妊娠検査薬や超音波検査の性能が高くなったために、生理予定日直後から妊娠検査薬を使うことができます。すると妊娠4週5週頃に初診となる妊婦さんが増えます。妊娠9週前後では赤ちゃんの心拍と成長を確認、出産予定日を決定して、妊娠証明書(届け出)が発行されることが多くなってきました。

 

流産とは妊娠12週までがほとんど

もともと妊娠7週9週頃には流産率が高く、妊娠9週ころの検査で流産の診断となる場合が多いです。そのため妊娠9週の壁」と言われるようになりました。こちらも「妊娠12週の壁」と同様に医学的用語ではなく、インターネット上で生まれた言葉のようです。

 

流産のうち、妊娠12週までの「前期流産」が約9割を占めるといわれています。さらにそのうち約7割が、妊娠9週前後の心拍が確認される前に起こっています。そして約2割が、心拍を確認された後から妊娠12週までの間。つまり胎児の心拍が確認される前の流産が、多くを占めていることになります。

 

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妊娠12週の胎児の大きさ・成長状態

妊娠12週の胎児の大きさは、身長が約9cmとレモン程度の大きさになります。この頃の胎児の体重は約20gです。妊娠12週末には、赤ちゃんの手足の指ができはじめ、皮膚や爪もつくられていきます。

超音波ではまだはっきりと確認できないことが多いですが、外観上の性別がわかるようになるのもこの頃です。筋肉活動も徐々に始まり、自発運動もこの頃からでてきます。

 

 

妊娠12週のママにあらわれる身体の変化

妊娠12週の身体の変化

 

妊娠12週になると、ママの身体には徐々に外見の変化もあらわれはじめます。

 

妊娠12週の変化1. 下腹部が膨らみ始める

子宮は新生児の頭の大きさほどになり、下腹部に膨らみを帯び始め、外見にも変化が出てきます。

 

妊娠12週の変化2. 基礎体温が下がる

妊娠12週にはプロゲステロンの分泌が安定してくるため、高温を保っていた基礎体温が下がり始めます。ホルモンバランスが安定してくると、体調も安定する人が多いでしょう。

 

妊娠12週の変化3. つわりが治まる人も

妊娠12週を過ぎるとつわりの症状が治まり、気分が良くなってくる人が多いです。

 

妊娠12週の変化4. 体重増加

つわりの症状が治まるとともに、乳房や下半身に皮下脂肪がついてくるため、体重増加が始まる人が増えてきます。つわりの症状が治まって食べすぎてしまい、急激に体重増加しないように気をつけましょう。

 

妊娠12週の変化5. 頻尿

子宮が大きくなるのに伴い、頻尿になる人がいます。尿意を我慢しすぎると膀胱炎になる可能性もありますので、尿意を感じたら早めにトイレに行くようにしましょう。

 

妊娠12週の変化6. おりものが増加

膣内に細菌を入れないようにおりものが増加してきます。おりものシートやナプキンを使って、清潔を保つように心がけましょう。

 

 

妊娠12週ごろに意識したい過ごし方

ここからは、妊娠12週頃からの過ごし方についてお話していきます。胎児の成長に従い、妊婦さんの身体は徐々に変化していきますので、体調を見ながらできるところから取り入れてみてくださいね。

 

お腹を圧迫しない服装を選ぶ

妊娠12週を過ぎると、胎児と子宮が大きくなるのに従い、下腹部がふっくらとしてきます。これからの時期は過度に下腹部を締め付けるような下着や服は避け、ゆったりと余裕のある服装を心がけましょう。マタニティインナーやマタニティウエアは、ゴムが伸びたりウエスト調節できたりするものが多いです。妊娠初期から妊娠後期まで着られるものもありますので、長い期間使えるものがおすすめです。

 

妊娠線のケアをする

下腹部がふっくらしてきたら、妊娠線のケアをするのがおすすめです。妊娠線のケアには保湿が大切です。お風呂上がりなどに、オイルや保湿クリームなど自分の肌に合ったもので、お腹を保湿しましょう。自分が好きな香りのボディクリームを使うのも、リラックスできて良いでしょう。

妊娠により乳房が大きくなると、お腹だけでなく乳房にも妊娠線ができることがあります。胸の張りが出てきたら、乳房にも保湿ケアをおこないましょう。

 

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体重管理をしっかり行う

妊娠12週を過ぎると、つわりの症状が落ち着いてくることが多いです。この時期にはついつい食べすぎてしまい、急激に体重増加しやすいので気をつけましょう。急激に体重増加すると、妊娠線ができやすくなり、腰や膝の痛みを引き起こす原因にもなります。また妊娠高血圧症候群につながる可能性もあり、母子ともに危険な状態となる場合も。食べすぎには注意しましょう。

 

栄養面に気を付ける

妊娠中は胎児の発育のために、タンパク質・カルシウム・鉄分の摂取を心がけましょう。また妊娠中は身体を冷やさないように、温かい食べ物や生姜を積極的に取り入れるのがおすすめです。

 

アルコール・たばこを避ける

アルコールやニコチンなどの成分は、胎盤を通じて胎児に悪影響を与えるので、避けるようにしましょう。なお副流煙も同様のため、避けるようにしてくださいね。

 

薬の服用に注意する

市販薬には、妊娠中は避けたほうがよいものが数多くあります。妊娠中に飲む薬は、かかりつけの産科医に処方してもらうか、妊婦健診の時に持参して飲んでもよいか確認してから服用するようにしましょう。

 

 

《まとめ》

 

妊娠12週を過ぎると、安定期と呼ばれる妊娠16週までもう少し。まだお腹が膨らみ始めたばかりで、妊娠している実感がまだあまりない人もいるかもしれません。しかしこの時期の生活は、すでにお腹の胎児へ影響を与えています。急に生活を変えることは難しいかもしれませんが、今回お話したものの中で、できそうなものから取り入れてみてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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