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2021.11.15
なぜ臨月は眠れないの?妊娠後期の不眠の原因&解消方法
臨月に入った妊婦さんは、もうすぐ赤ちゃんに会える期待と不安が入り混じっていることでしょう。臨月でよく悩む人が多いのが、「夜なかなか眠れない」というもの。「眠いのに、眠れない」となるとつらいですよね。この記事では、妊娠後期に不眠になる原因と解消法、そして妊娠後期のおすすめの過ごし方について解説していきます。現在不眠に悩んでいる人、妊娠後期に向けて不安を解消したい人はぜひ参考にしてください。
目次
臨月の夜に眠れない理由5つ
なぜ妊娠後期から臨月になると、眠れなくなってしまうのか、理由は5つあります。
臨月の夜に眠れない主な理由
・大きくなった子宮で息苦しさを感じる
・頻尿になり、夜間も目が覚めてしまう
・胎動で目が覚めてしまう
・足がつりやすい(こむらがえり)
・不安やストレスを感じやすい
順番に解説していきます。
臨月に眠れない理由1. お腹が大きく息苦しい
妊娠後期から臨月になると、赤ちゃんはどんどん大きくなります。大きくなったお腹が胃を圧迫したり、横隔膜を押し上げてしまいます。それにより息苦しい、気分が悪いなど症状が出現することがあります。その影響で、夜間に眠りにつきにくくなります。
臨月に眠れない理由2. 頻尿で目が覚める
妊娠中はホルモンの影響で、頻尿になる人が多いです。 特に妊娠後期になると、膀胱周囲がうっ血して、よりトイレが近くなってしまいます。
また臨月には、赤ちゃんが出産に備えてだんだん下降してくるので、膀胱を圧迫します。 赤ちゃんが膀胱を圧迫することで、トイレに行ってもすぐにまた行きたい感覚が出てきてしまいます。 頻尿ですぐに起きてしまうと、長時間しっかり眠ることは難しくなります。
臨月に眠れない理由3. 胎動で目が覚める
夜に胎動が激しく感じる人が多いようです。赤ちゃんは夜間に活発に動きます。 臨月に入ると赤ちゃんはかなり大きくなっているので、お腹の中で動くと、ママの胃やお腹を圧迫します。その影響で、ママは夜眠っていてもすぐに目が覚めてしまうことがあります。
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臨月に眠れない理由4. 足がつりやすい
妊娠中は血液量が増えています。大きくなったお腹で血管(静脈)を圧迫してしまい、下半身の血液循環が悪くうっ血状態になり、足がつりやすくなります。よく動いた日や、足に負担がかかった時になりやすいとも言われています。
妊娠中は、夜間にこむら返り(腓腹筋けいれん)を起こすことが多くなります。原因は不明ですが、体重増加による腓腹筋の負担増加、カルシウム不足、運動不足や、逆に過剰運動による疲労などが考えられます。
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臨月に眠れない理由5. 不安やストレス
出産が近づくにつれて、「いつ陣痛が来るだろう」「痛いかな、大丈夫かな」と不安が増す妊婦さんが多いです。この不安やストレスも、眠れないことの原因になります。
誰でも少なからず不安はあるもの。不安やストレスがあっても、すぐに不眠になることはありません。しかし過度の緊張やストレスがあると、なかなか眠れない状態になってしまうことがあります。
臨月に眠れない時にすること!おすすめの対処方法
臨月に不眠になってしまう原因はわかっても、なかなか眠れないとつらいですよね。そんな時の対処方法を紹介します。
眠れない時は「就寝前の入浴・マッサージ」
入浴をして体をしっかり温めてから、体温が下がってくるタイミングで眠気が出てきます。就寝の2時間程度前の入浴がおすすめです。入浴することでリラックスできるので、なるべくシャワーだけで済まさず、湯船につかるといいでしょう。体を温めマッサージすることで、リラックスできるだけでなく、こむらがえりの予防にもなります。
眠れない時は「ハーブティーを飲む」
眠れないことでストレスが高まると、イライラしがちになります。カモミールティーは香りでリラックスできるだけでなく、心が不安定な時にリラックスにつながると言われています。体があたたまるので、眠る前にホットで飲むといいでしょう。
眠れない時は「カフェインを避ける」
妊娠中のカフェイン摂取は、胎盤を通過し赤ちゃんに影響があります。カフェイン摂取する場合は、一日150mg以下とされています。コーヒーやお茶、チョコレートを普段から摂取していた人は、減らすもしくは避けている人が多いでしょう。
カフェインには覚醒作用があります。もしカフェインの入ったものを飲食する場合は、就寝前に摂取することは避けましょう。
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✔【妊娠中のカフェイン制限】飲み物別の摂取量を助産師が正しく解説!
眠れない時は「リラックスできる環境に」
眠ろうと思うほど眠れなくなってしまうことは多いです。そのため寝心地のいい寝具、枕やクッションを利用する、左側を下にして眠るなど、寝やすい姿勢を見つけましょう。それでもなかなか眠れない場合は、照明やリラクゼーション音楽などを利用してみることもお勧めします。
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臨月に不眠にならない過ごし方!昼夜逆転に注意
臨月になると、なかなか夜に眠れないことも多いです。しかし夜にしっかり眠れないと、昼間に寝てしまいがち。そうなると昼夜逆転になってしまいます。ここからは、昼夜逆転を防ぎつつ、不眠にならないような過ごし方について説明します。
寝方を工夫する
臨月に眠りにくくなる原因として、「大きくなったお腹で寝苦しい」ことが多いです。そのため、なるべく楽な体勢で寝られるように体勢を工夫しましょう。具体的には、クッションや抱き枕を使用し、自分の寝やすい姿勢を探します。
この時期の妊婦さんに楽だと言われているのが、シムスの姿勢です。シムスの姿勢は、以下のように行います。
1)左側を向いて横になり、左足はまっすぐ伸ばします
2)足の間にクッションや抱き枕をはさみます
3)右足は膝を曲げて、右手もひじを曲げ、クッションや抱き枕の上になるように置きます
この方法以外でも、自分で楽だと思う寝方であればOKです。
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日中に適度な運動をする
臨月になると仕事は産休に入っている場合もあり、活動量が減っている人が多いです。日中の活動量が少ないと、なかなか眠くなりません。そのため日中に適度なウォーキングやストレッチ、散歩などの運動を取り入れましょう。
臨月には体も疲れやすい状況にあり、つい昼寝をしてしまいがちです。しかし昼寝をしてしまうと、昼夜のリズムが変わり、昼夜逆転になってしまうことも。そうならないためにも、なるべく日中に適度な運動をしましょう。
運動は出産に向けての体力づくりにも必要なので、安静にする必要がなくなる臨月におすすめです。散歩であれば1時間程度、大体毎日1万歩を目安に動くといいでしょう。
気候的に散歩など、外出での運動が難しい場合は、自宅でできるストレッチやヨガ、スクワットなどを取り入れましょう。毎日30分くらい無理のない範囲で、体調をみながら始めてください。
《まとめ》
臨月になるとお腹はどんどん大きくなり、赤ちゃんも活発に動くでしょう。胎動で寝苦しさを感じたり、すぐに目が覚めてしまうことも多いです。ある程度は仕方がないのですが、ぐっすり眠れない日が続くのはつらいですよね。自分でも気づかないうちにストレスを感じていると、寝つきが悪くなるので、なるべくリラックスしましょう。また無理に眠ろうとすると、余計にストレスになって寝られなくなることもあります。「横になって身体を休めるだけでいい」と割り切って、目を閉じて深呼吸して過ごすのもおすすめです。
※写真提供:PIXTA
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平成5年東京慈恵会医科大学卒業。
医局は慶應義塾大学医学部婦人科学教室にて研鑽を積む。
平成14年慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得し、臨床に専念。
神奈川県の大和市立病院を経てワキタ産婦人科を継承
【主な資格】
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医
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