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2023.07.26

熟練助産師が教える「魔の三週目」泣き止まない新生児の寝かしつけ技とは

産後のママが赤ちゃんと一緒に退院し、少しだけ育児に慣れてくる生後3週目ごろ。急に赤ちゃんが泣き止まなくなり、どんなに頑張ってもなかなか寝てくれず、不安になるママも多いのではないでしょうか。これは俗に言う「魔の三週目」です。ではこの「魔の三週目」とは、一体どのような状態なのでしょうか?この時期の乗り越え方、寝かしつけのコツを助産師が解説していきます。

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「魔の三週目」とは?

魔の三週目とは

 

生後3週間ごろ、どんなにあやしても赤ちゃんがなかなか泣き止んでくれず、ずっとグズグズしている時期が訪れます。これが「魔の三週目」です。

初めてのママは、なかなか泣き止まない赤ちゃんに対して、「何か病気なのかな?」「どこか痛いのだろうか?」と心配するでしょう。

 

「魔の三週目」の赤ちゃんの状態

・ずっと泣き続ける

・寝かしつけをしても昼夜問わず入眠できない

眠ったとしても何度も起きてグズグズする

・今までないほどの大きな声で泣き叫ぶ

など、その状態は赤ちゃんによって様々です。もちろんすべての赤ちゃんに起こるわけではないですが、大変多くのママがこの時期に悪戦苦闘するようです。

 

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「魔の三週目」が起こる原因

魔の三週目の原因

 

なぜ、このような「魔の三週目」が起きるのでしょうか。明確な理由は未だに解明されていませんが、以下の要因が関係しているといわれています。

 

1. 眠すぎる

赤ちゃんは眠い時も、なかなか自分で寝ることができません。「眠いなら寝ればいいのに…」とも思いますが、赤ちゃんの身体にはまだ、自然と眠る仕組みが備わっていない状態です。眠れない状態が続くと、眠すぎて「泣き続ける」という結果になってしまいます。

 

新生児が起きていられる時間は、せいぜい1~2時間程度です。この時間を超えて起きている場合は、寝ぐずりが強くなる可能性が高いでしょう。ウトウトしているようであれば、すぐに寝かしつけてあげるとよいですね。

 

2. 体内時計のずれ

大人には基本的に、昼間活動して夜休むという体内時計が整っています。しかし生まれたばかりの赤ちゃんは、昼夜関係なく寝て起きることを繰り返しています。

体内時計を整えるには、「メラトニン」というホルモンが関係しているのですが、生後3週目ごろはちょうど、メラトニン分泌が始まるかどうかという時期です。

そのためまだ体内時計が整うはずもなく、昼夜逆転してしまいます。赤ちゃんは夜中に目が覚めて、眠くないのに寝かしつけをされてぐずる、という悪循環に陥ることが考えられます。

 

3. お腹がすいた

おっぱいやミルクが欲しくて、大きな声で泣き続けることもあります。生後2~3週目は、身体的に急成長する時期です。今まで満足できていても、この時期には飲む量が急増して、これまでの量では足りなくなってしまうことがあります。

 

多くのママは、自宅には赤ちゃん用の体重計がないでしょう。赤ちゃんがどれだけ飲めたか、哺乳量を測定することができません。今までと同じ感覚で飲ませて授乳を終了すると、赤ちゃんは「もっとほしかったのに…」と大泣きすることがあります。

いつもの授乳時間が経っても欲しがる様子があれば、授乳を延長したり、授乳回数を増やしたり、ミルクの量を増やすなどして様子を見ましょう。

 

4. 胎外に出たことへの不安

生後3週間になると、赤ちゃんは胎外に出たことに気づき、不安を感じ始めるという説があります。そのため必要以上に大泣きして、不安を訴えることがあるのです。

泣いている赤ちゃんに胎内音を聞かせると泣き止むのは、このためです。きっと、胎内にいた頃を思い出して安心するのですね。

 

 

「魔の三週目」と「コリック」の違い

「コリック」とは、「黄昏泣き」とも言い、夕方に突然激しく泣き出すこと。生後6~8週間がピークとなり、原因がわからずに突然泣き始めるのが特徴です。

 

魔の三週目との違いとしては、泣き方や時間、時期が挙げられます。魔の三週目はグズグズと泣くのに対し、コリックはいきなり激しく泣き叫びます。泣く時間もコリックの方が長く、長いと3時間のように数時間単位で泣き続けるようです。

まるで痛みがあるかのように泣き始めるので、びっくりするママも多いでしょう。

 

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赤ちゃんの黄昏泣き(コリック)はいつまで続く?原因と対策【助産師】

 

 

「魔の三週目で」寝かしつけるコツ

魔の三週目という大変な時期でも、コツさえつかめば赤ちゃんをスムーズに寝かしつけることが可能です。そのコツを紹介していきます。

 

おくるみで包む

赤ちゃんは、ママのお腹の狭い空間の中で過ごしていました。そのため、おくるみで身体を包まれると安心するようです。おくるみに包んで優しい音楽をかけたり、話しかけるなどして、お互いに心地いい環境を作ってみましょう。

 

赤ちゃんのおくるみ

「シュー」という呼吸音やホワイトノイズを聞かせる

赤ちゃんはママのお腹の中で胎内音を聞いていたため、その音で落ち着くことがあります。「シュー」という呼吸音やホワイトノイズは胎内音に似ており、赤ちゃんを安心させる効果があると考えられています。

 

赤ちゃんを抱っこして歩く

赤ちゃんを抱っこして移動すると、その振動が心地よく、赤ちゃんの心拍数が下がり落ち着くことがあります。

歩くのが難しければその場で足踏みや、スクワットもいいでしょう。泣いているときは少し早め、落ち着いてきたらゆっくりとしたリズムで動かすとよいでしょう。この時、激しく揺さぶることがないように注意しましょう。

 

おしゃぶりを吸わせる

新生児期は、口に入ったものを吸うという「吸啜(きゅうてつ)反射」があります。そのため授乳ではなく、おしゃぶりを使用するママもいます。低月齢のうちにおしゃぶりを使っていても、習慣化する前にやめることができれば特に問題ありません。

ただしおしゃぶりを使用するのは、母乳育児が軌道に乗ってからが望ましいでしょう。その前におしゃぶりを吸わせると乳頭混乱を起こして、母乳を吸わなくなることがあるので注意が必要です。

 

ベビーマッサージをする

ベビーマッサージをすることで、呼吸が深くなり、眠りやすくなることがあります。おむつ替えや沐浴の際に、優しくタッチしてあげるとよいですね。

 

ベビーマッサージ

 

「魔の三週目」の乗り越え方

「今までこんなことなかったのに…」と悩む魔の三週目。どのように乗り越えればいいのでしょうか?

 

考えすぎない

「どうしてこんなに泣くの?」「もしかしたら病気?」と考えすぎてしまうこともあります。しかし赤ちゃんがこの時期に泣き続けるのには、原因がわからないことがほとんどです。

体調に問題がなければ、「こんな時期かも…」と諦めることも大切です。赤ちゃんを泣き止ませられないからといって、母親失格ということは絶対にありません。考えすぎないようにしましょう。

 

家族に頼る

赤ちゃんが泣き続けると、ママも精神的に追い詰められることがあります。特に睡眠時間が短いとなおさらです。パパや実家の両親などに頼ることも大切です。

 

産後ケアを利用する

産後にママと赤ちゃんが利用できるサービスに、「産後ケア」があります。母子で助産院や産後ケアホテル等の施設に泊まりケアを受けるショートステイや、日帰りで一日を過ごすデイケアなど、様々な施設が産後ケアを展開しています。

助産師が常駐している施設が多く、赤ちゃんを預かってもらいママはゆっくり休んだり、母乳相談や育児相談を受けることも可能です。

 

近年では、国が産後ケアに力を入れており、自治体によりますが、自治体が一部費用を負担し安価で利用できる仕組みが構築されつつあります。産後ケアを利用し、母体を休めつつ、赤ちゃんや育児に関する心配事や悩みを解決して、自宅に戻れると良いですね。

 

ファミリーサポートを活用する

周りに頼る人がいない場合は、社会資源としてファミリーサポートの活用もおすすめです。

新生児期の赤ちゃんを預けることはできませんが、沐浴の手伝いや買い物など、生活の援助をしてくれます。気兼ねなく利用しましょう。

 

気分転換する

生後3週間はまだ外出できない場合がほとんどです。好きなドリンクを飲む、音楽を聴く、家族に赤ちゃんを見てもらって仮眠をとるなど、気分転換をしてみましょう。

 

他の赤ちゃんと比較しない

魔の三週目には個人差があります。すぐに泣き止む子もいれば、3~5時間泣き続ける子もいます。

SNSなどで検索して、自分の子と比較して落ち込まないようにしましょう。あくまでも個人差があること、必ず落ち着くことを頭に入れておくと、少しは気持ちが楽になりますよ。

 

 

ママのよくある質問

「魔の三週目」にまつわる、ママのよくある質問に回答していきます。

 

Q. 魔の三週目のピークは?いつまで続く?

生後15日~20日頃に始まり、ピークは1~3日程度でしょう。その後はピタッと終わることがほとんどです。この短期間を乗り越えれば、少し落ち着いてきます。

Q. 魔の三週目の赤ちゃんの睡眠時間はどれくらい?

基本的に新生児は、3~4時間毎に目を覚まして10分ほど起きてまた眠るというサイクルです。しかし生後3週目になると、起きている時間が長くなってきます。オムツを替えてもおっぱいをあげても、グズグズする時間が増えてきます。一概に何時間寝るとは言えませんが、明らかに新生児の頃に比べて覚醒時間が増えたことがわかるでしょう。

 

《まとめ》

 

赤ちゃんがなかなか泣き止んでくれない魔の三週目は、ママもとても不安になるでしょう。必要以上に考えすぎずに、パパや実家に頼ることも大切です。魔の三週目は多くの赤ちゃんにあると理解しておくと、少し心の準備ができるかもしれませんね。

 

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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