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2023.06.26

【助産師解説】妊娠中のむくみの原因は?自分でできるセルフチェックのポイントと解消法

妊娠すると足が象のようにむくんでしまい、心配になる妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊娠中のむくみのほとんどは生理的なものですが、まれに妊娠の合併症が隠れていることもあります。今回は、妊娠中にむくむ原因について学んでいきましょう。妊娠中、特にむくみやすい妊娠中期から後期にかけて、自分でできるセルフケアの方法も助産師がお伝えします。

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妊娠中の「むくみ度」をチェックしよう

妊娠中のむくみチェック

 

妊娠中は身体が水分をため込みがちになるため、知らず知らずのうちにむくんでしまいます。特に、足は重力の関係でむくみやすい状態です。自分はどのくらいむくんでいるのか、チェックしていきましょう。

 

むくみのチェックポイント

むくみをチェックするには、いくつかのポイントがあります。

 

むくみチェック(1)着るもののサイズ確認をする

妊娠初期の妊婦さんの場合、下着や靴下のサイズを確認しましょう。この頃はまだ体型の変化があまり見られない時期です。もし靴下や下着が急にきつくなった場合、身体がむくんでいる可能性があります。

身体に合っていないものを身に着けると、しめつけられて血行不良になってしまいます。定期的にサイズの見直しをしていきましょう。

 

むくみチェック(2)姿勢の確認をする

妊娠中期から妊娠後期の場合は、身体の反り具合を確認しましょう。妊娠中はホルモンバランスの変化によって反り腰になり、赤ちゃんを守ろうと、自然にお腹をつき出しがちです。

反り腰になると、重心の位置が前となりつま先に乗りやすくなるため、前ももや、ふくらはぎの筋肉に負担がかかります。すると筋肉が固まって血の巡りが悪くなり、むくみを引き起こしてしまいます。一度鏡の前で姿勢のチェックをする、あるいは助産師に見てもらいましょう。

 

妊娠中の部位別むくみの注意ポイント

部位別に、むくみの注意ポイントを紹介していきます。

 

足のむくみ

足は心臓から遠い位置にあり、流れが悪くなりやすいです。また重力の関係で水分が溜まりやすく、一番むくみやすい部位でもあります。足がパンパンになって歩きにくく、靴が入らなくなる、靴下の跡がくっきりとつくなどします。

一番負担がかかる下半身は特に、夕方に症状が現れやすいです。立ちっぱなし、座りっぱなしなど、動かずにじっとしている時間が長いほど、むくみが現れやすくなります。

 

静脈瘤

静脈瘤は、子宮が大きくなることで足の血液が心臓に戻りにくくなり、足に血液がうっ滞する(=むくむ)ことが原因の一つと言われています。加えて、妊娠すると分泌される女性ホルモンが、血管を拡張させたり、収縮を抑制させたりする働きがあるため、足の静脈が拡張して静脈瘤になりやすくなると言われています。

 

手のむくみ

手に違和感があり動かしにくい場合は、手がむくんでいる可能性があります。血流が悪く、細部まで血液が渡りにくくなっている状態です。症状は起床時に多いでしょう。

指輪が抜けなくなる可能性もあります。妊娠30週あたりには、指輪などの装飾品をはずしておきましょう。

 

妊娠中のこんなむくみは注意が必要!

顔面がむくんだら、妊娠高血圧症候群などの病気が隠れていることがあります。基本的に、重力の観点から顔がむくむことはありません。

もし顔がむくんでしまう場合は、心臓疾患や腎臓病などの基礎疾患、妊娠合併症の可能性がありますので、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。

 

 

妊娠中はなぜむくむ?浮腫の原因

むくみの原因

 

ここで、妊娠中のむくみの原因と特徴について紹介します。

 

妊婦さんがむくみやすい原因

妊婦さんがむくむ原因はいくつかあります。

 

ホルモンバランスの変化

妊娠すると、身体のホルモンバランスが急激に変化します。特にプロゲステロンというホルモンは、妊娠を維持するために欠かせないもの。基礎体温を上げ、赤ちゃんに必要な栄養や水分を身体の中にためこむため、むくみが生じやすくなります。

 

血液量の増加

妊娠中は、赤ちゃんに必要な酸素や栄養素を届け、出産時の出血に備えるため、血液量が増加します。身体に水分をため込む必要があるため、余分な水分によってむくみが発生します。

さらに子宮の増大により、下肢の血管が圧迫されて血液循環が悪くなり、下肢に血液が溜まってむくみやすくなります。

 

筋力の低下

妊娠中は非妊時と比べ、運動量が低下しがち。筋力が低下する傾向にあります。筋肉は血液を循環させるためのポンプ作用として、非常に重要です。筋肉が減ることで必然的にポンプ作用が低下し、むくみが生じやすい状態となります。

 

妊娠合併症

妊娠に伴う合併症によって、むくみが生じることがあります。妊娠高血圧症候群は、血管の攣縮などが原因で血圧が上昇しますが、むくみや頭痛、吐き気、視力低下など起こることがあります。

もしむくみだけでなく他の身体的な症状がある場合は、この病気の可能性がありますので、注意しましょう。

 

妊婦さんがむくみやすい時期

妊娠中は、全期間を通してむくみやすいですが、特に注意が必要なのは妊娠中期以降です。子宮がさらに増大し、下肢の太い血管を圧迫します。結果として、下半身から心臓に戻る血液のポンプ作用が低下し、むくみやすい状態となります。

 

むくみが体重増加に与える影響

妊娠中の体重増加に悩む人は多いでしょう。目安として1週間に500g以上の体重増加がある場合は、むくみが原因かもしれません。食事量に注意を向けると同時に、むくみの観察もしてみましょう。

 

むくみやすい妊婦さんの特徴

同じ体勢で長期間過ごすことが多い人、つまりデスクワークや立ち仕事などの妊婦さんは注意が必要です。また冷え性や運動不足の妊婦さん、高齢妊婦さんも注意が必要です。筋肉量の低下や血液循環の流れが悪い場合は、むくみが生じやすくなります。日ごろから身体を動かす習慣のある妊婦さんは、あまりむくみが気にならないかもしれませんね。

 

 

自分でできる!妊娠中期~後期のむくみの予防&解消

セルフケアによって、むくみの予防と解消が可能です。毎日続けることで効果が現れてきますので、短時間でもケアを行ってみましょう。

 

むくみのセルフケアのマッサージのポイント

セルフケアのポイントとして押さえたいのが、以下の4つです。

 

・強く押しすぎずに、「痛気持ちよい」加減をみつける

下から上へ心臓に向かって血液を流すイメージで

・ツボの正確な位置を知ることは難しいため、深く考えすぎない

・ツボは3秒押しては離すことを心がける

 

ただ単にさする、または押すだけでは効果を得ることができません。ポイントに注意して、効率よくマッサージしていきましょう。

 

部位別むくみのセルフケアの方法

上肢・下肢にわけてできるセルフケアを紹介していきます。

 

上肢のむくみケア

手首や首を回し、さらに肩回しをして、首から肩の筋肉をほぐしてあげましょう。むくみを解消する上で大切なのは、血液循環を促すことです。簡単なストレッチや運動で筋肉をほぐしていきましょう。

 

むくみ解消1

 

下肢むくみケア

重力の関係で一番むくみやすい、下肢のセルフケアは重要です。

土踏まずのやや上、足の指を曲げたときにくぼむところに湧泉というツボがあります。またうちくるぶしの最も出っ張ったところから、指4本分上にある三陰交を押すことで血流がアップします。ツボを押しつつ、下から上へさするようにマッサージするとよいでしょう。

むくみ解消2

 

マッサージのベストなタイミング

マッサージは入浴しているときがベストです。湯船につかることで身体があたたまり、血流もよくなっていますので積極的に行いましょう。

身体の冷えはよくありません。シャワーだけで済ませず、入浴してしっかりと身体を温めましょう。

そしてその後は、寝る前1分間でも忘れずにマッサージをすると効果的です。忘れないようにタイミングを決めるとよいですね。

 

 

妊娠中のむくみは食事でも改善できる?

もちろん食事の改善によっても、むくみ解消は可能です。水分制限は逆効果なので、水分は積極的に摂りましょう。そして塩分控えめを心がけましょう。厚労省は、妊婦さんの1日の塩分摂取量を6.5g未満に定めています。

また、水分を排出する効果のある、カリウムを意識して摂るようにします。カリウムは野菜や果物、イモ類や大豆に豊富に含まれていますので、日々の食事に取り入れていきましょう。

 

 

妊娠中にやってはいけないむくみ対策

むくみをとりたいがために、間違った対策をしないようにしましょう。

 

強くマッサージをしない

強いマッサージは、肌や筋肉を傷つける可能性があります。基本的には、優しくさする程度で行いましょう。むくみをとりたいがために、強く押さえつけるのは逆効果です。

 

お風呂のお湯の温度に気を付ける

38~40℃くらいが血液循環を良くするので適温です。42℃以上の熱いお湯は血圧を上げ、貧血や脱水、気分不良などを引き起こす可能性があります。

 

自己判断で漢方薬をのむ

漢方も薬ですので、種類によっては赤ちゃんの成長に影響を及ぼす可能性があります。自己判断で、血液循環を促す漢方を飲むのは危険です。必ず主治医に確認しましょう。

 

 

《まとめ》

 

妊娠中にむくんでしまうのは、仕方ないことでもあります。できるだけセルフケアを取り入れて、すっきりと過ごしたいですね。意識してできるだけ毎日続けましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

妊娠後期になって足が疲れ、だるくてしかたない

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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