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2021.01.11

高齢出産のリスクとは?【産科医】妊娠中の過ごし方の注意

高齢出産では、赤ちゃんや母体にどのようなリスクがあるのでしょうか?35歳以上のママが元気な赤ちゃんを産むために、妊娠中に出来ることや、妊娠期間の過ごし方で注意するポイントをお話しします。

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35歳以上の【高齢出産】はどんなリスクがある?

高齢出産

 

高齢出産とは、女性が35歳以上で出産することです。日本産婦人科学会では、35歳以上の初産婦を「高年初産婦」と定義しています。女性の社会進出や晩婚化により、初産年齢は年々上昇しています。30代後半から40代で初めて出産する人は全体の30%くらいで、珍しくありません。

 

高齢出産の問題としては、年齢による様々な病気の発症リスクが上がっています。そこに妊娠という要素が加わることで、合併症のリスクが高くなることが挙げられます。

また、卵子が老化することで妊娠しにくくなることも問題となります。妊娠したとしても、染色体異常や流産、妊娠合併症のリスクが高くなります。

 

 

【高齢出産】母体と赤ちゃんへのリスクとは

高齢出産によるリスクには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは「赤ちゃんの遺伝子疾患に関するリスク」「妊娠中のリスク」「分娩のリスク」「産後のリスク」の4つについて説明します。

 

高齢出産のリスク1. ダウン症など遺伝子疾患

高齢出産では、卵子が老化することで染色体の形が正常とは異なり、遺伝子疾患(染色体異常)を発症するリスクが上昇します。代表的な病気はダウン症(21トリソミー)です。20歳代ママのリスクが1/1700に対し、40歳代ママは1/100となり、著しく高くなります。

他には18トリソミー開放性神経管奇形などがあります。

 

現在では出生前診断といって、エコーによるスクリーニング検査や血液検査(NIPT)で染色体異常の有無を調べたり、羊水検査では染色体異常が確定診断できるようになりました。しかし、これはママと赤ちゃんの一生を左右する検査ですから、家族や医師とよく話し合い慎重に考える必要があります。

 

高齢出産のリスク2. 流産・妊娠中の病気

流産のリスクは、40歳以上で50%ほどと言われています。流産の原因のほとんどは染色体異常と考えられているため、高齢になるほど流産の確率は上がります。

 

年齢と共に動脈硬化が進み、それによって妊娠高血圧症候群に罹患する確率が高くなります。

妊娠高血圧症候群とは、ママの血圧が上昇することで痙攣発作を起こしたり、脳出血を起こすと意識不明など命の危険に関わる病気です。ママの高血圧が続くことで胎盤への血流が弱くなり、赤ちゃんが育たなくなったり、死亡するケースもあります。

 

他には、妊娠糖尿病、切迫早産、前期破水、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、子宮内胎児死亡といった産科合併症は、年齢と共にリスクが高まります。

 

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高齢出産のリスク3. 分娩時のトラブル

分娩において、産婦死亡の確率は年齢によって高くなることがわかっています。日本では、40歳代のママは20歳代前半のママに比べて、死亡率が20倍にもなるという報告があります。

遷延分娩()や分娩停止となることも多く帝王切開になる率や、分娩時と分娩後の出血の増加、産道破損なども、年齢と共に上昇します。

 

※「遷延分娩」とは規則的な陣痛がきてから、初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかっても生まれないこと

 

高齢出産のリスク4. 産後の不調

妊娠高血圧症候群は産後に発症することもあり、年齢が高くなるにつれてそのリスクも上がります。また、高齢で出産したママは産後の体力回復の時間も長くかかり、育児をする体力がないという方も多いです。

最近では、高齢出産と産後うつの関係も報告されています。高齢出産と言われる時期は、元々閉経が近づき更年期障害も出てくる頃です。女性ホルモン分泌の乱れは、産後うつを発症しやすい原因になります。

 

 

高齢出産ママの妊娠中の過ごし方

以上のように、高齢出産には様々なリスクがあるということはしっかり理解した上で、ママと赤ちゃんが健やかに妊娠期を過ごせるようにしたいですね。

 

葉酸&オメガ3脂肪酸でリスクを下げる

葉酸は、赤ちゃんの器官形成のために摂取すると良いと言われています。妊娠前から妊娠初期の大切な時期に、サプリメントや薬で摂取すると効率が良いです。

オメガ3脂肪酸は、ママの免疫力アップ、早産のリスクを下げたり、産後うつを緩和したりする効果があると言われています。くるみなどのナッツ類や、脂肪の多い魚に多く含まれていますので積極的に摂るといいでしょう。

 

運動と食事でしっかり体重管理

妊娠期の体重管理は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、様々な産科合併症の予防として大切です。妊娠前の体重が標準の場合は+712kg、やせ型の人は+912kgで出産に至るようにします。肥満型の人は、かかりつけの産科医と相談しましょう。適切な体重管理をするために、適度な運動とバランスの良い食事に気をつけましょう。

 

<脂質、コレステロール、塩分、糖質を控えた食事>

青魚や大豆のタンパク質を中心に、塩分控えめのバランスの取れた和食を心がけましょう。スイーツは控えて水分摂取を多めに、鉄分やミネラルを摂取するよう心がけましょう。

 

<分娩や産後のための体力作り>

分娩や産後に必要な筋力や柔軟性を、妊娠期につけていきましょう。ウォーキングやマタニティヨガ、マタニティスイミングなど、自分に合った運動を無理せず続けられると良いですね。

状況によっては運動しない方が良いママもいますので、医師に確認してから運動を始めることをお勧めします。お腹の張りや痛みがあった場合はすぐに運動をやめて安静にし、出血があった場合はすぐにかかりつけの産科を受診しましょう。

 

妊婦健診をしっかり受ける

妊婦健診では、赤ちゃんとママの健康状態を細かく診ています。合併症の早期発見、早期治療につながりますので、妊婦健診はしっかり受けましょう。

 

 

《まとめ》

 

高齢出産には様々なリスクがありますが、しっかりと理解をしたうえで、健やかな生活に努めましょう。妊娠中はバランスの取れた食事、適度な運動を心がけて妊婦健診を欠かさず受診し、元気な赤ちゃんを出産できると良いですね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

40歳代で自然妊娠、どんな生活を送る?

30代後半で初産、第二子は望まない方が良い?

             

1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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