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2023.06.05

【理学療法士】妊娠中の腰痛の原因・マッサージで緩和する方法

妊娠すると悩まされるひどい腰痛。「どうにかしたいけど、どうしていいのかわからない」という妊婦さんも多いのではないでしょうか。そこで、今回は妊娠中の腰痛について、理解を深めていきましょう。腰痛の原因や対策、つらい痛みの緩和方法を理学療法士が紹介します。

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妊娠中のひどい腰痛はなぜ起こる?

 

妊娠中のひどい腰痛の原因は、大きく3つあります。

 

腰痛の原因1. リラキシンというホルモンによる影響

リラキシンというホルモンは妊娠初期から分泌され始め、靭帯や恥骨結合部を柔軟にして、出産に備える役割があります。出産に備えて非常に重要な働きをする、なくてはならない存在です。しかしこれにより骨盤を支える靭帯や腱、筋肉などが緩んでしまい、腰痛を引き起こすのです。

 

腰痛の原因2. 股関節や猫背で胸椎が硬い

股関節や猫背で胸椎が硬い(骨盤や腰の上下の関節が硬い)状態の人が妊娠すると、靭帯のゆるみの影響で、より骨盤や腰に負担がかかります。そして腰痛症状が強くなる可能性があります。

 

腰痛の原因3. インナーマッスルが伸ばされる、または弱い

インナーマッスルが伸ばされる、または弱い(骨盤を支える筋肉が弱い)のも原因のひとつ。お腹が大きくなると、腹筋のインナーマッスルが伸張され、骨盤を安定化させる働きが弱くなります。腰部の筋肉で過剰に支えることになるため、腰痛を生じやすくなります。

 

 

【妊娠期別】妊娠中のひどい腰痛の原因

妊娠時期によっても、腰痛の原因は変わってきます。

 

「妊娠初期」の腰痛はホルモンの影響

妊娠初期は、妊娠を維持しようと様々なホルモンが分泌され始めます。リラキシンの他にも、プロゲステロンというホルモンの量が増えていきます。プロゲステロンは基礎体温を上げ、赤ちゃんが育ちやすい環境を整えるために、非常に重要な役割を果たすもの。

しかしこのホルモンも関節を緩める作用があり、腰痛を引き起こすことがあります。お腹がまだ出ていないのに「何となく腰が重くて痛い」場合は、これらのホルモンが原因の可能性が高いでしょう。

 

「妊娠中期」は大きくなったお腹による腰痛も

妊娠中期に入ると、少しずつお腹が大きくなってきます。重心が前にかかり、バランスをとるために背中が反ってしまうため、この姿勢の変化が腰痛の大きな原因となります。もちろんホルモンの影響もこれに加わりますので、腰痛が起こりやすい時期です。

 

「妊娠後期」の腰痛はママの体重増加も影響

ホルモンの影響、姿勢の変化によって、妊娠中は腰痛が生じやすいもの。妊娠後期はそれに加えて、妊婦さん自身の体重も増加してきています。お腹が大きくなることで、腹部のインナーマッスルが過剰に伸ばされます。するとお腹を腰で支えることになり、腰にかかる負担が大きくなります。

また、もともと猫背の人もいますが、大きくなったお腹に対して、猫背姿勢でバランスをとり始める人も増えます。この場合、胸椎部の硬さが増加していきます。

 

さらに子宮の増大により、下大静脈を圧迫し、血流が悪くなります。血流が悪くなると冷えが生じ、腰痛を引き起こすこともあります。妊娠後期はさらに腰痛になりやすい状態といえるでしょう。

出産が近づくと、身体はその準備を始めます。恥骨結合も緩んでいくため、恥骨が痛くなることもあります。

 

 

妊娠中の腰痛の7つの対処法

妊娠中の辛い腰痛の対処法には、以下のようなものがあります。

 

・運動する

・腰痛対策グッズを使用する

・姿勢や寝方に気を付ける

・負担のかかる行動を避ける

・身体をあたためる

・体重管理に気を付ける

・痛みのない心地よいと感じる程度のストレッチを行う

※妊娠中の過度なストレッチはやめましょう。特に股関節周囲のストレッチは、恥骨結合や仙腸関節の痛みを助長することがあるため、注意が必要です

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1. 運動をする

運動により血液循環がよくなり、腰痛緩和に繋がります。ただし医師に相談したうえで、安全に運動をしましょう。散歩やマタニティスイミング、ヨガなどの有酸素運動が効果的。体力維持や気分転換にもなりますので、、日常生活で積極的に取り入れていきましょう。

 

2. 腰痛対策グッズを使用する

腹筋のインナーマッスルが弱い人は、妊娠中期から後期にかけて、骨盤ベルトやマタニティーガードルがおすすめ。これらの使用で腰への負担を軽減できるので、妊婦さんにはぜひ持っておいてほしいグッズです。様々なタイプがあるので、自分に合うものを選びましょう。

 

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3. 姿勢や寝方に気を付ける

お腹が大きくなると、重心の変化によって反り腰になったり、骨盤が後に倒れたりしがちです。腰の負担を軽減するためにも、背筋をまっすぐにするように心がけましょう。寝るときは仰向けではなく、横向きやシムス位がよいでしょう。足の間に枕を挟んでみて、自分が楽になる体勢を探しましょう。

 

シムス位

 

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4. 負担のかかる行動を避ける

重いものを持つ、前かがみになる、階段の上り下りなどの行為は、腰に負担がかかります。デスクワークや長時間立ちっぱなしの仕事も、腰痛の悪化につながります。長い間同じ姿勢で過ごすことがないように、気をつけましょう。休憩時間にストレッチをして、適度に姿勢を変えるとよいですね。

 

5. 身体をあたためる

身体をあたためることで血流がよくなり、腰痛が軽減します。おすすめなのは、38℃程度のぬるま湯にじっくりつかること。身体がじんわり温まって代謝もよくなり、気分転換にもつながります。

 

6. 体重管理に気を付ける

急激な体重増加は、腰痛の原因になります。適切な体重増加を守りつつ、体重が急激に増えないように気をつけましょう。

 

7. マッサージやストレッチをする

マッサージやストレッチなどで、身体をほぐすのもおすすめです。血流がよくなり、筋肉もほぐれることで腰痛緩和が期待されます。

 

 

妊娠中の腰痛を緩和するストレッチ・マッサージ方法

妊娠中の辛い腰痛、どうにかしたいですよね。ここでは、腰痛を緩和するストレッチ・マッサージ方法を紹介します。

 

腰痛緩和ストレッチ

腰痛緩和に効くストレッチです。テレビを見ながら、音楽を聴きながらなど、リラックスした状態で行うことが大切です。

 

【四つん這いストレッチ】

腰痛がある場合には、腰や背中の筋肉を伸ばしてあげましょう。

四つん這いストレッチ

 

1. 床に両手と両膝をついて、肩幅に開いて四つん這いになります。

2. ゆっくりと息を吐きながらお臍をのぞきこむようにして、頭を中に入れて背中を丸くしましょう。

3. 息を吸いながら背中をそらしていきます。

4. 息を吸いながら1に戻って深呼吸をしましょう。

5. 1~4までを1~3回行います。

 

1日1回、1分ほどを目安に行いましょう。

 

 

【腹部のインナーマッスルトレーニング(腹式呼吸)】

伸ばされた腹部のインナーマッスルトレーニングで、最も低負荷なのが腹式呼吸です。

腹式呼吸

 

1. 両膝を立てて仰向けになります。

2. ゆっくりと息を吐きながら下腹部を凹ませます。次にゆっくりと息を吸いながらお腹をふくらませます。

3. 腹式呼吸10回を1~2セット、朝晩行いましょう。

 

お腹に手を当てて、お腹の張りが起きていないかどうか確認します。また赤ちゃんが元気に動いているか、お腹の動きを感じながらゆっくり行いましょう。もしお腹の張りがある時は、横向きになり、同様にお腹に手を当てながら行うと良いでしょう。

 

腰痛緩和マッサージ

腰痛緩和に有効なマッサージです。自分でできない内容もあるので、パートナーにマッサージしてもらうとよいでしょう。

 

【おしりマッサージ】

ソファやベッドに横になり、パートナーは妊婦さんの背中に回ってもらいます。両手でおしりを軽く押すようにして、マッサージしてもらいましょう。腰からおしりにかけての筋肉を、しっかりほぐすのがポイントです。

 

 

【内股のマッサージ】

ソファやベッドに横向きになります。パートナーは手の平全体で、妊婦さんの恥骨に近い方の内股をゆっくりと軽く揉みましょう。1分ほど続け、反対の内股も同様に行います。

内股の筋肉をほぐすことで、股関節が伸びて腰痛緩和につながります。

 

 

妊娠中の腰痛がひどい!病院はいつ・どこを受診?

腰痛には個人差がありますが、ひどい場合は日常生活に支障を及ぼします。家事ができない、起き上がれない、上の子の面倒が見られない時は、まずかかりつけの産科医に相談しましょう。

整形外科や整骨院のほうがいいと思いがちですが、もしかしたら子宮収縮からきている腰痛かもしれません。妊娠によるトラブルなのか、ただの腰痛なのか、その鑑別を行う必要があります。まずは産婦人科を受診しましょう。必要であれば、整形外科などへの紹介状を書いてもらえるでしょう。

 

 

《まとめ》

 

妊娠中の辛い腰痛は、どうにかしたいもの。いつ治るのか、何かいい方法はないかと困りますね。腰痛の原因は、妊娠によるホルモンバランスの影響や姿勢の変化、筋肉のこわばりによるものです。まずはストレッチやマッサージで、セルフケアを行ってみましょう。もし日常生活に支障が出るような場合は、かかりつけの産科医に相談してみてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

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2015年日本理学療法士協会のウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門として発足。性差医療の視点から健康問題を捉え、その症状や生活の質の改善につながる理学療法構築と、普及、教育を目指し活動している。

2021年より日本理学療法学会連合日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法研究会に改称。

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