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2021.12.29
妊婦の【悩み別】楽な寝方!助産師おすすめの「シムス位」を動画で解説
妊娠すると今までと同じ姿勢では寝つきにくい、と感じる人もいるでしょう。妊娠期間によって楽な姿勢というのは変わり、人によっても感じ方が異なります。この記事では、多くの妊婦さんが楽に感じるお勧めの寝方、姿勢を紹介します。なかなか寝つけないと悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
自分でどの姿勢がリラックスできるか、積極的に探しておきましょう。お産の場面では陣痛の合間に体力の温存ができたり、ママと赤ちゃんへの酸素供給を維持でき、安産にもつながります。
目次
妊娠中の寝方は仰向けでもいいの?
妊娠中に仰向けで寝てもいいのか、疑問に思うかもしれませんが、基本的に妊婦さんが楽だと感じれば問題はありません。お腹が大きくなるにつれて子宮の圧迫を受けるので、後期の妊婦さんにとっては、あまり楽な姿勢ではないかもしれません。
仰向けで寝ている時に以下のような症状が出た場合は、体勢を変えましょう。
・お腹が張る
・気分が悪くなる
・血の気が引くような感じがある
・腰痛がある
これらの症状が出た場合は、ほかの楽な寝方を探してみましょう。特に妊娠中期以降は、子宮が背中側にある大きな血管を圧迫してしまうため、「仰臥位低血圧症候群」になる危険性があります。
妊婦さんが注意すべき「仰臥位低血圧症候群」とは
「仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群」とはその名の通り、仰向けの姿勢により大きくなったお腹が大静脈を圧迫して血流を妨げ、低血圧になることです。少し休もうと横になる、エコー検査で少しの間仰向けになるだけでも、誰にでも起こることがあります。
このような状態になると血流が停滞することによって、気分が悪くなったり、吐き気がしたり、脈が速くなったりという症状が出現します。胎児への血流も低下するため、上記の症状を自覚する際は、我慢せずに体勢を変えることが大切です。
もし仰臥位低血圧症候群になった場合は、左側を向き側臥位になりましょう。大静脈は体の右側にあり、大きくなったお腹が圧迫してしまっているので、左側を向くことで圧迫を解除することができます。
【妊娠期別】妊婦さんのおすすめの寝方
「妊娠の時期に応じておすすめの寝方はあるのか?」と疑問に思う人もいると思います。ここからは時期に応じた寝方を解説します。
妊娠初期の寝方
妊娠初期はまだお腹が大きくなる前の時期なので、これまでの生活で自分が眠りやすい寝方で問題ありません。仰向けでもうつ伏せ寝でも、横向きでもOKです。ただ、妊娠初期はつわりで吐き気がある人もいるので、横向きで寝るのが寝やすいかもしれません。
妊娠中期・後期の寝方
妊娠中期以降はどんどんお腹が大きくなってくるので、うつぶせ寝はお腹を圧迫してしまい、難しくなるでしょう。うつ伏せの姿勢になりたいときは、胸でバランスボールや大きなクッションを抱き、お腹の圧迫を避けながら背中を伸ばすと良いでしょう。また仰向けも腰が痛くなり、難しいことが多いです。
特に妊娠後期になると、寝返りすることもしんどいことが多いので、横向きもしくはシムス位がおすすめです。シムス位は後ほど動画付きで解説します。
おすすめ情報
背部痛・腰痛のある妊婦さんにおすすめの寝方
妊娠中は大きくなってくるお腹を支えるために、妊娠前と違う場所に負担がかかります。そのため、背中や腰などに痛みが出てくる人が多くいます。背中や腰が痛いときにお勧めの寝方をご紹介します。
背中が痛い時の楽な寝方
背中が痛い時には仰向けに寝る方が、体圧が分散されるためよいのですが、お腹が大きくなってくるとどうしてもしんどくなってしまいます。仰向けでも体調が悪化せず、しんどくない場合は仰向けに寝るようにしましょう。
もし仰向けがしんどい場合は、横向きになりましょう。その時はクッションを足の間にはさみ、楽な姿勢になり横向きに寝ます。ずっと同じ姿勢だと、背中以外の場所に痛みが出てくる可能性があるので、体の向きは適度に変えてください。
背中が痛い場合、まずは自己判断せずにかかりつけの産科医に相談し、整形外科などを受診するようにしましょう。
腰が痛い時の楽な寝方
妊娠中に腰が痛くなる原因として最も多いのは、お腹への負担を軽減しようと反り腰になることです。反り腰になると、普段使わない筋肉への負担がかかり、腰痛が起きやすくなります。
反り腰が原因と考えられる場合は、仰向けの状態で腰に小さめのクッションやバスタオルを丸めたものを置き、背中が自然なS字カーブになるように調整します。そうすることで、背中や腰への負担が軽減されます。腰が痛い場合は、横向きになってもいいですし、バスタオルやクッションで調整し仰向けに寝てもいいでしょう。
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恥骨痛が強い時の楽な寝方
恥骨の痛みがある時は、仰向けで寝ると恥骨周りの血流が悪化してしまい、痛みが強くなることが多いです。そのため、仰向けで寝る場合は足を閉じて膝を立てて、膝の裏にクッションを置き横になるといいでしょう。横向きに寝る場合は、膝の間にクッションをはさむと恥骨の痛みが強くなりにくいです。
座る時にはあぐらをかいて座ったり、こまめに姿勢を変えたりしましょう。恥骨痛は以下のような方法で改善することがあります。
・骨盤ベルトを使って固定する
・姿勢を改善する
・ストレッチをして、しっかり伸ばす
・長時間同じ姿勢で座り続けない
痛みが強く日常を過ごすことが難しい場合は、無理をせずかかりつけの産科医に相談するか、整形外科を受診しましょう。
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むくみが強い時に楽な寝方
妊娠中は赤ちゃんへしっかりと栄養・酸素を送る必要があるため、妊娠前よりも血液量が増加します。そして妊娠中はホルモンの影響もあり、むくみが強くなります。むくみは特に妊娠中期以降、下半身に出やすい症状です。
むくみが強いときは、足を心臓より少し高い位置にあげて寝るようにします。クッションや枕、布団で高さを調整してください。それでも改善しない場合は、着圧ソックスの使用もおすすめします。
胃もたれがある時に楽な寝方
妊娠中はホルモンの影響で、子宮だけでなく胃や腸の筋肉の動きが悪くなります。そしてお腹がどんどん大きくなる妊娠後期では、大きくなったお腹が胃を圧迫し、食後に胃もたれがしたり、逆流性食道炎のような症状があったりします。
食後すぐに横になることはおすすめしませんが、食事から時間が経っていても、胃もたれのような症状がある場合は横になってお腹を少し上にあげましょう。背中の後ろにクッションや枕を入れて横になります。仰向けで寝るとさらに気分が悪くなることがあるので、横向きで寝るようにしましょう。
【動画】臨月の妊婦さんでも楽な寝方「シムス位」を解説
妊娠中の楽な姿勢としてよくおすすめされる「シムス位」。どんな姿勢なのかを解説します。文字だけだとわかりにくいところもあるので、ぜひ動画も合わせて参考にしてください。
シムス位の注意点
シムス位の姿勢は、お腹が大きくなる妊娠中期以降は楽なことが多いです。しかしずっと同じ姿勢だと疲れますし、しんどくなってしまいます。体の向きを変えるときには、基本的に自分が楽だと思う姿勢でいいのですが、仰臥位低血圧症候群にならないよう注意しましょう。
もし仰向けになる場合は、右腰の下にクッションを置いて、大静脈を圧迫しないような体勢にするといいでしょう。
■同じ姿勢で寝ないようにしましょう
シムス位とは負担が少なく、楽な姿勢。ですが毎日同じ姿勢でいると、恥骨痛や腰痛など他のマイナートラブルを引き起こす原因になります。人により楽な姿勢はあるでしょうが、同じ姿勢で長時間過ごさないようにしましょう。同じ姿勢で横になっていると、体の軸が歪んでしまいます。体の軸が歪むと痛みが出てくることが多いです。
それでもどうしても姿勢を変えるのがつらいという場合は、バスタオルを使用する方法をおすすめします。バスタオルの厚さは好みによって、自分に合ったものを調整してOKです。
・バスタオルを長細い筒状になるように、くるくると丸めます
・腰から股関節にかけてタオルを持ってきて、足の付け根にバスタオルを巻き、ボトムスで固定します
この方法だとどの向きで寝ても体の軸が歪まず、真っ直ぐになります。そのため、恥骨痛や腰痛などが起こりにくいのです。姿勢を変えるのがつらい場合でも、この方法なら簡単にできるので、実施してみてください。
《まとめ》
妊娠中はどんどんお腹が大きくなり、妊娠前とは違う姿勢にならないとなかなか眠れないこともあります。体勢を変えても寝つけないこともあるでしょう。症状や妊娠時期に応じておすすめの姿勢はありますが、人によって楽だと感じる姿勢は違います。自分が楽だと思う姿勢で過ごすようにしてください。もし自分で体勢を変えるだけでは難しいという場合は、クッションや抱き枕を使って調整するといいでしょう。
妊娠中は睡眠をしっかりとることが赤ちゃんのためにも、ママ自身の体にとっても大切です。ぜひ色々な方法を試しながらリラックスして休息をとってくださいね。
※写真提供:PIXTA
監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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