マタニティマークとは?つけるべき?

まず、マタニティマークの歴史や目的を紹介します。
マタニティマークは厚生労働省が作成
マタニティマークの歴史は比較的新しく、2006年に厚生労働省が作成しました。その目的は、妊娠・出産に関する周囲からの理解、公共の場における妊産婦に対する配慮、妊産婦に優しい環境づくりの推進です。
妊娠中であることを周囲に伝えると、公共の場での配慮を受けやすくなり、妊産婦さんが安心・安全に過ごせるということです。
マタニティマークは必要?
マタニティマークをつけることで、安心して公共交通機関を利用できます。妊娠中は体調の変化が起きやすく、特につわりの時期は急に吐き気が襲ってきたり、めまいやふらつきを起こしたりします。動く車内では、座っている方が安心して快適に過ごせますね。
マタニティマークをつけておくと、バスや電車などで席を譲ってもらいやすいです。また飲食店では、禁煙席の案内やクッションの貸し出しなどの、配慮を受けやすくなるでしょう。
また、妊娠中は何が起こるかわかりません。急な出血や腹痛、破水など、トラブルが突然起こる可能性があります。そのような緊急時にマタニティマークをつけていれば、周囲の対応が変わってくるでしょう。お腹が大きくなってからマタニティマークをつける人が多いですが、お腹が目立たない妊娠初期こそ、このような配慮があると安心です。
妊娠初期は流産の可能性がある、非常にデリケートな時期。周囲に妊娠を知られたくないという思いから、マタニティマークをつける人は少ないといわれますが、状況によってはつけることも検討しましょう。安心して外出できるように、妊婦さん本人が納得できるつけ方を選んでくださいね。
マタニティマークをつけている妊婦さんの割合
実際にマタニティマークをつけている妊婦さんは、どのくらいいるのでしょうか。
2020年に行われた調査では、外出時にマタニティマークをつけている人は82.5%、つけていない人は17.5%という結果になりました。※かなり高い確率で、外出時にマタニティマークをつけていることがわかりますね。
マタニティマークをつけている妊婦さんは、周囲に何らかの配慮を求め、緊急時に対応してほしいと思っていることでしょう。しかしながら、およそ17%の妊婦さんは、何らかの理由でマタニティマークをつけていない現状が明らかになっています。
(※妊婦フレンズパパ調べ)
【先輩ママ500人に聞く】マタニティマークいつからつけた?
マタニティマークをつけたという先輩ママ約500人に調査した結果、つけ始めた時期は以下のようにわかりました。
(※まなべび調べ)
妊娠初期(妊娠2~4ヶ月)ごろからつけたママが43%となり、最も多いようです。
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- とても嬉しくて、妊娠がわかってすぐつけた!
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- 電車やバスを毎日利用するので、何かあった時に妊婦だと分かってもらうため、妊娠初期からつけた。
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- 職場では安定期になるまで妊娠報告をしていなかったので、それまでは買い物などの時のみつけていた。
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- 貧血で倒れたことがあり、マタニティーマークがあって助かった!
マタニティマークはどこでもらえる?
妊婦さんとお腹の赤ちゃんを考えると、妊娠がわかったら早く身に着けてほしいマタニティマーク。それは、自分自身と赤ちゃんを守るものだといえるからです。では、マタニティマークの受け取り方法や種類について、詳しく見ていきましょう。
マタニティマークの配布場所と受け取り方法
妊娠の判明後、胎児の心拍が確認でき予定日が確定したら、産婦人科医から妊婦さんに対し、自治体の保健センターに妊娠届を提出するよう話があります。妊婦さんは各自治体の保健センターで、妊娠届を記入・提出し、受理されると母子手帳が交付されます。
この時に妊娠に関する書類と一緒に、マタニティマークを配布している自治体が多いようです。自治体によってデザインは異なります。
また鉄道各駅の駅務室で配布しています。また産婦人科やベビー用品販売店で配布されることもあります。

マタニティマークの種類
■キーホルダータイプ
キーホルダータイプは、銀色のボールチェーンがついたもの。バッグに取り付けやすく、身に着けておくのにおすすめです。取り外しやすいので、公共交通機関の時だけつけるなど、シチュエーションによって選ぶことも可能。保健センターで配布されるものは、このキーホルダータイプがほとんどです。
■お守りタイプ
神社では、マタニティマークが印刷されたお守りを配布しているところもあります。安産祈願のため神社で参拝した時に、もらえることが多いようです。お守りなので心強いですね。
■ハンドメイドマタニティマーク
最近はマタニティマークを使用した、ハンドメイド作品も多くあります。マタニティマークのデータは、厚生労働省のホームページから誰でも簡単に印刷が可能。自分だけのマタニティマークを作ることもできます。
また、ハンドメイドの販売サイトでも、オリジナルのマタニティマークがたくさん販売されています。お気に入りのものを見つけて購入してもいいですね。人と違うものがほしいと思ったら、ハンドメイドはおすすめです。
■車用マタニティステッカー
車の運転をする妊婦さんには、ぜひ車用マタニティステッカーの使用をおすすめします。このステッカーを車に貼ることで、緊急時にも妊婦さん、もしくは小さな子どもが同乗していることがすぐにわかります。
運転中の安全配慮のため、また周囲の理解を得るためにも、マタニティステッカーを装着するとよいでしょう。
マタニティマークをつけるメリット・デメリットとは?
マタニティマークの目的は、妊婦さんと赤ちゃんが周囲から配慮を受けやすくし、安全を確保することにあります。しかし一部では、マタニティマークをつけた妊婦さんを狙った、悲しい事件が相次いでいるのも事実です。マタニティマークのメリット・デメリットを理解し、納得したうえでつけるようにしましょう。

マタニティマークをつけるメリット
一番のメリットは、周囲からの配慮を受けやすいことでしょう。それは、公共交通機関を利用しているときだけに限りません。
実際にどのような配慮を受けたことがあるか、妊婦さんの声を紹介します。
◆買い物の会計時、店員さんが荷物の袋詰めをして車まで運んでくれた
◆外食している時、腰が痛くないようにとクッションをもってきてくれた
◆満員電車から降りようとした時に、他の乗客が「妊婦さんが降ります!」と周囲の人に話してくれ、降りるのを手伝ってくれた
◆「大変ね、頑張ってね!」と優しく声をかけてくれた
このように、マタニティマークをつけることで周囲からの配慮を受け、その優しさに勇気づけられた人たくさんいることでしょう。
マタニティマークをつけるデメリット
マタニティマークをつけることで、つらい目に合ったり、事件に巻き込まれる可能性もあり、つけることをためらう妊婦さんもいます。
これがいわゆる「マタニティマーク問題」です。
◆電車に乗っていると「席を変われってこと?」と言われたり、明らかに嫌そうな顔をされた
◆お腹をたたかれたり、わざと足をひっかけられそうになった
◆妊娠初期につけていたら、「本当に妊婦?」と聞かれた
自分自身と赤ちゃんを守るためのマタニティマーク。それなのにこのような仕打ちを受けると、不安や恐怖でしかありません。ほとんどの人は優しく見守ってくれますが、まれにこのようなことがあるのも事実です。
マタニティマークをつける時の注意点
デメリットで述べたように、マタニティマークをつけた妊婦さんに対し、すべての人が優しく接してくれるわけではないと理解しましょう。
他人の幸せが喜べない理由があったり、不妊で悩む人もいるでしょう。そのような人にとって、マタニティマークを見るのがつらいということも、忘れないようにしましょう。また中には妊娠への意識が低い人、マタニティマークの意味を理解していない人もいます。
公共交通機関など多くの人が利用する場所では、不快に思う場合もあるかもしれません。もちろん暴力や不快な言動は、決して許されるべきものではありません。しかし一例として認識しておく必要がありそうです。
マタニティマークは、「妊娠していることを周囲に知らせるもの」です。緊急時を想定し、ぜひ身に着けてほしいものです。もし身につけるのをためらっても、バッグの中には入れておき、必要時に出せるといいですね。
《まとめ》
マタニティマークを身につけることで、周囲から配慮が受けやすくなり、安心して過ごすことができます。しかし、マタニティマーク問題といったつらい事実もあります。もし不安に感じたら、目立つ場所につけるのではなく、バックの中に入れておきましょう。緊急時には妊娠中だと知ってもらえるでしょう。メリット・デメリットをよく理解したうえで、ぜひマタニティマークを持ち歩くようにしましょう。
※写真提供:PIXTA
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マタニティマークは不快に思われる?
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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