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2021.04.12

妊婦はいつまで車を運転していい?【助産師解説】シートベルトの注意点

妊婦さんはいつまで車を運転していいのか、気になる人は多いでしょう。住む地域によって事情は様々で、生活には車の運転が必要な場合もあるでしょう。ただし妊婦さんの心身の変化の特徴から、妊娠中の運転はより一層の注意が必要。妊婦さんが運転することのリスクや、気を付けること、シートベルトの正しい付け方について助産師が解説します。

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妊婦はいつまで車を運転していい?

妊婦の運転

 

法律的に妊婦さんの運転を制限する事項はありません。そのためいつまでなら運転しても大丈夫、いつからはダメ、ということが一律定められてはいません。妊婦さんそれぞれの住まい環境、家族の状況や健康状態などによって判断していくことになります。

 

助産師は妊婦の運転は原則すすめない

女性ドライバーは増加傾向で、地域によっては生活に欠かせない交通手段です。妊婦さんの運転に対しても、一律制限するものではありません。

しかし妊娠中は、赤ちゃんの命も預かっていることはもちろん、妊婦さんの心身の変化の幅はとても大きく変化しやすいもの。車の運転には適した状況ではありません。

妊婦さんは、ホルモンバランスの変化によって注意力や判断力が鈍ります。また、お腹が大きくなることでシートベルトの正しい着用が難しかったり、もし事故にあった際のエアバッグの発動により、腹部や子宮への過度な圧迫負荷が心配されます。

 

可能であれば、なるべく誰かに運転してもらったり、電車やバスなどの公共交通機関を使いましょう。やむを得ない場合の運転では、正しくシートベルトを着用した上で、時間と心に余裕を持ち、妊娠によって認知機能が下がっていることを自覚しながら運転しましょう。

 

 

妊婦が車の運転を控えるべき理由

妊婦さんが車の運転を控えた方が良い理由はいくつかあります。

 

妊娠中の運転は体・心に負担

妊娠すると、体調の急激な変化と、集中力の低下が起きやすいもの。やむを得ず車を運転する際は、通常以上に注意が必要です。

同じ体勢で長時間いることで、腰痛の症状がでる、下半身の血流が滞ることでむくみや血栓ができやすくなることがあります。

 

妊婦は眠気・頻尿で判断力が鈍る

妊娠すると、妊娠を継続させるためのエストロゲンという女性ホルモンで浅い眠りになります。夜間、浅い眠りが続くことで不眠となり、日中に眠気が出る場合があります。また頻尿によって判断力が鈍る可能性もあります。

 

妊婦の運転中のリスク「陣痛」「破水」

特に臨月はいつ赤ちゃんが産まれても良い時期です。そのため、陣痛や破水が運転中に始まる可能性が十分にあります。

 

 

妊婦がやむをえず車を運転する時

妊婦さんは運転しない方が安全とは分かっていても、住んでいる地域や家庭の事情でどうしても運転しなければいけない場合があるでしょう。子どもの送迎や買い物など、どうしても自分で運転するしかない時は、体調をしっかり確認して、時間と気持ちに余裕をもって臨んでください。

どうしても運転しなければいけない時に注意すべきこと、準備しておくと良いことをまとめました。

 

1. 体調が悪い時は無理をしない

お腹の張りや痛みがある時は、陣痛の可能性もあります。運転はせずに、様子を見た方が良いでしょう。また、体調がすぐれない時は予定をずらすなどして様子をみましょう。

 

2. 運転は短時間にする

妊婦さんは長時間同じ体勢で運転することで、お腹に負担がかかります。また緊張状態が続き、目も疲れることで自律神経系のバランスが崩れ、子宮収縮を促してしまう場合もあります。長距離の運転は避けた方が良いでしょう。

目安としては、妊婦さんが自分で運転するなら30分以内の距離で運転することを心がけてください。誰かに運転してもらって長距離を走る場合は、こまめに休憩をとるようにしましょう。休憩中はトイレに行ったり、ストレッチをして体の血液の循環を促しましょう。

 

3. 高速道路を避ける

高速道路は自分のタイミングで速度を落としたり、急に止まることはできません。スピードが速い分、判断能力は普段よりも必要になってきます。

 

4. 運転時に入院準備の荷物を載せる

妊婦さんは運転する時に限らず、車で移動する時は、入院準備グッズを入れたバッグを載せておくと安心です。

また、バスタオルやタオルケットも積んでおくと良いでしょう。急な破水や車中出産となった時に役に立ちます。近所の買い物などで車に乗るときも、母子手帳と保険証は必ず持参するようにしましょう。

 

5. 妊婦もシートベルトを利用

妊婦さんがシートベルトの着用を免除される状況は、腹痛や出血がひどい、陣痛中などの緊急時のみです。シートベルトの着用は、妊婦さんと赤ちゃんのケガを軽減してくれるとの見解で、警視庁、日本産婦人科学会でも着用を推奨しています。

 

【シートベルトの正しい着用方法】

妊娠中のシートベルト

(1) 必ず腰のベルトと肩のベルト、共に着用します。腰のベルトのみだと事故の際に、上半身が大きく前に屈曲して腹部を圧迫する恐れがあります。

(2) 肩のベルトは肩から胸の間を通し、そして腹部にかからないようにして、腹部の側面に通します。

(3) 腰のベルトは腹部のふくらみにかからないようにして、腰骨の低い位置に締めます。

(4) 最後に、ベルトの金具がしっかりと止まっていることを確認しましょう。 

 

また妊婦さん向けのシートベルト補助具(マタニティシートベルト)を活用すると腹部への圧迫を回避できたり、楽にシートベルトが装着できたりととても便利です。

マタニティシートベルトとは、シートベルトをお腹の下や太ももなどの安全な位置に固定し、お腹を圧迫しないようにするシートベルト補助具です。

 

 

《まとめ》

 

妊婦さんの車の運転は、妊娠による心身の変化により運転に適していない状況であることを理解し、なるべく避けた方が良いでしょう。どうしても運転しなくてはならない時は、無理をしない、必要な準備をする、なるべく短時間で終わるようにする、シートベルトを正しく装着するなどの工夫をしましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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