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2023.05.15

帝王切開の不安を解消!【医師】痛み・傷跡はどんな感じ?

帝王切開の出産では、傷の痛みや傷跡がどの程度残るのか、気になることでしょう。痛みの感じ方や傷跡には個人差が大きいです。できるだけ傷跡がきれいに治るための、セルフケアの方法についても紹介します。

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帝王切開になるのはどんなケース?開腹方法とは

帝王切開での出産

 

帝王切開というと、「痛みが怖い」「傷跡が気になる」という不安をよく聞きます。帝王切開とは、赤ちゃんとママの安全を考えて行われる出産方法。現在は、妊婦さんの5人に1人が帝王切開で出産しているとも言われます。

帝王切開においては、妊娠中から予定帝王切開になる場合と、緊急で帝王切開が決まる場合があります。

 

「予定帝王切開」になる場合

「予定帝王切開」とは、妊娠中からあらかじめ、出産方法が帝王切開と決まっている場合です。以下のような場合に多く用いられます。

 

1. 前回、帝王切開で出産している

前回の出産が帝王切開の場合、出産施設にもよりますが、基本的には帝王切開での出産になります。

 

2. 骨盤位(逆子)・横位

赤ちゃんは通常、頭が下にある姿勢です。頭が上側にある「逆子」や、横向きの「横位」の場合、下からの経膣分娩では難産になる可能性が高いです。そのため基本的には、安全を考慮して帝王切開になることが多いです。

 

3. 前置胎盤

前置胎盤とは、子宮口を胎盤が覆ってしまっている状態です。胎盤が子宮口を覆っているため、経膣分娩では大量出血のリスクがあり、帝王切開になります。

 

4. 多胎妊娠

双子や三つ子以上の場合、赤ちゃんがお腹の中でうまく正しい方向に回れない「回旋異常」になりやすく、難産になるリスクがあります。

また、多胎妊娠は早産になる可能性が高いです。赤ちゃんが未熟な状態で生まれることもあるため、帝王切開での出産が選択される場合があります。

 

「緊急帝王切開」になる場合

緊急での帝王切開は、経膣分娩(下からの出産)を試みていても難しい時に、赤ちゃんとママの安全を考慮して行われます。分娩途中で、以下のような事態が起きた場合に用いられます。

 

1. 心音異常

赤ちゃんがお腹の中で、しんどいサインを出している場合です。原因は様々ありますが、へその緒が圧迫されていたり、お腹の中で感染が起きている時に、赤ちゃんの心拍が遅くなったり、反対に速くなったりします。

 

2. 回旋異常

赤ちゃんは出産時、骨盤の形に合わせて回りながら出てきます。上手く回れず回旋異常になった場合は、正しい向きにならないと途中で止まってしまいます。

 

3. 常位胎盤早期剥離

胎盤は、ママから赤ちゃんへ酸素や栄養を送るとても重要なもの。通常は赤ちゃんが生まれてから、自然に剥がれて出てきます。しかし赤ちゃんが生まれる前、胎盤が先に剥がれてしまうことを「常位胎盤早期剥離」と言います。

その場合、すぐに帝王切開で赤ちゃんを取り出さないと、赤ちゃんへ酸素が届かず命が危険な状態になります。さらにママも大量出血で命の危険があるため、緊急で帝王切開をします。

 

4. 臍帯脱出

へその緒が赤ちゃんより先に外に出てきてしまうことを、「臍帯脱出」と言います。これが起きると、臍帯が圧迫されて赤ちゃんへ酸素が十分に届かず、危険な状態になります。そのため緊急で帝王切開をします。

 

帝王切開の開腹方法は2種類

帝王切開はお腹を切って、赤ちゃんを取り出して出産する方法です。基本的には下半身麻酔で行うため、赤ちゃんの産声を聞くことも顔を見ることもできます。

お腹を切る方法には、「横切開」と「縦切開」の2種類があります。分娩施設によって、最初からどちらか決まっている場合もあれば、状況に応じて選択されることもあります。

 

【横切開】

横切開とは、恥骨の上を水平に切って赤ちゃんを出す方法です。予定帝王切開では横切開になる場合が多く、傷跡は下着でも目立ちにくいと言われています。

 

【縦切開】

縦切開は、おへその下から恥骨にかけて垂直に切る方法です。緊急時は赤ちゃんを早く取り出す必要があるので、赤ちゃんと同じ縦方向での縦切開を選択することが多いです。

 

 

帝王切開の痛みはいつまで続く?傷跡の経過

帝王切開後は傷の痛みが強いものです。痛みはいつまで続くのか、また傷跡はどの程度きれいに治るのか、気になるママも多いでしょう。帝王切開後の痛みには、傷跡の痛みと子宮収縮の痛みの2種類があります。

 

個人差はあるが痛みは1週間ほど

帝王切開後、傷跡の痛みも子宮収縮の痛みも、基本的には手術当日〜3日程度がピーク。その後は痛みが軽減していきます。

手術では麻酔を使用しますが、麻酔が切れてくる頃から痛みを感じやすくなります。点滴や座薬、内服薬で鎮痛剤を使用できるため、入院中は我慢せずに使うといいでしょう。

 

産後は日常生活に戻って動き出し、赤ちゃんのお世話で動く時に、痛みが出ることが多いです。だだし退院の頃には、ある程度痛みが落ち着いていることでしょう。退院後も、力が入る動作やふとした時には痛みを感じることがありますが、頻度は減ってきます。

 

また、子宮の収縮する痛みは「後陣痛」と呼ばれ、帝王切開でも経膣分娩でも同じように起こります。これは子宮が元の大きさに戻る痛みで、産後3日程度で落ち着くことが多いです。どちらかというと初産婦さんより、経産婦さんにより強くみられます。

授乳すると、「オキシトシン」という子宮収縮を促すホルモンが分泌されます。そのため、授乳時に後陣痛が強くなることがあります。子宮収縮の痛みは、体が回復に向かっている証拠なのでいい兆候だと言えます。

 

帝王切開の傷跡の経過

帝王切開の傷は、抜糸のいらない吸収糸で、皮下を表面から見えないように縫合する場合があります。その他、抜糸が必要な糸で縫合したり、ホッチキスのようなもの(ステープラー)で固定するケースもあり、分娩施設によって方法は様々です。

表面の傷は術後2〜3日で閉じ始めますが、しっかりと傷がくっつくにはもう少し時間がかかります。そのためテープやシリコンゲルシートを貼り、しばらく傷の固定をします。

 

手術後2〜3ヶ月は、傷跡が治る過程です。衣服のこすれや引っ張られる刺激、ホルモンなどの体質的な影響から、傷跡が少し盛り上がった状態になる、赤み・かゆみが出ることがありますが、異常ではありません。

そしてその後、半年〜数年かけて平坦な傷跡に戻っていきます。しかし中には炎症を起こして、傷跡が赤く盛り上がり、痛みやかゆみを感じる「ケロイド」になる人もいます。ケロイドはできやすい人とできにくい人がいます。できやすい人は、術後のケアが重要になります。

 

 

自宅でできる!帝王切開後の傷跡ケア方法

帝王切開の傷跡をできるだけきれいにするためには、セルフケアがとても重要です。ここからは、自宅でできるセルフケアの方法を紹介します。特別なケアが必要なわけではないので、ぜひ自宅で続けましょう。

 

テープの固定は3ヶ月~続ける

帝王切開の後、医師から傷跡の固定を指示される場合があります。固定は、傷跡の保護やケロイド形成防止を目的に行います。その方法にはテープやゲルシートがあり、メーカーによって種類も様々です。

テープやゲルシートの大きさは、傷跡の大きさに合わせて選びましょう。ケロイドができやすい人は、より長い間の保護をお勧めします。

 

傷跡を清潔に保つ

テープなどの交換はメーカーによって様々ですが、1週間程度で行いましょう。傷の感染予防のため、シャワー時にテープをはがし、泡立てた石けんで優しく洗い、泡が残らないようにしっかりと洗い流してからテープを交換しましょう。傷跡に石けんを使うのが怖い時は、シャワーで洗い流すだけでもかまいません。

傷跡を見ることすら怖い人もいるかもしれません。しかし感染を起こすと傷口から膿んでしまうので、しっかりと清潔を保ちましょう。

 

しっかり傷を覆う

テープの場合は、傷跡の中央に合わせてゆっくり貼りましょう。座っていると傷跡がしっかり見えず、テープがずれることがあるので、立ったままで貼ることをおすすめします。自分では難しい時は、家族に貼ってもらうといいでしょう。

 

下着・衣類の締め付けに注意

傷跡に下着や衣類が当たると、刺激になってかゆみが出たり、掻いて傷が赤く盛り上がってしまうことがあります。お腹をすっぽりと覆うような下着など、ゆったりとした締め付けがないものを選びましょう。

 

保湿をしっかり行う

乾燥はかゆみの原因になるため、保湿はしっかりと行いましょう。傷が治る過程では、引っ張られるような刺激でかゆみを感じることもあります。保湿クリームはシャワー後などこまめに塗って、なるべく皮膚をやわらかく保ちましょう。

 

 

帝王切開後の過ごし方!注意すること

帝王切開後の過ごし方

 

産後1ヶ月程度はできるだけ無理をせず、安静にすることが大切です。帝王切開の場合の注意点を紹介します。

 

お腹に力の入る動作をしない

まだ傷が治っている過程なので、重いものを持つなどお腹に力が入る動作はやめましょう。

 

1ヶ月程度はできるだけ無理をしない

産後は体が回復するとても大切な時期。この時に無理をしてしまうと、産後数ヶ月経っても体のだるさが残ったり、疲れやすいといった不調を感じやすくなります。

そのため家族のサポートを得ながら、できるだけ無理をしないように過ごしましょう。家族のサポートが難しい場合は、家事代行や地域のサービス、産後ケア施設の利用もいいですね。

 

 

《まとめ》

 

傷跡は体質にもよりますが、セルフケアで悪化を予防できます。また痛みも個人差はありますが、数日で落ち着き、退院の頃には軽減していることが多いです。赤ちゃんのお世話に一生懸命で、セルフケアは忘れがちかもしれませんが、ぜひ自身の体も労ってあげましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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