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2021.06.07
妊婦は生卵を食べてはダメ?食中毒を防ぐ卵の保存&食べ方【東京都栄養士会監修】
卵かけごはん、すき焼き、温泉卵、今まであたりまえのように食べていたけど、妊婦さんは生卵を食べてはダメなの?胎児に何か影響はある?ここでは妊娠中に食べて良いもの・良くないものの中で、判断しづらい食材のひとつ、生卵について管理栄養士が解説します。生卵を食べるリスクについて理解し、食中毒を防ぐ卵の正しい保存法と食べ方を知りましょう。
目次
妊婦さんは生卵を控えよう!
妊婦さんが生卵を食べることは、なるべく控えた方が良いと言われています。
妊娠中は生卵を避けた方がいい理由
生卵は食中毒を引き起こす可能性があるため、妊婦さんは食べるのを控えておきましょう。新鮮で保存状態の良い生卵であれば、食中毒の可能性は低いです。しかし割れた卵や、割って時間のたった卵はリスクが高まります。万が一のことを考えて、妊娠中は生卵を控えておくといいでしょう。
もちろん必ず食中毒になるということではありません。しかし妊娠中は免疫力が低下していますので、避けておくのが安心なのです。
しっかり加熱した卵は食べてOK
卵には
●タンパク質
●脂質
●ミネラル
●ビタミン
がバランスよく含まれています。しっかりと加熱した料理であれば問題ありませんので、おいしく食べてくださいね。
生卵に潜むリスクとは?
日本の卵は汚染の確率が低いですが、食中毒のリスクがないわけではありません。特に、妊娠中は抵抗力が低いので、食中毒のリスクが高くなることを意識しましょう。
生卵によるサルモネラの食中毒リスク
卵には生命の元となる全ての栄養素が含まれていることから、完全な栄養食品として広く一般的に知られている食品です。同時に、サルモネラの代表的な食中毒原因食品の一つとしても有名です。卵と卵加工品によるサルモネラ食中毒を防止するために、卵を取扱う全ての人を対象とした総合的な衛生対策がすすめられています。
内閣府食品安全委員会が実施した研究事例では、日本全国から集めた市販の卵約10万個のうち、汚染されていたのは3検体でした。さらに、2万個の卵から汚染が検出されなかったとのデータもあわせ、汚染の確率を0.0029%程度と推定。極めて低い割合となっています。
ただし汚染率が低くても、リスクが無いわけではありません。
免疫力が低下する妊娠中は特に注意
妊婦さんが生卵を食べることは、禁止されているわけではありません。これは妊娠の有無に限らず、取扱いが悪い卵の場合は、食中毒になるリスクが高いことを理解してください。高齢者、乳幼児、妊娠中の女性、免疫機能が低下している人など抵抗力の弱い人は、生卵は控えたほうが無難です。温泉卵や半熟卵など、家庭で調理した卵の場合も同様です。
※市販の温泉卵などの食品についてはこの限りではありませんので、各企業にお問い合わせください。
サルモネラに汚染される背景
厚生労働省の統計によれば、未だに「卵類及びその加工品」を原因とした食中毒が発生しています。その代表的なものが、サルモネラ食中毒です。卵はサルモネラに汚染されていることがあります。そして卵の取り扱い不良により、サルモネラ菌を増やしてしまい、食中毒を起こします。
鶏卵が汚染される経路は次の2つです。
1. on egg汚染
産卵後に殻の表面などについたサルモネラが、殻のひび割れ等から卵内に侵入する場合
2. in egg汚染
感染している鶏の卵巣や卵管が汚染され、卵が作られる段階ですでに内部にサルモネラが存在する場合
通常の流通過程では、パックに詰められる前に卵殻の洗浄・殺菌が実施されているので、「on egg汚染」は除去されます。つまり「in egg汚染」の卵をたまたま生食した場合には、食中毒は避けられない状況となります。確率は約10万個のうち3検体と大変低いのですが、避けたほうが安心ということになります。
おすすめ情報
生卵の正しい取り扱い
卵に限らず、食品には健康への危害要因が存在します。ですが正しく取扱うことで、そのリスクを心配不要なレベルにまで下げることができます。卵に関しては、衛生管理が徹底されて流通した卵を、正しい保管状態や調理を行うことで安心して食べることができます。
平成11年に食品衛生法施行規則が改定。これにより自宅での「冷蔵保存」(10℃以下)が前提の殻つき卵の賞味期限は、万が一、卵内にサルモネラ菌が存在し「生食」しても問題が生じない期限を表示することとされました。
妊婦さんが知っておくべき!生卵の保管・調理ポイント
食中毒を防ぐための生卵の正しい保管や、調理方法のポイントをお伝えします。妊婦さんは特に、きちんと知っておきましょう。
生卵は必ず冷蔵庫で保管
●「賞味期限」「保存方法」の表示をしっかり確認しましょう。
●購入した卵は、すぐに冷蔵庫で保存しましょう。
●冷蔵庫から取り出した後、調理のために割った卵は、室温下で放置しないようにしましょう。
※特に卵黄と卵白をかき混ぜてしまうと、細菌が増えやすくなるという報告があります。かき混ぜた状態で放置しないようにしましょう。
卵による食中毒を避ける方法6つ
●賞味期限が過ぎた卵は、サルモネラ属菌対策のため、十分に加熱して食べることを推奨します。(75℃以上で1分以上、または65℃で5分間以上)
なおヒビが入っている卵は、しっかり加熱して食べてください。
●割卵、混合後はすばやく調理しましょう。
※卵白中にのみサルモネラが存在していた場合でも、混合する事によって鉄分を得て増殖を始めます。冷蔵保存していても完全に予防できるわけではありません。
●生卵を食べる場合、割卵は食べる直前にし、できるだけ早く食べ終えましょう。
●残った卵料理は、時間が経ち過ぎたら思い切って捨てましょう。
●2次汚染対策として十分な手洗いが必要です。調理に使用した器具・食器類は、十分に洗浄・消毒しましょう。
●高齢の方、乳幼児(2歳以下)、妊娠中の女性、免疫機能が低下している方は、生卵を避けることをお勧めします。できる限り、十分加熱した卵料理を提供しましょう。
《まとめ》
卵に関しては、衛生管理が徹底されて流通した卵を、正しい保管状態や調理を行うことで安心して食べることができます。わからないことや不安なことがありましたら、かかりつけの医療機関のほか、お近くの保健所、市区町村の母子担当係等へお問合せいただくことをお勧めします。
※写真提供:PIXTA
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