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2021.05.31
妊婦もお寿司を食べたい!注意して食べた方がいいネタ【東京都栄養士会監修】
妊娠してからも、たまにはお寿司が食べたいと思うこともありますよね。妊娠中にお寿司で生の魚介類を食べることで、ママ自身や赤ちゃんへの影響が心配になるでしょう。妊婦さんは生ものを食べるリスクや、食べ方に注意することが大切です。
目次
妊婦はお寿司を食べてはダメ?
一般的にお寿司の材料には生の魚介類が使われることが多く、その中には有害物質や寄生虫、食中毒を引き起こす細菌やウイルスが含まれている場合があります。万が一妊婦さんがそのような食品を食べてしまうと、ママやお腹の赤ちゃんへの影響が心配です。
妊婦さんはお寿司を絶対に食べてはいけないというわけではありません。刺身を食べることによって起こりえるリスクを理解して、食べる時には注意することが大切です。
妊婦がお寿司を食べるリスク
妊婦さんはお寿司やお刺身など、生の魚介類を食べることのリスクをきちんと理解して、判断しましょう。
妊婦へのお寿司のリスク1. 生魚の食中毒
生の魚介類にはノロウイルス、リステリア、アニサキス、腸炎ビブリオなど、食中毒の原因になる細菌や寄生虫が潜んでいる可能性があります。妊娠中は抵抗力が弱まっているため、普段よりも食中毒をおこしやすいとされています。
●ノロウイルス
カキ、アサリ、ハマグリ、タイラギ、アカガイ、シジミなど
●リステリア
生ハム、スモークサーモン、ナチュラルチーズなど
※厚生労働省より、胎盤からの胎児への感染の影響が指摘されています
●アニサキス
生のイカ・サケ(サーモン)・カツオ・アジ・サバ・サンマ・イワシなど
●腸炎ビブリオ
生の魚介類やその加工品、調理する過程で、"手"や"まな板・包丁"を介して「二次汚染された食品」が原因で発症
※生の魚介類を炙ったネタは、中心部まで火が通っていないため、生の食品と同等に食中毒のリスクがあると考えましょう
妊婦へのお寿司のリスク2. 水銀
食物連鎖の上位にあるマグロ、カジキ(クジラ、イルカも含みます)などには、自然界にある水銀を体内に多く蓄積しているものがいます。水銀とは有害な物質。特にメチル水銀を人が大量に摂取してしまうと、中枢神経に障害を起こします。
私たちが食事から摂取している水銀は、少しずつ便や尿から排出され、2ヶ月ほどで半量になります。しかし妊婦さんが食べ物に含まれた水銀を摂取すると、胎盤を通して胎児にも水銀が運ばれることになります。
胎児には水銀を体外に出す機能が備わっていないため、生まれた後の赤ちゃんの発育に影響を及ぼす可能性があるといわれています。胎児への影響については、“音を聞いたときの反応が1/1000秒ほど遅れる”といった報告があり、将来の社会生活に支障があるような重篤なものではないとしています。
妊婦へのお寿司のリスク3. 塩分や糖分
いくらなどの魚卵や、漬物を使ったものは塩分を多く含みます。すし飯にも塩分や糖分が含まれます。醬油や塩をつけて食べることを考えると、妊娠高血圧症候群やその可能性がある場合は特に注意が必要です。
おすすめ情報
妊婦さんがお寿司で食べていい&注意したいネタ
妊婦さんがお寿司を選ぶときには、以下のことに注意しましょう。
生の魚介類を控え食中毒を予防
妊婦さんは食中毒予防に努め、これらのネタを選ぶと良いでしょう。
・茹でた魚介類(エビ・たこ・かになど) ・納豆やカッパ巻き ・かんぴょう巻き ・玉子巻き ・ツナの缶詰を使ったツナマヨなど |
生の魚介類を控えることもお勧めです。衛生的で信頼できるお店を選ぶとともに、購入した食品を自宅で食べる時や調理の際は、衛生的に取り扱いましょう。手作りのちらし寿司はすし飯の砂糖や塩も上手に加減できますのでお勧めです。
※HACCPに沿った衛生管理の制度化について
食品衛生法の改正に基づき、令和2年6月1日からHACCPに沿った衛生管理が制度化されました。令和3年6月1日から適用されます。原則、すべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務化されています。
水銀を含む魚介は量を守って
厚生労働省は、一部の魚介類に含まれる水銀濃度が胎児に与える影響を懸念。妊娠中および妊娠の可能性がある女性に対して、「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」という指針を公表しています。
メチル水銀が多く含まれる魚介類は、2つのグループに分かれています。摂取量を厳守することが大切です。水銀を多く含む魚介類を、多量に偏って食べることは避けるべきとしながら、魚介の持つ栄養のメリットを生かした食生活を推進しています。
1. 食べない方がよいとされている
・コビレゴンドウクジラ ・バンドウイルカ |
2. 食べる量に気を付けた方がよい
1週間に2回はOK ・マグロ ・キダイ ・マカジキ ・ミナミマグロ ・ヨシキリザメ ・イシイイルカ ・クロムツなど
1週間に1回はOK ・キンメダイ ・ツチクジラ ・クロマグロ(本マグロ) ・メバチ(メバチマグロ) ・エッチュウバイガイ ・マッコウクジラなど |
*マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂食で差し支えありません。バランス良く摂食して下さい。
*魚介類の消費形態ごとの一般的な重量は、寿司一貫(刺身一切れ当たり15g程度)、刺身一人前当たり80g程度、切り身一切れ当たり80g程度(厚生労働省の資料より抜粋)
塩分や糖分を摂り過ぎないように
日本人の食事摂取基準2020版では、ナトリウム(食塩相当量)について、成人の目標量を0.5 g/日引き下げ。高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした量として、新たに6g/日未満と設定しています。
妊娠に関わらず女性の塩分摂取量は1日6.5g程度。高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の治療中である場合は6g未満が目安です。
握り寿司の場合ネタの種類にもよりますが、醤油をつけ、ガリも食べると塩分摂取量はかなり多くなる可能性がありますので、それらを控えることも必要です。また、お寿司がメインの食事では炭水化物と魚が多く、野菜が不足しがちです。その場合は前後の食事で補いましょう。
《まとめ》
妊婦さんのお寿司についてはきちんとリスクを理解し、食べる時には注意することが大切です。わからないことや不安なことがありましたら、かかりつけの医療機関のほか、お近くの保健所、市区町村の母子担当係等へお問合せいただくことをお勧めします。
※写真提供:PIXTA
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