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2021.06.25

妊婦は生ハムを食べてはダメ?注意して欲しい妊娠中の食中毒【東京都栄養士会監修】

妊娠中に避けたほうが良いと注意喚起が呼びかけられている食品のひとつである生ハム。なぜ妊娠中は食べてはいけないのでしょうか。妊娠中の食中毒による影響について管理栄養士が解説します。

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妊婦が生ハムを食べてはいけない理由

妊婦の生ハムリスク

 

生ハムには細菌や寄生虫がいる可能性があります。もしも妊娠中に食中毒を起こすと、お腹の赤ちゃんにも影響があります。

 

妊婦の生ハムでの食中毒リスク

生ハムは妊娠中に避けたほうが良い食べ物。スモークサーモン、ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテと共に、厚生労働省からも注意喚起が呼びかけられています。これらの食品には「リステリア菌」という細菌や、「トキソプラズマ」という寄生虫がいる可能性があるからです。

 

厚生労働省は妊娠中のリステリア菌による食中毒について、胎盤や胎児への感染、流産、新生児への影響のリスクを指摘しています。トキソプラズマ症についても、妊娠中に初めて感染した場合はママに抗体がないため、母子感染となる可能性があります。胎児が先天性トキソプラズマ症になると、水頭症、運動発達や精神発達の遅れ、脳や目の障害などのリスクが高まります。

リステリア菌の特徴として、塩分にも強く、低温でも増殖するため冷蔵庫で保存していても安心できません。

 

妊娠中はホルモンバランスの影響から免疫力が低下しやすいです。生ハムに付着しているリステリア菌、トキソプラズマ原虫などが原因の食中毒にかかりやすいので、生ハムを生で食べるのは控えたほうが安心です。

 

妊婦の食中毒リスク(1) リステリア菌

リステリア菌は動物の腸の中や河川の水など、あらゆる環境に広く存在しています。食品ではナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、食肉加工品に菌が付着していることが多いようです。菌が付着している食材を食べたことによってリステリア菌に感染し、食中毒となる場合があります。妊婦さんがリステリア菌に感染すると、発熱や関節痛など、インフルエンザに似たような症状が現れることがあります。

 

妊婦の食中毒リスク(2) トキソプラズマ

トキソプラズマとは、多くの哺乳類や鳥類が持っている寄生虫です。口や目からトキソプラズマに感染すると、トキソプラズマ症を発症することがあります。トキソプラズマ症は、健康な大人なら発症しても軽い風邪程度の症状しか現れなかったり、症状がまったく出なかったりします。ですが胎盤を通してお腹の赤ちゃんに感染した場合、重症化することがあります。

トキソプラズマ症の感染原因は、生肉や加熱が十分でない肉を食べること、感染した猫のトイレの処理、土いじりなどといわれています。

 

 

妊婦が生ハムを食べる時の注意点

妊娠中でも生ハムは加熱すれば食べられます。ただし食べ過ぎないようにしましょう。

 

妊婦は生ハムの生食はNG!必ず火を通す

"妊婦の生ハム調理

 

リステリア菌やトキソプラズマ症の対策には、原因になる食品を控えることが大切です。生ハムを生で食べるのは控え、必ず中まで火を通してから食べるようにしましょう。独特の食感は失われますが、うまみや塩気を利用して妊娠中も安全な食事を楽しめると良いですね。

 

生ハムの食べ過ぎはNG!妊婦は塩分量に注意

生ハムは食塩も多いので、妊婦さんは一度に食べる量に注意しましょう。

日本人の食事摂取基準2020版では、ナトリウム(食塩相当量)について、成人の目標量を0.5 g/日引き下げ。それとともに高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした量として、新たに6g/日未満と設定しています。

妊娠中でなくても、女性の塩分摂取量は1日6.5g程度。高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の治療中である場合は6g未満が目安です。1日3回食べるとすると、1回の食事で摂取する食塩は2g程度が適量になります。

 

日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、生ハムの栄養成分はこのとおりです。

 

生ハム(促成)100gあたり

エネルギー243kcal、食塩相当量は2.8gです。市販されている生ハム1枚(およそ5~7g)あたりエネルギー12~17kcal、食塩相当量は0.14~0.2gです。

 

生ハム(長期熟成)100gあたり

エネルギー253kcal、食塩相当量は5.6gです。1枚(およそ5~7g)あたりのエネルギー量はあまり変わりませんが、食塩相当量は0.28~0.4gです。2枚食べると0.8gの食塩を摂取することになります。

※商品によって異なりますので、表示をご確認ください。

 

 

《まとめ》

 

国産の生ハムは、徹底した品質管理と細菌検査が行われていることが多く、リステリア菌やトキソプラズマに汚染されないように対策がとられているようです。しかしどのような食品でも食中毒菌の感染の危険性があります。リステリア菌やトキソプラズマは、十分に加熱すれば死滅します。生ハムを加熱することで、妊娠中も安全な食事を楽しめると良いですね。

わからないことや不安なことがありましたら、かかりつけの医療機関のほか、お近くの保健所、市区町村の母子担当係等へお問合せいただくことをお勧めします。

 

 

※写真提供:PIXTA

 

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